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【総集編】僕が推奨する「農的FIRE」とは?

こんにちは、ひらっちです。今日は取材で三重県四日市市に来ています。雪が心配でしたが、今のところ天候も回復してきて、撮影も順調に進んでいる様子。よかった・・・。というわけで、今日のnoteはインタビューの合間に書いております。

本日は、過去の記事をまとめた「総集編」をお届けしたいと思います。はじめての試みですが、「リタイア」「FIRE」関連の記事を1本に再編集してみましたので、よろしければぜひお楽しみください(^^)

<いつものように簡単な自己紹介です>

僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。

このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。

■そもそもFIREとは?

最近、「FIRE」という言葉が注目されています。「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early 」の略で、 経済的独立と早期退職を目標とするライフスタイルを啓蒙するムーブメントのこと。金融資産などからのリターンが生活費を上回る状態のことを指しています。

さらに「サイドFIRE」という考え方も浸透してきているようですね。文字通り、「FIRE」を半分達成している状態、生活費の半分ぐらいは金融資産からのリターンなどで稼ぎ、もう半分を働いて稼ぐライフスタイルのこと。要するに「セミリタイア」と同じような考え方です。

僕が理想だと考えている「ほぼセミリタイア状態」は、ざっとこんな感じです。

●5,000万円ぐらいの金融資産を確保する
●楽しみながら長く続けられる仕事を持つ
●自給自足のスキルを磨き、家庭菜園を始める


以下、詳しく解説していきます。

【1】5,000万円ぐらいの金融資産を確保する

長期投資の世界では、おおむね年4%ぐらいのリターンが得られるとされています。あくまで期待値であって、1年ごとに区切ればリターンは上下しますが、十分に手数料が安いインデックス投信に長期間投資をすれば、だいたいこれくらいの平均値の収斂するというお話です。この数字を信じるとすると、5,000万円で年間200万円のリターンを得られる計算となります。

最大の注意点は、「あくまで過去からの推測であり、未来は確実に予測でない」という点です。

大事なのは「過度にリスクを取って多くのリターンを得よう」と欲をかかないこと。特にリタイア状態になった後は、自分で稼いで挽回する余地がなくなりますので、虎の子の金融資産を大きく減らす行為は、自分の首を絞めることに直結します。くれぐれも投資詐欺にはご注意を!

【2】楽しみながら長く続けられる仕事を持つ

苦しい仕事をしてもいいですけど、「長く続ける」ことが大事なので、目先の収入よりも「楽しさ」を優先して仕事を選ぶことがポイントです。

目安となる年収は200万円くらいでしょうか。月15~20万円ほどを楽しく稼げる仕事を見つけるのが理想です。40代半ばであれば、まだ全く新しいことを始めてもギリギリ間に合う最後のタイミングだと思います。10年ぐらいかけてじっくり実績をため、70歳近くまで稼ぎ続けられるのがいいですかね。

「そんな仕事ないよ」という方は、楽しみながらできるアルバイトでもいいかもしれない。10万円ぐらいなら何とかなりそうです。ただ、小さな副業でもいいので、いろんな節税メリットを得やすい個人事業主にはなっておきたいですかね。

アルバイトで社会保険に入れてもらい、副業で個人事業主の節税メリットを活かしながらスモールビジネスをするなど、「給与所得者」と「事業所得者」の両者のメリットを享受できる「二刀流」状態を作れるとベストです。

働き続けることは、心と体の健康維持にも役立つはず。ポイントは「くれぐれもストレスが過度にかかる仕事は選ばないこと」。すべてを金融資産からのリターンに頼ってしまうと、社会環境が激変した時に打つ手がなくなる可能性があるので、リスクヘッジの意味でも働き続けることは有用です。

【3】自給自足のスキルを磨き、家庭菜園を始める

ここは、僕ならではの要素かもしれません。自給自足は、仮に現在の資本主義社会がメッタメタになったとしても、生き延びられる術を持つことになります。

【1】【2】だけでは、100年に1度の経済危機が直撃し、そこでの立ち振る舞いを間違ってしまった場合、生きていけないくらいのピンチに直面する可能性があります。どちらも、現時点の社会経済に立脚した術ですから。

自分でお米を育てたり、野菜を作ったりすることができれば、お金という便利なツールが「単なる紙切れ」になったとしても、十分豊かに生き延びていけます。信用をなくした「かつてのお金」は交換価値を失いますが、あなたが作った農産物は、いろんなものに交換することが可能です。

実際、戦後のインフレ時には、都会に住む人が食べものに困り、郊外の農家を訪れて着物などと物々交換して何とか飢えをしのいでいました。70年ちょっと前には、日本でもこんなことが起きていたわけです。

■投資・労働・自給自足の3本柱をバランスよく持つことが大事

要約すると、「投資」「労働」「自給自足」の3つを柱に、うまくバランスを取りながら生きていくというのが、僕が考える「セミリタイア」「サイドFIRE」の理想の姿です。

上記の状態を作ることができれば、200万円+食料を安定的に確保できるので、よほど生活費が高いという方でない限り、ほどほどに豊かな生活が安定的に送れるようになると思います。

ちなみに【1】の金額については【2】とのバランスで考えればいいお話なので、金融資産がもっと少なくても大丈夫だという人は結構いるはずです。

「セミリタイア」「サイドFIRE」の最大のポイントは、「仕事の奴隷」になるのではなく、自分らしい選択ができる状態を保つことにあります。イヤな仕事は辞めたり断ったりできる。その状態を作ることが大事であって、「セミリタイアはこうあるべき!」と杓子定規に考える必要はないと思います。

まずは労働で得たお金を少しずつ【1】へと回し、余裕が出てきたら「楽しみながら長く続けられる仕事」へと移行していく。その結果、気がついたら「セミリタイア状態だった!」なんていうのが一番です。

■サラリーマンだけでは、早期リタイアは難しい

もしあなたが「サラリーマンのみ」を続けていくとしたら、早期リタイアは「ぼぼ絶望」だと認識しておいた方がいいと思います。

その理由は、サラリーマンは「若いうちは搾取され、年長者になると恩恵を受ける仕組みになっているから」です。

サラリーマンというのは、今ではだいぶ薄れてきたとはいえ、基本的には年功序列がベースになっています。要するに、若いうちは安い給料で働き、年齢を重ねるごとに徐々に給料が上がっていく仕組みです。

簡単にまとめると、下記のような感じです。

 【若い年代】 労働>給料
 【中高年】  労働<給料

なので、サラリーマンだとどうしても、給料のウエイトが人生の後半に偏ります。そのため、「アーリーリタイア=40歳くらいまでの引退」は、かなり難しくなってしまうのです。

あなたが本当に「早期リタイア」を目標にするのであれば、そもそもサラリーマンを選択し続けること自体が間違いであるといえます。

独立して自分でビジネスを起こすか、もしサラリーマンを続けるにしても「完全歩合給」のような「きわめて個人事業主に近いスタイル」で働かないと、若いうちにリタイアできる資産を貯めるのはほぼ無理です。

■億万長者には、誰にだってなれる可能性がある

ただ、アーリーリタイアは難しいかもしれませんが、サラリーマンでも億万長者になれる可能性は大いにあります。

僕は、おそらく多くの日本人が、その気になれば億万長者になれると思っています。僕が考える方法を実践するだけで、ほぼ確実に「1億円を超える家計資産」を手にできます。

その方法とは、ずばり「月10万円ずつお金を貯めること」です。

22歳で社会人になり、40年間働いたとします。すると合計で「12ヵ月×40年間=480ヵ月」です。月々10万円を貯めると、ざっと引退までに4,800万円が貯まる計算になります。

これを共働きの夫婦2人で続けていけば、4,800万円×2人分=9,600万円。これだけで「ほぼ億万長者」に到達します。これに、無理のない範囲で資産運用を組み合わせれば、もっと増やすことも十分可能です。

億万長者になるためには、特別な能力や才能は要りません。「節約」だけです。

アメリカのコンサルティング会社が発表する「ワールド・ウェルス・レポート」(世界の富の調査)の2020年版によれば、19年末時点で日本国内には340万人の億万長者がいるとされています。

そうです、340万人もいるんです。これってすごいことですよね。日本人が約1億2,500万人だとすると、36.7人のうち1人が億万長者。学校のクラスに1人ぐらい億万長者がいる計算になります。

これが何を意味しているのかというと、そこまで特別な存在にならなくても、努力次第で億万長者になることは十分可能だよ、ということです。

もちろん、月10万円の貯金を続けるのは並大抵のことではないと思います。それでも、スタートアップで一発当てるとか、宝くじで1等を当てるみたいな超ラッキーに巡り合わなくても、時間をかけてコツコツ頑張れば、実はほとんどの人に億万長者になれるチャンスがあるのです。

大切なのは、とびきり難しいことをすることではありません。どうしても「常人離れした才能」とか「スペシャルな成功」とかに目を奪われがちですが、誰もがそんな幸運を掴めるわけではない。それよりも心掛けるべきは、当たり前にできることをコツコツ続けることなのです。

自分の能力を高めるための投資には適度にお金を使い、その他の無駄使いは控える。そんな当たり前のことを長年続けるだけで、億万長者の入口に立つことができる、というわけです。

■アーリーリタイアするのって、そんなにいいですか?

僕は「リタイア=仕事をしない生活」をしているわけではありません。ほぼリタイアできる状態にはあるけれど、そのまま仕事も続けている。もちろん嫌な仕事はお断りすることが多いですけどね。

では、なぜリタイアしないのか? それは、アーリーリタイアの現実は、それほど良いものじゃないと思っているからです。

世間には、「30・40代でリタイアを実現」なんて成功者の本が出版されていたりします。それだけリタイアしたい人が多いということなんでしょうね。

もしかしたら、その内容に感化されて「僕も同じことを実践しよう!」なんて考えている方もいるかもしれない。でも、もしあなたの近くに僕がいたとしたら「少し冷静に考えたほうがいいよ」とアドバイスすると思います。

そもそも、アーリーリタイアの前提となっているのは、引退できるだけの資産を確保していること。株にせよ、不動産にせよ、投資に対するリターンを得るためには、元手となる資金が必要ですからね。

元手となる資金をためるためには、サラリーマンとして稼いでコツコツ貯める方法もあれば、株でドカンと当てる方法もある。まさに人それぞれです。

でも、仮に30歳で引退できる資金を手に入れるとなると、自分の事業や投資で相当なリスクを取ったり、仙人レベルの節約をしたりしないと、現実的にはかなり厳しいと思います。

節約であれば真似できる部分も多いかもしれない。一方で、投資の場合、リスクに応じてリターンがあるというのが大原則ですから、その成功者が手にした資産は、かなりハイリスクで投資をした結果手にしたものである可能性がある。要するに「たまたま成功しただけ」ということがありうるわけです。

となると、その成功者を真似しても、かなりの確率で失敗することになります。前提となる資金をどのように手にしたのか。まずはそこに着目しないと、老後に向けた資金を逆に減らしてしまうことになりかねないのです。

■アーリーリタイアが成功かどうかは、人生を終える時にしか分からない

さらに問題なのは、アーリーリタイアを実現した人の評価は、あくまで過去をもとに現時点を見て判断したものでしかないことです。

30歳で引退を決めた人が、最終的に成功だったかを判断できるのは、本来「死ぬとき」であるはず。現時点で悠々自適な生活を送っているかどうかは、成功を判断する材料になり得ないはずです。

では、30歳でアーリーリタイアを決断し、90歳ごろに自分の成功談を書いた本が出たとしたら、その本を真似すればいいでしょうか? ダメですよね。すでに世の中の情勢は大きく変化しているわけですから。

アーリーリタイアの最大の問題点は、あくまで「現時点での評価しかできないこと」。今はいいかもしれない。悠々自適の生活が送れるかもしれない。でもその後、社会に大きな変革が起こった時、あまりにも脆弱なのです。

「Don't put all your eggs in one basket(すべての卵を一つのカゴに盛るな)」

これは投資の世界の有名な格言です。投資資金のすべてを1銘柄に注ぎ込むのはリスクが大きすぎるという意味ですが、アーリーリタイアは、まさに自分の人生をかなり極端な方向に賭けていることに他ならないのです。

未来の経済は誰にも見通せません。コロナを予測できた人もほとんどいなかったと思います。経済状況が急激に変化した場合、過去をもとに描いた筋書きは、大きな書き換えを余儀なくされる可能性が高いのです。

■アーリーリタイアは、低所得者の恩恵を受けることになる

あと、配当収入を前提にしたアーリーリタイアって、そんなにカッコよくないんですよね。それは、結果的に「低所得者の優遇」を受けることになる人が多いと感じているからです。

金融資産から得た利益には税金がかかりますが、自動的に税金分を徴収してもらえる仕組みが用意されています。

この仕組みで税金が徴収された分の利益は、さまざまな行政サービスを受けるときの基準となる「所得」には含まれません。なので、株などからたくさんの利益を得ていたとしても「低所得者」という状態が生まれてしまうわけです。

日本では、低所得者のための優遇措置がたくさん設けられています。例えば…

・国民年金保険料の支払免除(それでも半分は年金がもらえる)

・国民健康保険料が劇的に安くなる

・高額療養費制度の月額上限が大幅に下がる

・公営住宅の家賃が格安になる

・子供の学用品の援助が受けられる

・大学の奨学金が受けやすくなる。

…とまあ、挙げ始めるとキリがありませんが、年間所得を基準に決まるサービスが多いため、その恩恵をフルに受けられる状況になる、というわけです。

もちろんルールに則っているので「知らない人が悪い」という理屈も通るかもしれませんが、見方によっては「フリーライダー(ただ乗り)」みたいなものですから、けっして賞賛を浴びるような状況ではない。

きちんと仕事に汗を流したり、自分でビジネスを成功させたりして、たくさん税金を払う人の方がカッコいいと個人的には思うわけです。

ただ、「鉄壁の防御」となりうる知識を手に入れておくことは、とても大事だと思います。人生はうまくいかない時もある。そんな時にどうやれば自分を守れるのかを知っておくことは、大きな安心感につながるからです。

投資などの知識は、いわば「小金持ちの剣」みたいなもの。そこに鉄壁を防御を誇る「貧者の盾」を組み合わせれば、勇者でも何でもない「一般の村人」でも、資本主義社会という厳しい世界でもそれなりに戦い続けることができるはずです。

■まとめ

僕が考える「ほぼセミリタイア」の本質は、リタイアできるぐらいの状況を作り出し、自分が本当に好きなこと、情熱を注げる仕事を選び、働き続けることだと思っています。

お金に追われることがなくなれば、自由を手に入れられる。それこそが大事であって「仕事を辞めて遊ぶこと」を目的にしているわけではないのです。

「マネースキル(お金の知識や投資の技術)」だけで生きるのではなく、「ワークスキル(仕事の知識や能力)」、「ライフスキル(自給自足の知識や技)」を磨きあげて、どんな状況でも楽しく生きていける自分を作り上げたいものですね。

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