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SS ほんの一部スイカ#毎週ショートショートnoteの応募用

 真夏のスイカ畑を歩く、朝に収穫すれば良かったと流れ落ちる汗をぬぐう、白く細い腕は大きなスイカを抱えるのが難しく思える。

「ねえさん、またスイカ?」
 ふわっとした細い髪の毛はやわらかい、弟は私に甘えてくると顔を胸に近づける。もたれかかる頭をやさしくなでた。私が愛しているのは弟かもしれない。体のどこかに波のような熱さを感じる。体感たいかんできる夏とは別の熱さだ。

「徐々に脳の一部が萎縮いしゅくをしています」
 若いときに発生した難病は、脳の機能にダメージを与える、長生きは出来ないと言われた。私に未来は無い。

 弟に縁側で麦茶とスイカを出すのが日課だった。弟は私が切ったスイカを食べ終わると、また元気に外に遊びに行く。私は弟の食べ残したほんの一部のスイカを口にする、愛おしむように口に含んだ。

 夜に遊び疲れて寝てる弟に近づく。かわいい寝顔にキスをする、私は彼を抱きしめる、まるで人形のようにやわらかい体に私はとても熱い波を感じる、私には味わえない波を抱いて眠る。

「ねえさんも早く元気になって」
 陽の光がまぶしく遠ざかる弟の輪郭りんかくがぼやける、私はもっと早く畑に行けば良かった、土の匂いを嗅ぎながら私は畑に倒れた。暑い夏に私は死んだ、弟のそばに居たいと願うと実現した。霊のまま彼の一生を見続けられる。夏になれば私は彼を強く抱きしめた。彼は無表情になりぼんやりと生活をする。早く私と一緒になりましょう……

白クマさんじゃなくて青ブラさんの方でした😀

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