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話題を集めるiDeco制度改正。でも、加入をお勧めできるのはフリーではなく…

おはようございます、ひらっちです。今日は娘の運動会です。午前中は仕事を休んで、ライターではなくカメラマンとして活躍する予定です(笑)

<いつものように簡単な自己紹介です>

僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。

このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。

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■2022年に相次いだ「iDeCo」の制度改正

あらためまして、ひらっちです。今日は、最近何かと話題の「iDeCo(イデコ)について書いてみたいと思います。

そもそも、皆さんは「iDeCo(イデコ)」って制度、ご存知でしょうか? きっと詳しく知らないという方も多いと思いますので、最初に改めて解説しますね。

「iDeCo」とは「個人型確定拠出年金」と言われるもので、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度のこと。加入は任意です。

自分で申し込み、掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。 掛金とその運用益との合計額を給付として受け取れ、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置を受けられます。そのため、老後の資産形成に有利だということで注目されているわけですね。

2022年の今年は、この「iDeCo」の制度改正が相次ぎました。詳しくはiDeCoの実施機関である国民年金基金連合会が運営する公式サイトに詳しくまとまっています。気になる方は、下記のリンクからページに飛んで確認してみてください。

方向性としては「より使いやすい制度へと改正が行われた」といった感じでしょうか。

もちろん、これ自体はいいことですが、そもそも「iDeCo」の本質は、年金の2階建て部分にあたる厚生年金に加入できない自営業者・フリーランスの老後資金の拡充という意図があったと思うのですが、会社員や公務員へと制度が広がってきている印象です。

せっかく始めた制度なのに、いまいち伸びていかない「iDeCo」。その穴埋めをするため、会社員や公務員の3階建て部分の拡充という形で加入者を伸ばそうという狙いが透けて見える感じがします。さて、皆さんはどのようにお感じになりますでしょうか?

■フリーランスにはやっぱりお勧めできない理由

実は、僕自身は「iDeCo消極派」です。ただ、実際には夫婦で加入しています。「絶対に加入したくない」と思っていたのですが、「老後問題どうするの!」とすごい圧で迫ってくる妻を納得させるため、完全な余剰資金分だけ加入しています(笑)。

では、なぜ僕が「iDeCo」に消極的なのか? 過去にもデメリットに触れた記事を書いておりますが、改めてまとめてみたいと思います。

僕は、大半の方、とりわけフリーランスや個人事業主にとって「iDeCoは良い制度じゃない」と思っています。金融関係の人は、使ってもわらないと困るので明確に反対できないのでは?なんて勘ぐってしまうぐらいです。

では、どうしてiDeCoは「ダメダメ」なんでしょうか? その理由をまとめてみたいと思います。

・60歳まで引き出せない!

新型コロナの影響があらゆる業種を直撃しましたが、この2年半で改めて浮き彫りになったのが「キャッシュ・イズ・キング」という事実です。やはりピンチに役立つのは、手持ちの現金。にも関わらず、iDeCoは60歳まで引き出すことができない。これは明らかにデメリットです。

この点は、個人事業主やフリーランスの方が切実です。自営業者(第一号被保険者)の掛け金は、月額最大6万8000円。これをコツコツと貯めていけば、かなりまとまったお金が貯まります。にもかかわらず、事業がピンチになってもそれを取り崩すことができない。これは相当厳しいです。

このデメリットを勘案すると、所得控除というメリットはないものの、自由に現金化できる「つみたてNISA」の方が断然いいと個人的には思います。

・結局、出口で課税される!

iDeCoのメリットに「節税効果」を上げる専門家が多いですが、本当にそこまで大きなメリットでしょうか。

確かにiDeCoには「積立段階の非課税」と「運用段階の非課税」があります。そのため、なかには「支払時に節税できるうえに、受け取りの時も課税されないなんてメッチャいい!」と勘違いしている人がいますが、受け取りの時にはちゃんと課税されます。途中は目をつぶるけど、最後はちゃんと払ってね!みたいな制度なのです。

出口の節税をきちんと考えないと、結局「行ってこい」であんまり変わらないことになります。さらにいえば、本来利益の20%の課税で済むところが、たっぷり利益が出ていると余計に取られてしまう、なんてことも考えられるのです。

そもそも40年後、今のままちゃんと国が節税を考えてくれる保証はどこにもありません。特に、iDeCo以外の年金支給額が多い方、退職金の支給額が多い方は、かなり注意が必要です。

入口と出口の問題は、節税方法としてオススメされることが多い「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」も同じです。支払う時には控除されますが、受け取りの時にはちゃんと課税されます。有効に節税するにはそれなりの専門知識が必要になるのです。

・意外にバカにならない手数料?

長期投資を行う際には、そこにかかるコストを抑えるのが鉄則です。ところがiDeCoでは、加入時のほか、口座を維持管理するための手数料や、給付を受ける時の手数料などが少しずつ取られていきます。

これがあるため、iDeCoで少額しか資産を運用していない場合、コストがかなりの割合を占めてしまう可能性があります。

特に盲点なのが、最後に受け取る時の手数料です。給付を受ける際には、「一括受取」or「分割受取」を選びますが、どちらも1回につき440円の手数料が発生します。年金の足しにしようと年6回受け取る形にしたら、年間6回で合計2640円を毎年のように支払う必要が出てくるわけです。

・小規模企業共済の方が良くない?

フリーランスや個人事業主が引退後の資金を蓄えるなら、まずは「小規模企業共済」を検討した方がいいのでは?と考えているのも、iDeCoに消極的な理由の一つです。

掛け金は年間84万円。すべてが所得控除になります。以前は事業主のみが加入できる制度でしたが、10年ほど前から個人事業主1人につき2人まで、共同経営者として加入することが可能になりました。ご主人が事業主として84万円を支払い、青色専従者の妻がさらに84万円支払うことで、合計168万円の控除を受けることができるのです。

小規模企業共済であれば、掛け金の範囲内で貸し付けを受けることができます。また、やむなく廃業した時も支給を受けられる。本当にピンチの時に現金を確保できる機能があるのは相当大きな違いです。

予定利率の1%で、銀行に預けているのに比べるとかなり利率もいいです。これを30年間続ければ、節税しながら5000万円以上の退職金を蓄えられます。

iDeCoを使うのであれば、小規模企業共済を支払ってもなお、手持ち資金に相当余裕がある方に限定されると思います。

できる限り満額を支払い、それを60歳までずっと続けられる可能性が高い方であれば、メリットを享受できるでしょう。ただ、小規模企業共済=退職金なので、さらにiDeCoで利益が出ているとなると、受け取り時の税金には十分注意が必要ですが。

■まとめ

iDeCoは、ある意味、「大企業に終身雇用で勤め続ける昭和的サラリーマン」や「日本最強の安定就職先である公務員」こそメリットが大きい制度だと言えます。

ただ、みなさんもご承知の通り、特に若い人にとって、終身雇用はすでに幻想となりつつある。人生の後半をすっきり見通せるという人は誰もいないはずです。それにも関わらず、若いうちから「老後資金しばり」のお金を大量に積み立てていくのは、人生の自由度を著しく毀損する可能性が高いです。

iDeCoは、死んでもサラリーマンを続けると固く覚悟を決めた人、あるいはお金が余って仕方がない人こそ利用すべき制度です。そうでない人が利用するなら「このお金は老後まで絶対に手を付けない」と言い切れる分だけに留めておく。ぜひそうして欲しいと思います。


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