つわりにまつわるエトセトラ

まず最初に言っておくと、私のつわりはたぶん、軽い方だった。

これは大変嬉しい誤算で、私の母は妊娠当時つわりが酷くて入院したらしく、つわりは母親に似ると聞いていたので、私も当然酷いだろうと覚悟を決めていた。

これまでに友人知人からつわりがどれほど恐ろしいものかというのを聞く機会が多かったので、情報のストックだけは大量にあり、中でも私を怖がらせたのは「毎日が二日酔い状態」というワードだった。

これ、1番よく聞くワードだったのだが、何を隠そう私は無類の酒好きなので、これまでの三十うん年で二日酔いで悶え苦しんだ日は数知れず。

完全なる自業自得だがあの時の苦しみと言ったらそれは壮絶なものだった。

それが毎日。
...果たして耐えられるのだろうか。

つわりのはじまり

はじめてムカムカを感じたのは妊娠6週頃だった。

キタキタキタキタ

ここから壮絶なエブリデイ二日酔いが始まるのだ…と戦々恐々としていたのだが、1日が過ぎ、3日が過ぎ、1週間が過ぎても、なんかこうガツンと悪くなることがなく、なんかムカムカするな、の状態が続いた。

特に空腹時。これはいわゆる食べづわりというやつだった。お腹が空いていると若干気持ち悪く、食べるとおさまる。

あとは、何故か18時頃になると決まってムカムカがやってきた。そして、軽いながらも1番しんどかったのはお風呂と歯磨きだった。湯船から上がると気持ち悪くなり、そしてそれがなかなか回復しない。歯磨きも、奥歯を磨く度にウオェェェェとえずいていた。

そんなわけで18時にムカムカが始まってから、お風呂→歯磨きと続くので、夜はだいたい調子が悪かった。

救世主はグレープフルーツジュース

グレープフルーツが妊婦の味方とはよく聞くが、これが本当にそうだった。これまでの人生でこんなにもグレープフルーツジュースがおいしいと思ったことがあっただろうか。あの酸味と苦味が喉を通ると、不思議とムカムカがすーっとおさまるのだ。だからこの時期はお風呂あがりのグレープフルーツジュースが欠かせなかった。

つわり中によく食べていたのは他にカップラーメン、いちご、おろしうどん、梅、グミなど。どんな偏食だよとつっこみたくなるが、つわりの期間は口の中がずっと苦い感じがして、だいたい何を食べてもあまり美味しくなかった。そんな中で一応喉を通ったのが何故かこれらのものだったということだ。

つわりのおわり

私のつわりライフはえずきこそしたものの結局一度も吐くことはなかった。よく聞く「ごはんが炊ける匂い」も平気で、匂い全般は何を嗅いでもほとんど大丈夫だったが、唯一ダメだったのが、

「夫が出た後のトイレの匂い」

これはもう、ウオェェェェって感じだった。夫には、トイレを出る前に柑橘系の消臭スプレーをこれでもかと噴射してから出てもらうことで対処した。なのでこの時期の我が家のトイレは常にレモンの香りが充満していた。

そんな私のつわりは、9〜10週あたりに一応のピークを迎え、12週くらいには軽くなってきて15週くらいには終わった。つわりはある日突然霧が晴れたようにパッとなくなるものかと思っていたが、とてもじわじわと終息した感じだった。

つわりを経験してみて

結論、私のつわりの感想は「二日酔いの方が断然きつい」です。

ひどいつわりに苦しんでいる方からしたらふざけんな!って感じだと思うのだが、とにかく私に限っては、ビビりまくっていたわりにはたいしたことなかった。

しかし、そんな軽つわりの私だって、やはりそれなりにしんどかった。何がしんどいって、つわり期間を通して、ずーっと「だるい」のだ。これは安定期に入った今ならよりハッキリとわかる。平常時と比べ、猛烈にだるいし疲れやすいし眠い。だから何をするにも身が入らない。

これ、いつまで続くねん、、つわり、もう飽きた!!つわり飽きた!!!!と叫んだ日もあった。私ですらそんな状態だったのだから、つわりが重い妊婦の方々の苦悩が偲ばれる。

私のつわり期間中は、コロナの外出自粛期間ともろ被りだったので、毎日在宅勤務だった夫が家事の一切をこなしてくれ、それには大変助けられた。特に夜は体調が悪かったので、洗い物をする夫を横目にソファでぐで〜っとしながら「感謝」(合掌)てな毎日だった。

でもこれ、もし外出自粛になっていなかったとしたら。夫は普段から仕事で帰りが22時を過ぎることもざらにあったので、なんかもっとこう、ギクシャクした、イライラしたつわり期間を過ごしていたのではないだろうか。そう思うと、大変な期間ではあったが、夫のありがたみを再認識し、彼は彼なりにできることをしているのだから私も頑張ろうという気持ちになれたというのは幸福だったと思う。

以前読んだエッセイにこんなことが書かれていた。

「一緒に戦う仲間だったはずの夫が、産んだ瞬間、最初に倒す敵になる」

出産を経て夫婦仲が険悪になるというのはよく聞く話だが、ただでさえ試練の多い妊娠出産、できることならば、ずっと一緒に戦う仲間でい続けたいと願う。

まずは一勝、つわりという試練を2人で無事に乗り越えたことに乾杯したい。(ノンアルコールビールで)


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