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SS フシギドライバー #毎週ショートショートnoteの応募用
博士が達成感に高揚した表情で
「時間ドライブを完成させた」
複雑怪奇な図面を見ながら彼は笑う。
「きっと成功させて見せる」
彼が作ろうとしている機械を、フシギドライバーと名付ける。時間を駆動させられる装置だ。任意の物体の時間を変更できる。博士は一枚の水彩画を見る。簡素な線で表現された絵には女性が描かれている。彼が青年の頃に描いた作品だ。もう既に居ない恋人の絵だ。
博士は装置を完成させると墓場に運ぶ。
「死体の時間を戻せば良い きっと蘇る」
博士は装置を駆動させる。実験は成功する。想定外だったのは、墓場全体の死体を活性した事だ。ドライバーは範囲を広げながら全ての死者を蘇らせた。ありとあらゆる時代の死者も生物も蘇らせた。
地球の大半の生物は昆虫だ。墓場の上空に膨大な数の昆虫が渦巻きながら博士も蘇った恋人も覆う。息すらできない量の昆虫で博士が死んでもフシギドライバーで蘇る。ドライバーのエネルギーが切れるまで何万回も繰り返した。
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