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あの人が、本気でビジネスに目覚めたら?【浦島太郎/浦島太郎編】

■株式会社竜宮城(代表・浦島太郎)、シニア起業のモデルケースに

  「人生100年時代」を迎え、日本政府も高齢者の活躍を強く後押しするなか、長年培った経験やスキルを活かしたシニア起業が注目を集めている。こうした中、シニア起業のモデルケースとして注目を集めているのが株式会社竜宮城だ。

 同社の創業者・浦島太郎氏の存在を知らない人は、日本ではおそらくいないのではないだろうか。

 腕利きの漁師として活躍していた20代の頃、近隣の子どもにいじめられていた亀を助けた浦島氏は、その亀に海底へと引きずり込まれてしまう。宮殿のような建物に連れ込まれ、以後、数十年にわたって監禁されることに。

 強いマインドコントロールによって幻覚を起こし、両親の最期に立ち会うことすらできなかった浦島氏。長期の監禁から無事解放された時には、すでに90歳を超えていたーー。

 この悲劇の物語は、メディアでもたびたび取り上げられ、書籍や絵本として出版されたほか、アニメ化もされ、日本国中に広く知れ渡ることとなった。

 監禁から解放された後、海を眺めてのんびり過ごす日々を続けていた浦島氏だったが、その後、漁師時代から片鱗を見せていた商才を発揮し始める。監禁中に値上がりした自宅の土地を売却し、この資金を元手に新たなビジネスを立ち上げたのである。

■キャンプブームに乗り、燻製キット「玉手箱」が大ヒット

 2010年に株式会社竜宮城を設立し、浦島氏がまず目を付けたのが「燻製」だ。元漁師ならではの知見を活かし、スモークサーモンなど魚介類の燻製を手軽に自作できるキット「玉手箱」を発売。するとこれが折からのキャンプブームに乗り、年間10万個を売り上げる大ヒット商品を記録した。

 燻製キットで成功を収めた浦島氏は、意外な分野の進出を決める。それは「メンズ美容市場」だ。

 2015年4月、誰でも老け顔になれる男性向け新感覚美容キット「玉手箱」を売り出した同社。発売当初は「こんな商品、売れるわけがない」と酷評する専門家が大半だったが、大方の予想に反し、ダンディな大人の男に憧れる若い世代から爆発的な人気を獲得。ベイビーフェイスにコンプレックスを持つ人、若く見られるのが嫌な人たちから幅広い支持を集めている。

 利用者からは「これまでは若く見られて軽くあしらわれることが多かった。老け顔になったことで取引先からも信頼されるようになった」といった声が上がる。特に仕事面でのプラスの効果を口にする人が多いという。

 ただ、この美容キット「玉手箱」を巡っては、見た目だけでなく「体力まで衰えた」「記憶力が明らかに落ちた」といったクレームが急増しているという。この老化問題が事実であれば、「大きな訴訟問題に発展する可能性が高い」と指摘する専門家も。こればかりは「煙に巻いて話を終わりにする」というわけにはいかないだろう。

(文・空想ビジネスオンライン 編集長/もっぴ)

※この記事はフィクションです。

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