「おもしろ乳化マシーン」で遊んでみた
ある日、管理栄養士の同僚に
「とろみがついたコーラ、飲んだことある?かなりイケるよ」
と言われました。
中華丼のあんかけみたいなコーラ…?
それとも、とろろ汁のようなヌルっと感……?
もしかして、わらび餅的なやつ……?
全くもって味の想像がついていない私に、介護施設で働いていた彼女が言うには、とろみコーラは嚥下食の一つだということ。食べ物を飲み込む力が弱くなった方は、口に入れるものにとろみをつけることで、誤嚥(食べ物が気管に入ってむせるアレ)を防ぎます。その時ヘルスケアの仕事をしていたので、同僚は私が嚥下食に興味を持てるよう「とろみコーラがおいしいよ!」と教えてくれたのでした。へぇ~そんな工夫があるのね~と思いつつ、飲む機会がないまま数年。
そんなところに、おもしろ乳化マシーンで遊ぼう!という集いがあったので「とろみコーラを作ってみたい」と思い、参加してきました。
ところで、当たり前のように「おもしろ乳化マシーン」と呼んでいますが、正式名称は【ウルトラファインバブル 乳化専用調理器 CLOSER FINE MIX】です。
直径0.1ミリ未満の泡「ファインバブル」技術を採用し、水と油を細かく混ぜることで乳化を可能にしています。
2023年3月15日(水)にリリース予定の最先端調理デバイス。
そんなカッコいい機械ですが、結論。
コーラの乳化、やめとこか。
というのも、乳化は「水」と「油」という、本来は混ざらないものたちを混ざった状態にすること。なので、乳化でコーラにとろみをつけるなら、コーラという水に「なんらかの油脂」をぶちこまないと乳化しないんですね。
油コーラ、ちょっとね……(同僚に連絡したら、とろみコーラの「とろみ」は乳化ではないと丁寧に教えてくれました。ごめんね、ありがとう)。
しかし!乳化でおいしくなるものは、世の中にたくさんあります。ペペロンチーノなんて、まさにです。コーラ以外を色々と試してみました。
参加メンバーは、家庭料理コンサルタントの古谷さん、料理人のHさん、料理は好きだけど乳化のことがそもそも分かっていなかった私、炭田の三人です。
レッツ・実験!
①水×チョコレート=チョコレートドリンク
トップバッターは、メーカーさんおすすめの組み合わせ。はじめは安心感のあるところからチャレンジです。まずはコーヒーのみを入れてスイッチON。すると、ものの数秒でミルク感のある色に!
食のプロお二人によると、チョコレート(油脂)を入れる前でも色が変わるのは、コーヒーにも油分が含まれるからでは?とのこと。
出来上がったものを飲んだら、使用した水との相性なのか、お二人は「カルキの雑味が立つなぁ」と首を捻っていました。私はというと、そんなに分からず。小学生の頃におばあちゃんの家ではじめて飲んだ「牛乳ではなく水で溶かしたココアの味」がするなぁ~と思っていました。懐かしい。
「水に溶かしたチョコの味」ではなく、ミルキー感はしっかりある、というのが満場一致の意見でした。
②コーヒー×バター=バターコーヒー
ダイエットに効くとかなんとか耳にする、バターコーヒー。有塩バターだったせいか、これはちょっとえぐみのある変な味に。
とはいえ、私はバターコーヒー自体を口にするのが初めての経験だったので、乳化が原因なのかはわからずでした。バターコーヒーを飲んでから、リベンジしたい。
③トマトジュース×オリーブオイル=ガスパチョ
どうやってもまずくなるわけないよね、と実験。おいし~い。
全員、ごくごく飲みました。と、ここで「ブレンダーで混ぜるのと、どう違うんだろうね?」という疑問が、料理人Hさんから投げ掛けられます。た、確かに……。途端にグラつく一同。
早速ブレンダーを持ってきて、回し始める古谷さん。仕事が早いです。ブイーンと回したものと飲み比べてところ、いやはや、全然違う!
【CLOSER FINE MIX】で混ぜたもの(上)は、油が浮いておらずきちんと混ざっている(乳化している)のが、パッと見で分かります。味は変わらないのに、ブレンダーに比べて全体としてすごく良い印象。
すごいぜ、【CLOSER FINE MIX】。
④いちご×ココナッツオイル=いちごソース
これは私のリクエストで実験しました。最近シフォンケーキづくりにハマっているので、お菓子のソースとして合わせたら美味しいのでは?と。味の想像も出来るので、全員余裕です。
「平野レミさんの包丁、フッ素コーティングだから研ぎやすくて超おすすめ」とか「山崎実業のtowerシリーズの何を使っているか」とか「無印良品のシリコンスプーン便利だよね、3本買っちゃった」とか。推しグッズのプレゼン大会が始まるほど。
ただひとつ誤算が。【CLOSER FINE MIX】は固形物がNGなので、いちごをブレンダーにかけて細かくして、さらに種を茶漉しで漉すという地味に大変な作業が発生。もしかするといちごの種くらいのサイズなら大丈夫なのかもしれませんが、借り物なので慎重に。
出来上がったものは、まさに「飲むいちごムース」!子供も大人も大好きな味でした。
⑤鶏がらスープ×豆乳×水=鶏ポタスープ
こちらも私がリクエスト。【CLOSER FINE MIX】を使えば、ラーメンのスープをすごくヘルシーに作れるのでは?と思っての挑戦です。
ただ、豆乳だけでは油分が足りず乳化する気配がなく、結局「ごま油」も追加突入。このごま油の種類が良くなかったのか、えぐい味に。
でも料理人Hさんが「乳化したことによるマイルドさはあるから、ヴィーガン対応のスープを作れると思えば、素材の工夫次第で全然あり!」と。なるほど、そういう活かし方もあるんですね。Hさんは、クセのない米油や太白ごま油で試してみたいと仰っていました。
やっぱりすごいぞ、【CLOSER FINE MIX】。
⑥レモン汁×バター=糖質オフ・レモンカード
これは、料理教室も主宰する古谷さんのアイデア。小麦粉を使わないレモンカードを作れたら、活用の幅がかなり広がるのでは?とのこと。
レモンカードもカスタードクリームもホワイトシチューも、とろみは大体「小麦粉」。【CLOSER FINE MIX】の乳化パワーだけでとろみを生み出せたら、可能性は無限大!
ただ、5分近くスイッチONにしていても、レモンカードのとろっとした見た目にはならず。最後はボウルに移し、泡立て器で空気を含ませました。まさかの人力。
レモンカードにはならなかったけど、ふわっとした舌ざわりのレモンバターになりました。「肉料理に合わせたら面白そう」と、料理人Hさん。試行錯誤も楽しい【CLOSER FINE MIX】です。
まとめ
他にもお酒を混ぜてみたり、出来上がったものを冷やしたり、温めたり、色々と試してみて面白かったです。まさに、おもしろ乳化マシーン!
実際に使ってみたことで「水と油のバランスに規定はあるのか?」「80℃以上の食材はNGなら、熱々で提供したい場合は温めるのか?」「その際、乳化はどのくらいの時間維持されるのか?」「容量が250mlなので、店舗で使う場合のオペレーションはどうするか?」などなど、気になる点も沢山ありました。
私はライターなので、色々なジャンルの料理人の方に「乳化するなら、どんな素材を組み合わせたいですか?」と、根掘り葉掘りインタビューして回りたくなりました。もちろん一緒に実験して!