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SS アデルとドラゴン少女 2/4 アデルシリーズ

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あらすじ
王様に呼ばれた魔王兼召使いの俺達は、龍が村を襲うために退治を命令されるが、黒龍は既に王城に降り立つ。

勇者アイラは目の前の黒いドラゴンに攻撃をするが、ダメージにならない。「アデル君、魔法は使える?」俺はためしにバインドの魔法を使うが、行動制御が出来ない。「アイラ、魔法は効かないかもしれない」ドラゴンは元から魔法が使える魔力生物だ。彼らは人間の魔法程度だとディスペル等で無効化する。「判った、直接攻撃をしてみる」アイラは手から巨大な剣を生み出す。「ドラゴンキラー」と叫ぶと黒龍の尻尾に叩きつけた。外れた。当たらないのだ。尻尾でも子供の背丈くらいの高さはある。かするように剣が避ける。「え? なんで?」勇者アイラは困惑している。俺はためしに、壊れた城壁の石塊を拾ってドラゴンに投げてみる。当たらない。バズーカの時と同じように石が別の方向に曲がる。「アイラだめだ、物理回避と魔法回避が最大だ」この龍はレベルが高いのか、とにかく攻撃をすべて避けてしまう。アイラがいくら高火力の武器を使っても外れる。0%攻撃になるのでダメージがゼロ。

「やっかいだな」もしドラゴンに攻撃を出来無いなら、対応の為に、より高位のドラゴンに頼むか、この地域を犠牲にして足止めをするしかない。被害が甚大過ぎてやる気にならない。「ん?」そういえば、ドラゴンがしゃべってなかったか?

「アイラ攻撃するな、俺が話をしてみる」レビテトで浮遊をするとアイラに手を振って、攻撃するなとジェスチャーをする。ドラゴンが城を破壊しながら首を部屋に突っ込んでいる。何か探している?「おい、ドラゴン、言葉を話せるか?」ドラゴンはびっくりしたように俺を見た。空中に浮かんでいる金髪の少年を見て不思議そうな目をする。「誰?」と言葉を頭の中で響く。どうも口では話をしていない、牙だらけの口では発音は無理だ、こっちの頭の中で聞こえる。共感テレパスなのかもしれない。自分の思考を相手の頭に送り込むのだろう。

「何を探している?」と聞くと、俺に向かって二本足で座ると、ちょうど犬がチンチンしている感じだ。手を前にぶらさげて「あなた誰?」と聞いてきた。質問に質問で返すドラゴンは幼く感じる。「何したいんだ?」「食べ物あるかと思って」幼獣にしては成体と同じ大きさだ、違和感がある。「親は居るのか?」「お母さんは……覚えてない」迷子かよ、「食べ物は用意するから城は壊すな」と言うとドラゴンは周囲を見ると申し訳なさそうにしている。俺は地上に降りると、アイラの所まで走り寄る。

「アイラ、こいつはまだ子供らしい」「そうなの?しかし派手に壊したわね」アイラも近づくと「この子は話せるの?」「ドラゴン、話をしてくれ今までは何をしていた」子供ドラゴンの境遇を知りたかった。「部屋の中でね、おなかがすいてたの、お母さんが帰ってこないの」ドラゴンが部屋の中?巣の事か?「アイラは聞こえるか?」「なんか話をしているの?」どうやら勇者や人間には聞こえないらしい。「あー、母親からはぐれたらしい」「かわいそう、親を探すの?」と勇者のアイラが心配そうだ。

いきなり派手なエフェクトで周囲が光輝くと、ドラゴンに何かがぶちあたる。「プルサーマル・デス・キル・バースト」おいやめろ原発に関係する魔法はやめろ。動画サイトで見たことのある原子力関係の巨大なマスコットが目の前に居た。でかい、ピンク色の丸い体が、ドラゴンに体当たりをする。いわくつきのマスコットは、デザインをした人には悪いが凶暴に感じる(この小説は架空の設定です)ドラゴンは、マスコットに体当たりをされると横倒しになる、昔の特撮の怪獣映画のように、ゆっくりとドラゴンが倒れると、王様の居たあたりの建物を完全に破壊した。王様は大丈夫なのか。

魔法使いのサリアが魔力で巨大なゴーレム?を召喚したらしい。「こいつをやっつければいいのね?」嬉しそうにピンク色のツインテールをプルプルさせながらつり目のサリアは興奮したように俺に抱きついた。こいつはショタ好きなので、やたらと俺に抱きつく。しかし体当たりは、物理回避で避けられないのか?質量が同等だと当たる確率が上がるのだろうか?

「ば…ばかか、いまドラゴンと会話中だ!」俺が怒ると、サリアがふくれた顔をするがかわいくないぞ。「サリア来てたの?」アイラがちょっとむっとしている様子で、抱かれている俺を不満気に見ている。雰囲気がギスギスする、やめてくれ。ドラゴンがゆっくりと起き上がると、怒りのためにブレスを使う、口から黒と紫が混じったような凶悪そうな炎が出ると、ゴーレムが爆散した。ブレスは周囲に広がると城の残骸を溶かし始めた、毒なのか?とんでもない腐食性がある、俺はすぐにテレポでアイラとサリアと一緒に離脱をする。

「はぁはぁ」「ゲホゲホ」「ゴーレムちゃん壊れた」サリアが泣き真似しながら俺の腕に絡みつく「こわーい、アデル君助けて」ほぼ棒読みだ。ドラゴンと話すチャンスを逃がして、その上に城が壊滅している。それどころか城に居た奴らは全滅しているんでは?とも思える。政治中枢が破壊された場合はどうなるのだろうか?他の貴族とか居るのか?「アイラ、誰か国のお偉いさんとか知ってるか?」アイラは少し考えると「前線に隊長さんが居るけど」軍人に状況を説明した方が良さそうだ。俺はドラゴンとまた会話できるか試さなければいけない。アイラ達を前線に送ると、俺は王都に戻った。

「ドラゴンはどこだ?」城のあたりは壊滅しているし、毒気があるのか近づく気にならない。城に居たであろう連中を助けるべきだろうが、ドラゴンへの対応を先にしないと被害が拡大する。しかし見回しても、あの巨大なドラゴンは見当たらない。「飛んで逃げたのか?」街の他の場所は破壊されていない。俺は下に降りると、毒気に近づかないように生きている人間が居ないか探す。「中はもうダメかなぁ」城の中は絶望そうだ、こわれた城壁をぐるりと回ると子供が居た。裸だ。児童○ルノとアラームが鳴り響く。「おい、大丈夫か」俺は上着を脱ぐと、子供に着せてやる。いかん女児だった。通報案件レベルで俺は心臓がドキドキした。

続く


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