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ホームセンターと文章が書ける美女

「なんでもある」と言っても過言ではないホームセンター。

そんなホームセンターだが、おそらく人それぞれよく行く棚はなんとなく決まっているものだと思う。

私の場合は食器と洗剤と文房具コーナーによく行くが、それ以外は滅多に行かない。

そのためホームセンターには今までに行ったことがない棚というのは実はたくさんあり、そういう棚には今までずっと世の中に当たり前のように存在してきたのに私にとっては見たことのないような珍しいものが存在する。

ホームセンターはそういう新発見ができる場でもある。

かといって「ただぼんやりとホームセンターの中をぐるぐる見ている人」というものは店の人からすると怪しい存在かもしれないから、新発見をするためにホームセンターをぐるぐる回るのは気が引ける。

だから自分以外の人とホームセンターに行くのはとても楽しい。

今まで自分が行ったことのない棚に行き、見たことがない商品を見つけられる。

先日も「DIYがしたい」と言う夫とホームセンターに行った。

夫についてホームセンター内を歩く中で、私は「組み合わせると椅子が作れるパイプ」や「テーブルの天板だけ」などの商品を見つけた。

ミリ単位で太さが違うネジの棚を見て、私はさまざまな想像を膨らませる。

「1ミリ太さが違うことでどんな違いがあるんだろう?強度とかが変わるのかな?」

「ここで地震があったら悲惨だな……一つ一つのネジの太さを確認しながら分類するのだろうか……」

そういう時間が楽しかった。

そしてこうした体験は夫とホームセンターを歩いたからできたたものであり、私一人で出かけても体験できなかったはずのものだ。

もし妹とホームセンターに出かけたら素敵なクッションを見つけられるかもしれないし、お父さんと出かけたら自転車のチューブを見つけられるかもしれない。

「一人一人独自の価値観を持っている」

「誰一人として同じ経験をしている人はいない」

だからこそ他人とホームセンターに行くとたくさんの新発見が得られる。

ホームセンターで私一人では行くことがなかったはずの棚に連れて行くように、他人は私が知らなかった世界を見せてくれるものだと思う。

他人と会う時にはそのことを私は意識するし、私自身も相手にとってそういう人間であることを心がけていたりする。

私がビューティーコンテストに出たりモデルをやると同時に執筆活動もしているのもそんな意識があるためだ。

「やってることがめちゃくちゃだ」

「うまくいくわけがない」

といった批判は散々受けてきた。

それでも私が同時に並行しながらこれらの活動をしてきたのは、私を見る人に私を通して今までに見たことがないものを発見してほしいという思いがあるからだ。

今までモデルにしか興味がなかった人が、私をきっかけにして歴史の世界を知る。

今まで歴史にしか興味がなかった人が、私をきっかけにしてビューティーコンテストの裏側を知る。

そういう体験を私は世の中に提供したくて「文章が書ける美女」をやっている。

「文章が書ける美女」はあなたにとって「ホームセンターで今まで行ったことがない棚に行くきっかけ」とも言い換えられる。





毎月1日にエッセイ雑誌『Chocolate』を発行しています。


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