見出し画像

ジュビロ磐田がもう一度強くなる方法を一から勉強

 私が中学1年生だった2002年、日本でFIFAワールドカップが開催され、日本中でサッカーが盛り上がりました。ただ、私はこの年のサッカーの話題として、ワールドカップよりもジュビロ磐田がJリーグ史上初の完全制覇(当時のJリーグは2ステージ制で1stステージ・2ndステージの両方で優勝を果たす完全制覇はジュビロが初めてでした)を達成したことのほうが印象に残っています。私は当時からサッカーよりも野球を観る機会のほうが多かったのですが、それでも当時のジュビロの強さはよく覚えています。

 しかし、2023年のJリーグ開幕時点、ジュビロがJ1リーグの舞台で年間王者に輝いたのは2002年、国内の主要タイトルを獲得したのも2010年のヤマザキナビスコカップが最後となっており、その後は3度のJ2リーグへの降格を経験、2023年もJ2を戦いの場としています。ジュビロがJ1の舞台でもう一度輝くにはどうしたら良いのか、一から勉強して考えてみました。

◯そもそもなぜジュビロは強かったのか

 1972年、磐田市内に本社を置くヤマハ発動機がサッカー部を創部したことによって、ジュビロの歴史は始まりました。磐田市内はヤマハという大企業があるものの人口は170000人に満たない小さな街です。その小さな街のクラブであるジュビロがJリーグだけではなく、1998-99シーズンのアジアクラブ選手権を制覇、結果的に大会は中止になりましたが、FIFAクラブ世界選手権2001でレアル・マドリードに勝つためのチーム作りをしていたのです。

 ジュビロが強かったいちばんの要因はスカウティングの成功だと思います。ジュビロがJリーグに加盟したのは1994年でしたが、それ以前から中山雅史さんというチームの顔となる選手が在籍していて、1994年に藤田俊哉さん・服部年宏さん・田中誠さん・奥大介さん、1995年に名波浩さん・福西崇史さんがクラブに入団、ブラジル代表の現役のキャプテンだったドゥンガが1995年に加入。後にJリーグや日本代表で活躍する選手達に彼が勝者のメンタリティを植え付けたことがジュビロの黄金時代に繋がったのだと思います。

 Jリーグ加盟後3年ほどはドゥンガ、1988年のEUROでオランダ代表の優勝に貢献したファネンブルグ、イタリア代表で出場した1990年のワールドカップで得点王に輝いたスキラッチといった実績のある外国人選手が主力として活躍していましたが、完全優勝を果たした2002年はゴールキーパーのヴァンズワム以外は日本人選手が主力として活躍しており、しかもほとんどの選手がジュビロの生え抜きの選手だったため、2002年のジュビロはJリーグにおける理想的なクラブだったと思います。

◯大都市クラブとどのように戦っていけば良いのか

 2017年〜2022年の6年間でJリーグを制覇したのは川崎フロンターレと横浜F・マリノスの2クラブのみです。この2クラブに共通しているのは、東京に近い都会のエリアをホームタウンにしていることです。もちろん、フロンターレもF・マリノスも選手の育成や編成、集客などの努力が結果に結びついているのですが、東京や東京近郊の都会をホームタウンにすることがクラブにとって大きなメリットであることは間違いありません。

 ヨーロッパのクラブに目を向けても、レアル・マドリード、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、パリ・サンジェルマンなど、強豪クラブは首都や大都市をホームタウンとしているケースが多く、大都市のクラブだから強いわけではありませんが、強いクラブは大都市をホームタウンにしていることが多いのは事実です。

 しかし、ジュビロは磐田市をホームタウンにしているからこそ価値があり、ジュビロサポーターもそこに誇りを感じているのだと思います。そのため、磐田市をホームタウンにしながら、ジュビロが強くなる方法について考えてみます。

①ヤマハスタジアムの観客収容率を上げる

 ジュビロが長きに渡りホームスタジアムとして使用しているヤマハスタジアム。陸上トラックがなく、ピッチと観客席が非常に近いことでサポーターにも人気があると聞いたことがあります。私はヤマハスタジアムでサッカーを観戦したことはないのですが、画面からもピッチの美しさが伝わり、雰囲気の良いスタジアムなのだと思っています。2023年開幕時点でのヤマハスタジアムの収容人数は15165人。コロナ前の2019年、ジュビロはJ1を舞台に戦っていましたが、Jリーグとルヴァンカップを合わせて17試合をヤマハスタジアムで開催しました。17試合の観客動員数の合計は204974人、収容率はギリギリで80%を下回っています。ジュビロというクラブのポテンシャルを考えれば、ヤマハスタジアムでの収容率が90%は超えなければいけないと思います。当然、J2が舞台になると、観客の収容率は下がってしまいます。

 クラブが強くなるためにやるべきことはいろいろありますが、観客動員を増やす努力はすぐにできることです。満員のスタジアムでたくさんのお客さんに観られることが選手の成長に繋がり、観客動員数が増えればクラブの収入も上がり、選手の補強や設備への投資などの強化費を増やすこともできます。

 もしも、ジュビロサポーターだけで満員にするのが難しいのであれば、相手クラブのサポーターが足を運びたくなるような取り組みをすれば良いと思います。ジュビロと相手クラブをコラボレーションしたグッズ付きのチケットを販売するなど、できることはあるはずです。Jリーグのクラブは同じ地域や近隣のクラブと対戦する際は『ダービーマッチ』と銘打ち、率先して盛り上げることが多いのですが、同じホームタウンや近隣のクラブとの試合は相手クラブのサポーターも多く駆けつけるため、最初から多くの観客動員が見込めます。2019年にヤマハスタジアムで開催したリーグ戦の試合で最も観客動員数が多かったのは名古屋グランパス戦、次に多かったのが松本山雅FC戦、どちらも磐田市から比較的距離が近いクラブでした。一方で遠方のクラブと対戦する時は集客に苦労することが多いため、遠方のクラブと対戦する時こそクラブ側からの仕掛けが必要だと思います。2019年のジュビロのJリーグの試合で最も観客動員数が少なかったのはサガン鳥栖戦で9416人でした。では、ジュビロ磐田VSサガン鳥栖との試合でどのような仕掛けがあると、サガン鳥栖サポーターがヤマハスタジアムへ駆け付けてくれるのか。

 ジュビロとサガン鳥栖の共通点を考えてみると、どちらもクラブカラーが青系統、鳥をモチーフにしたマスコット、ホームタウンの人口が少ないなどがあります。そこからコラボグッズを企画して、グッズ付きのチケットを販売するなどのイベントを実施すれば、相手サポーターがヤマハスタジアムへ足を運ぶきっかけになると思います。鳥栖で開催されるジュビロの試合で別バージョンのグッズを販売すれば、鳥栖へ足を運ぶジュビロサポーターも増えて、お互いがWinwinの関係になるため、実現できる可能性が上がるはずです。

②覚悟を決めて若手選手を起用する

 現在のジュビロについて若手の育成や外国人の補強などの編成面での良いところを調べたのですが、正直、今のジュビロは良いところを探すほうが難しいと思いました(笑)2023年5月7日(日)終了時点でジュビロはJ1昇格プレーオフ圏内の6位ヴァンフォーレ甲府と勝ち点差3の10位となっています。ジュビロの傾向として、ベテランの選手を重用し過ぎていると思います。

 例えば、2023年2月18日に開催されたファジアーノ岡山との開幕戦にスタメンで出場したジュビロの選手の平均年齢は29.6歳、30歳を超える選手が6名おり、24歳以下は針谷岳晃選手の1名のみでした。ジュビロはファビアン・ゴンザレス選手の契約問題によって、2023年のJリーグ開幕前に選手の補強をできなかったことで選手の平均年齢が高くなっている部分ももちろんあると思いますが、いくら何でもスタメンの平均年齢が29.6歳は高すぎると思います。

 ジュビロとしてはJ3降格という事態だけは避けなければいけないため、経験のある選手を起用して、危ない橋を渡らないようにしているのかもしれませんが、若手の選手を使わなければ、クラブが強くなることはないと思います。極端な話、来シーズンJ3へ降格したとしても最短ならば、そこから2年でJ1へ返り咲くこともできるのです。経験のある選手を重用する起用を続けていれば、J3降格はないとしても、クラブが強くなることはなく、5年10年とJ2に定着してしまう可能性もあります。そのほうがクラブにとっても、選手にとっても、サポーターにとっても不幸だと思います。

 そんなジュビロですが、明るい話題も出てきています。2023年のJリーグ開幕戦で途中出場をした17歳の後藤啓介選手が試合終了間際に2点を取り、少ない時間で結果を残しました。5月7日終了時点で4得点を獲得しており、今後が楽しみな選手です。

 5月7日にアウェイで戦ったジェフ千葉戦は43歳の遠藤保仁選手がスタメンに出場する中でスタメンの平均年齢が27.9歳、遠藤選手以外のスタメン10人の平均年齢は26.4歳と開幕戦よりも若い選手の起用が増えています。若い選手の出番が増えて、彼らが活躍する機会が増えれば、ジュビロがJ1の舞台でもう一度輝く未来も十分にあると思います。


◯出典
・ジュビロ磐田公式サイト クラブの歴史 2023年5月10日
https://www.jubilo-iwata.co.jp/club/history.php

・磐田市公式ウェブサイト 統計 2023年5月10日
https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shiseijouhou/profile/toukei/index.html

・ジュビロ磐田公式サイト クラブの戦績 2023年5月10日
https://www.jubilo-iwata.co.jp/club/major_record.php

・ジュビロ磐田公式サイト 歴代全選手リスト 2023年5月10日
https://www.jubilo-iwata.co.jp/tas/list/

・ジュビロ磐田公式サイト ヤマハスタジアム 2023年5月10日
https://www.jubilo-iwata.co.jp/stadium/yamaha.php

・Soccer D.B. 2023年5月10日
https://soccer-db.net/team/attendance.php?te=1024&yr=2019

・ジュビロ磐田公式サイト 試合日程・結果一覧 2023年5月10日
https://www.jubilo-iwata.co.jp/match/2023/

・ジュビロ磐田公式サイト トップチーム選手 2023年5月10日
https://www.jubilo-iwata.co.jp/season/player/2023


 読んでいただき、ありがとうございます。多くの方の心に響く作品や記事が書けるよう、今後も努力を重ねていきます。「作品や記事がおもしろかった」と思っていただいた方、興味を持ってくださった方は支援をしていただけると、とても嬉しいです。

ここから先は

77字

¥ 300

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?