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プロ野球の運営会社はどんな会社?♯ 6 株式会社ロッテホールディングス

 プロ野球の球団を運営する企業はどこも大企業のイメージがありますが、その中には上場していない非上場企業も何社かあります。その1つが千葉ロッテマリーンズを運営する株式会社ロッテホールディングスです。

 上場とは東京証券取引所、JASDAQ、マザーズなどの証券取引所に参加することを指します。上場することで、その会社の株を多くの人が買えるようになり、会社側も多くの人に株を買ってもらうことで資金を集めることができます。また、上場することで企業の知名度や信用を上げる効果も期待できるため、ある程度の会社規模になれば、上場をするケースが多いです。一方で大企業の中にも上場をしていない非上場企業があります。例えば、サントリーホールディングスや小学館は多くの人が知る大企業ですが、非上場企業です。ロッテホールディングスも大企業でありながら、非上場企業という立場を取っています。非上場企業であることのメリットとしては、株主の意見を気にする必要がない、財務状況を報告する義務がない、買収されるリスクがないなどがあります。

◯ロッテホールディングスの歴史と事業

 1948年、チューインガムの製造・販売からロッテの歴史は始まりました。その後もガムの製造・販売が事業の中心となり、1957年にグリーンガム、1960年にクールミントガムを発売し、ロングセラー商品となりました。現在ではロッテの主力商品であるチョコレートの販売は1964年に開始、最初の販売はガーナミルクチョコレートでした。

 ロッテの球団運営が始まったのは1971年からで、お菓子以外の事業で本格的に取り組んだ最初の事業となりました。1972年にはハンバーガーチェーンのロッテリアを設立、1979年には韓国最大のロッテホテルをソウルにオープン、事業の多角化を進めていきます。

 その一方で本業のお菓子でも、この時期から大ヒット商品を次々に発売、1979年にパイの実、1981年に雪見だいふく、1983年にチョコパイ、1984年にコアラのマーチと現在でも愛される大ヒット商品を次々に誕生させています。1989年に韓国ロッテワールドをオープンし、これも成功を収めます。2007年にロッテグループ各社を統括するロッテホールディングスを設立、現在の会社のかたちになり、その後も事業を拡大しています。ロッテホールディングスのホームページを確認すると、お菓子、投資、球団運営、ホテル、不動産、ゴルフ、ファイナンス(ローン、リースなど)、韓国事業が主な事業になるようです。

◯マリーンズがシーズン最高勝率になるためにロッテホールディングスに期待すること

 マリーンズは2005年にリーグ優勝を達成していますが、この年は日本シリーズ進出チームがリーグ優勝とするルールだったため、プレーオフを制して日本シリーズに進出したマリーンズがリーグ優勝というかたちになりましたが、シーズン最高勝率は福岡ソフトバンクホークスでした。マリーンズが最後にシーズン最高勝率を記録したのは1974年で、この年のパ・リーグは前後期制を取っていました。前期優勝の阪急ブレーブスと後期優勝のロッテオリオンズがプレーオフで対決、プレーオフを制したロッテオリオンズがリーグ優勝を果たしましたが、前期・後期の合計の成績でもロッテオリオンズが1位でした。つまり、マリーンズが前身のオリオンズ時代も含めて、最後にシーズン最高勝率を達成したのは、半世紀前ということになります。

 マリーンズがこれだけの期間、シーズン最高勝率を達成できていない理由として、様々な意見があるでしょうが、私は「50年間、他のパ・リーグ5球団に負けない強みを作れなかったから」だと思っています。

 例えば、資金力が他のチームに負けていても、ドラフト戦略が数年間当たれば、2016年〜2018年に3連覇を果たした広島東洋カープ、2006年〜2016年の間に5度のリーグ制覇、2度の日本一を達成した北海道日本ハムファイターズのように長年優勝から遠ざかっても、同年代の主力選手の活躍が重なり、それが優勝に繋がるケースがあります。しかし、マリーンズはドラフト戦略や選手育成が他球団と比べて上手いわけではありません。

 一方で2021年〜2023年に3連覇を果たしたオリックスバファローズのように球団施設や選手寮、練習場などの環境を整えることでチームが強くなるケースもありますが(もちろん、最近のバファローズのドラフト戦略や選手育成は素晴らしいです)、マリーンズの球団施設が他球団と比べて充実しているかというと、そうとは思いません。

 他にも2013年の東北楽天ゴールデンイーグルスのように、誰か1人の選手が前例のないくらいの活躍をすることでチームが優勝することもありますが、マリーンズの選手がMVPを獲得したのは1985年の落合博満さんが最後、沢村賞を受賞した投手は誰もいません(パ・リーグの選手が選考対象になったのは1989年から)。現在、マリーンズには佐々木朗希投手がいますが、年間を通して活躍できた年はなく、バファローズの山本由伸投手のように1年を通し、安定して戦える投手ではありません。

 マリーンズがシーズン最高勝率を達成するためには、何か1つでも他球団に勝てるポイントが必要だと思います。球団施設を整えたり、選手育成のためにはロッテホールディングスの力が必要になります。はっきりした言葉を使えば、ロッテホールディングスがマリーンズにどれだけ投資をするかで、マリーンズ優勝の可能性が大きく変わるはずです。

 2022年はオリックスバファローズが球団合併後初の日本一、2023年は阪神タイガースが38年振り日本一、長年に渡り叶わなかった悲願を達成する球団が増えていますが、マリーンズが半世紀に渡る最高勝率のシーズンなしの記録にピリオドを打てるかどうか、それはロッテホールディングスの取り組み次第だと思います。


◯出典
・株式会社ロッテホールディングス 2023年11月6日
https://lotte-hd.com/

・株ビギナードットネット お菓子業界で有名なロッテは上場していない?その歴史や理由とは 配信 2018年3月30日
https://kabushosin.net/lotte/

・お口の恋人 ロッテ ロッテの歩み 2023年11月6日
https://www.lotte.co.jp/corporate/about/history/

・株式会社ロッテホールディングス グループ企業 2023年11月6日
https://lotte-hd.com/group/


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