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あの人が、本気でビジネスに目覚めたら?【桃太郎/桃太郎編】

■ペットフード業界に新風を巻き起こすピーチボーイズ(代表・桃太郎)

  成長を続けるペットフード業界において画期的な商品を発売し、新風を巻き起こしているのが、株式会社ピーチボーイズだ。

 同社の社長を務める桃太郎氏は、不遇な幼少時代を過ごしながら、それをバネに大きな成功を掴んだ立志伝中の人として知られている。

 誕生して間もなく、巨大な桃の中に押し込められ、川に流されるという虐待を受けた桃太郎氏。その後、運良く血縁のない高齢夫婦に拾われて養育されるものの、ほぼ自給自足の生活は、決して裕福と言えるものではなかった。

 それでも養父母の愛情を一身に受けた桃太郎氏は、一獲千金を夢見て冒険家の道へ。それまで誰も成し得なかった孤島「鬼ヶ島」で鬼を退治するという偉業を達成し、莫大な富を得ることに成功した。

 桃太郎氏の立身出世伝は、数多くの出版社から書籍化されたほか、アニメやゲーム、音楽など幅広いメディアで展開され、最近では桃太郎氏自身がケータイキャリアのauのテレビCMなどに出演。小さな子供から高齢者まで、日本国内に知らない人はいないほどの抜群の知名度を誇っている。

■冒険家を引退し、大ヒット商品「きびだんご」を開発

 冒険家を引退した桃太郎氏は、養父母が手作りする「きびだんご」に着目。冒険家時代にサポートスタッフとしてイヌ、キジ、サルを同行させる際、報酬としてきびだんごを差し出すと従順になったことから、これをペットフードとして販売することを思いつく。

 養父母からきびだんごのレシピを伝授された桃太郎氏は、早速イヌ、キジ、サルと共に量産化に着手。「お腰につけたきびだんご」の商品名で売り出すと、「も~もたろさん、ももたろさん~♪」というキャッチーなCMソングで一気に知名度を高め、爆発的なヒットを記録することとなった。

 同商品の最大の特長は、どんなペットでもすぐに懐く点だ。とりわけイヌやサル、キジには効果てきめんで、飼い主に反抗して言うことを聞かないペットでも、これを食べればたちどころに従順になるという。

 ただ、今後の成長の足枷になりそうなのが「類似品の横行」だ。宅配ビジネスで急成長を続ける野比株式会社(代表・野比のび太)なども「桃太郎印のきびだんご」という名称のペットフードを販売している。

 同社では今後、類似品を販売する企業を相手に訴訟を起こす構えだが、す岡山県あたりではすでに大量の類似品が出回っており、すべてを排除するのは至難の業だといえそうだ。

■盗難品である金品の着服、さらには強盗殺人の疑惑も

 さらに問題となりそうなのが、桃太郎氏の「黒い資金」である。設立資金の大半は、桃太郎氏が少年時代、鬼退治で得た財宝が原資となっているからだ。

 桃太郎氏が得た財宝は、鬼が窃盗や強盗によって得た「盗難品」と考えるのが妥当だろう。桃太郎氏がこれらの財宝を、盗難品を知りながら持ち主の了解を得ずに着服していたとなれば、大問題となることは必至である。

 加えて、桃太郎氏の幼少期を描いた書籍『桃太郎』によると、「鬼を殺害した」と類推される記述が多くみられる。この鬼が、仮に人間から変化したものだとすれば、法律上は「人間」とみなされる可能性も捨てきれない。そうなれば、桃太郎氏の「鬼退治」は、強盗殺人に該当する恐れもあるのだ。

 『桃太郎』の改訂版では、「鬼を殺した」という表現を避けて「仲良くなった」と変更されているものが多い。これについて、犯罪学の専門家の間では、「過去の犯罪が明るみに出るのを防ぐための火消しなのでは?」と分析する向きもある。

 少年法が適用される年齢であることから、罪に問われる可能性は低いと言えるが、経営者が強盗殺人事件の主犯だったとなれば、ペットフード業界を大きく揺るがす、一大スキャンダルに発展することは避けられそうにない。

 鬼は「人間」なのか。そもそもなぜ、きびだんごを食べさせて鬼を手なずけなかったのか――。桃太郎氏の今後の発言に注目が集まっている。

(文・空想ビジネスオンライン 編集長/もっぴ)

※この記事はフィクションです。


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