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雑多な怪談の話

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2023年7月の記事一覧

SS 秘密警察を宣伝してみる#毎週ショートショートnoteの応募用

「秘密警察を宣伝してみる」 「おいやめとけよ……」  いつものオカルト同好会のOFF会の席で冗談を言ったつもりだった。陰謀論は昔からある、世界を牛耳る秘密結社や国の秘密の組織、ネタとしてはありふれている。フリーメイソンや公安特別部隊と同じだ、秘密警察でブログを書こうと考えた。 「秘密警察はマジでやめとけ」  なぜか周囲から必死に止められた、俺は不思議に感じながらも興味を持つ。もちろん秘密の組織なんてあるわけがない。どんなに秘密にしても漏れてしまう、政治家のスキャンダルが出る

SS 私の大切な日記 #シロクマ文芸部

 書く時間は一杯ある、日記をつける習慣がついたのは良かった事に感じる。過去を振り返りながら自分は正しかったのか考える。 「魔女、この女は魔女よ! 」  村人が叫びながら母を批判する。母は薬草で人々を助けた、塗り薬や乾燥させた粉薬を病人に与えた。母は魔女と呼ばれて無残に処刑される。私は母のようになりたくなかった。  村人は陰険で自分勝手で横暴な人たち。  誰かを助ければ、別の人に憎まれた。弱い女性や老人を見捨てるのが正義だと感じる人は多い、優遇されていると妄想する。薬を与

SS 半笑いのポッキーゲーム#毎週ショートショートnoteの応募用

「ポッキーゲームしろよ」 「闇子とポッキー、股間もポッキー? 」  ゲラゲラと笑う同級生の男女は僕たちを上から見下ろす。美也子は、ボブカットだが毛髪のボリュームがあるのか顔を隠すような女生徒だった。インキャなので闇子とからかわれている。 「もうやめよう……」  クラスメイトの半笑いのポッキーゲームは、イジメでしかない。体力も無い僕はいじめの対象に、ならないが無視されていた。学校主催の夏合宿中で、部屋は深夜でもまだ蒸し暑い。テンションが上がった彼らは異様に興奮していた。彼らは

SS 消えた鍵 #シロクマ文芸部

 消えた鍵は、地下室の扉用だ。今は開けることも無いため、探してない。 「ルルー? 地下室に行かないでね……」  母が口癖のように釘を刺す。地下に何があるのか判らないが、暗く湿った場所なのは判る。日課で母が食事を持って降りるから判る。誰かが住んでいると思うが、聞いても答えてくれない。  父は無口で太っていた。仕事が忙しく私が眠った頃に帰ってくる。だからほとんど顔を見ない。たまに私の顔を変な目で見る時がある。父には嫌われていた。  ある日、母が病気でベッドで寝たきりになると

SS ほんの一部スイカ#毎週ショートショートnoteの応募用

 真夏のスイカ畑を歩く、朝に収穫すれば良かったと流れ落ちる汗を拭う、白く細い腕は大きなスイカを抱えるのが難しく思える。 「ねえさん、またスイカ?」  ふわっとした細い髪の毛はやわらかい、弟は私に甘えてくると顔を胸に近づける。もたれかかる頭をやさしくなでた。私が愛しているのは弟かもしれない。体のどこかに波のような熱さを感じる。体感できる夏とは別の熱さだ。 「徐々に脳の一部が萎縮をしています」  若いときに発生した難病は、脳の機能にダメージを与える、長生きは出来ないと言われた

SS 私の日 #シロクマ文芸部

※読むと不快になる可能性があります、苦手な方は読み飛ばしてください。  私の日は憂鬱だ、私ばかり損している気がする。ベッドから起き上がると学校の支度をする。 「ごめんね」 「当番だから仕方が無いよ」  判ってるって、そうつぶやくと一階に降りる。母が私の顔を無表情で見ているが気にしない、いつもの事だ。自分の娘はあんたじゃない、そんな言葉がテレパシーのように伝わる。以心伝心で、人の考えなんてすぐ判る。私は「おはよう」と母に笑う。 「テストね、頑張りなさい」  中間試験が始

SS 甘い恋人【アーモンド&バズる&数独】三題話枠

「マルチグレインパンよ」  アーモンドの臭いがする、彼女はお菓子作りが楽しいのか、やたらと俺に試食させる。太ってきた。なんか虫さされなのか肌が痒い、腕をこすってると彼女がアーモンドケーキを切り分ける。 「はい、あーんして」 「自分で食べるよ」  数独のパズルを置いて自分で食べる。最近は専用の数独端末があるので無限にできるので重宝している。ケーキを食べながら甘みと苦味のバランスがいいのか口の中で香りが広がる。鼻に甘くアーモンド臭が残る。 「おいしいよ」 「ありがとう」