SS 差分 猫探偵02
あらすじ
奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活をしていた。
主任が目の前に居る。変な鉄製の体だが中身は生物だ。委託業務を説明する。
「細胞活性化の処理で手違いが発生した」
アンチエイジング処理だ。老化を遅らせる。若いうちに遅らせると効果が高い。今の若い奴は大体処置を受けている。
「同一人物が二体できた」
処理中にクローン体を作成した。適当な業者だとたまにある。
「依頼主は両親だ、一体を始末してくれ」
子供は二人はいらない。記憶に差が出来るまえに殺す。嫌な仕事だ。
「始末しますよ」
「どちらか一人だけだぞ」
助手のチュー助が来る。
「旦那、旦那。人工知能広域検索で、処置服を着たまま逃げてる奴を見つけました」
俺はネズミと現場に向かう。彼女は病院の処置後に着替えをして帰った。クローンはロッカーで着替えが無いと家に電話をした。逆かもしれない。どちらが本物か判らない。
目標は公園に居た。病院の服を着ている娘は恐怖の目で俺を見ている。すぐに同じ顔の娘が並んで立つ。同じ人格だ。どこに逃げるか判る。娘は自分を探し出していた。
「母はどこ?」
まだ十三歳くらいの娘は哀願をする。親に会ってどうにかできるわけもない。同じ人間だ。どちらを殺しても同じだ。口径のでかいリボルバーに手を伸ばす。
「私を殺して」
同じ顔をした娘は同時につぶやく。彼女達は横暴な両親を嫌っていた。憎んでいた。楽になりたいと考えた。俺はため息をつく。
「お前達が決めてくれ」
俺は選ばせた。
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「旦那、死体はどうするんです?」
「生体認証ができる分の皮膚を使えばいいよ」
俺はもう一人から皮膚のサンプルを貰う。端末に登録をして始末したと報告する。
同じ顔の娘は別の人生を歩む。後から来た娘は家に戻った。俺はクローンを死んだ事にする。
どうせ数年すれば顔かたちが変わる。加齢が進みクローン体は大人に成長する。もう別人だ。クローンの娘を引き取ると俺は自宅に連れて帰る。だれかと養子縁組をしないといけない。
「旦那、旦那。人間の助手が出来ましたぜ」
俺は嫌な顔をした。
終わり
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