無題1

ツッコミが好きだった。
自分はボケる人間ではないと、何か薄々気づいていた気がした。
小6のとき、クラスで"お笑い係"という係に入っていた。毎週金曜日かどこかの帰りの会で、コントだか漫才を披露するのだ。その時にボケていた子は、クラスでも人気者で失敗を恐れない明るい奴らだった。他方僕はその真逆。二番煎じ的にボケをやることはあっても、決して盛り上がることはなかった。

当時、サンドウィッチマン伊達さん、フットボールアワー後藤さん、博多華丸・大吉大吉さんの3人のツッコミが大好きだった。みんなが喋った後に一言で笑いを掻っ攫っていく。魔を読んで差し込み、わかりやすくて的を得た例え、絶妙なワードチョイスと長さ。全部が美しかった。羨ましかった。僕には華はないけれど、思い切りもないけれど、好かれていないけれど、面白い人のそばでもっと面白い空気を作ることはできるかもしれない、と。

なぜかその時は「ボケよりツッコミの方が頭が良い」なんて間違った考えを持っていた。お笑い係でボケをやっていた人たちも、成績が芳しい人たちではなかった。
なんたる失策であることか!

中2の俳句の授業で先生にツッコミしたらめちゃウケた。
ケータイ小説だか何かの話になって、先生が「僕もね、誰かと心の赤外線通信をしたいんだよね」と言った時に、僕はボソッと「まぁすぐ着信拒否されると思いますが…」と呟いてみた。爆笑が起きた、わけでもない。声が小さくて近くの席の人がハハハと笑ったくらいだった。だけど先生が、「着信拒否…ツッコミ上手いな…」とつぶやいた。

嬉しかった。これまでツッコミ上手いね!と友達に言われたことは何回もあったけれど、大人の人に上手い面白いと認められたことはなかったからだ。

それから僕は、つっこむ機会を探した。つっこんでみた。色んなバラエティ番組を観て、oriconやナタリーのYouTubeチャンネルでライブイベントの切り取りを観て、自分なりに面白いツッコミは何かを考えた。

すると、時事ネタに絡めたツッコミが好きなことに気づいた。既に出た会話の内容を繋げるのが好きなことに気づいた。そして、アハ体験が好きなことに気づいた。つまり、「ああそれとこれ共通点あったわ!その見方はなかった!」と新しい気づきを提供してくれる笑いだ。
(この辺についてはまた別の機会に書きます)

だけど、ボケを作る方にも力がいることがわかった。この続きはまた明日。

じゃ、また。

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