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Production Note| DJ Shadow MV制作の裏側 Vol.3

こんにちは。WOW PRチームの佐々木です。DJ ShadowSlingblade」MV制作裏側をお伝えする第3弾。前回のVol.2では、新しい表現への挑戦には予測不可能な要素も多く、撮影現場は苦戦と決断の連続だったというお話をお届けしました。それ以外にも大変なことはあったようで・・・!?「Production Note | DJ Shadow MV制作の裏側」、最終回になります!(過去記事はコチラ▶ Vol.1 / Vol.2

・・・


山本
もう一個大変だったのが、はじめに撮影スタッフへ主旨を説明した時、みんなポカーンとしていて(笑)。「実際はこんな風になる」といった明確なイメージを持ってもらうのが大変でした。

一同
(笑)

北畠
「こういうのです」って見せられないんで、ストーリーに沿ってどういうシチュエーションで、演者がどういう心境か、という資料は頑張って作ったんですけど。

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山本
この資料でようやくみんなが、なるほどここではこういうことが起きてるのか、と分かり始めた気がします。

北畠
指針にはなるんですけど、とはいえ・・・なんですよね(笑)。実際やってみないと分からないし。準備はしているんですけど、本当に最終的な上がりのイメージを共有できる人はほぼいないっていう(笑)

一同
(笑)

山本
一般的な撮影のように、みんな同じゴールが見えて、そこに向かって進むというのとは違いましたけど、それでもストーリーボードは大きな指針になっていましたみんな漠然としつつも「なんか面白い作品になりそう」
という期待に溢れる
様子が目に見えて嬉しかったです。

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北畠
現場で撮ってた画もすごい良い感じにはなってたんで。みんな現場のテンションは高めでしたよね。

山本
ですね。いい雰囲気で。

北畠
ただ、上がりは誰もよく分かんない(笑)

一同
(笑)

佐々木
ゴールが見えないまま走り抜ける(笑)。

山本
そうです(笑)。

北畠
「一個一個はいい感じだけど・・・・・・」みたいな感じでしたね(笑)



佐々木
今回、一貫してDJ Shadow本人とのやり取りだったと思うんですが、振り返ってみていかがでしたか?

北畠
最初からとても上手に自分たちを導いてくれたなという印象でした。こちらが企画書として提案していることを表現レベルできちんと落とし込めてないところ、そこまで手が回っていないところに対して重点的に指摘が来てて。だから、こちらとしても「確かにそうだよね」ということが多かったですよね。

山本
DJ Shadow本人がWOWとのコラボを切望してくれ、自らレーベルサイドを動かしてくれたプロジェクトだったので、コンセプトやリファレンスを本人と直接やり取りできたことで、その後のプロダクションのプロセスやチェックも含めてスムーズにいったのだと思います。そういった共有が初期の段階から本人と出来たのが一番大きかったですね。あと先程の話とかぶるんですけど、DJ Shadowはクリエイターへのリスペクトがすごく大きいので、一旦感じたままにやってみてほしい、というスタンスが今回はうまくいったということですかね。



佐々木
私の一方的な思い込みかもしれませんが、バタケさんの作品は毎回作風が異なる印象なんです。2Dモーショングラフィックス、3DCG、プログラミングを使ったジェネラティブな表現などなど、自分の軸を持ちつつ、最近では自分のコントロール外にある表現のようなものを模索している印象があります。同時に、毎回めちゃくちゃ大変そうだな、と思って見ておりまして。ゼーハーしながらも、上へ上へ、新しい表現へとバタケさんを駆り立てるものはものは何なのでしょう?

<本案件スタディの一部をまとめた動画>

北畠
WOWの人は基本的にみんなそういう表現を工夫したりすることが好きな集団なんで、新しいことをしようっていうのは基本的にディレクターなりデザイナー陣なりみんなが持っている感覚なのかなとは思います。あとは、これは自分的にはすごいありがたい話ですけど、「着地点は見えないけどなんかいい感じで」という案件を担当することが多いので、その都度相手のテイストにあったものを考えていきたいなと思っているからですかね。

佐々木
次の新しい表現など何か考えているんですか?「こういうのをやってみたい」とか。

北畠
WOWのオリジナル作品が控えていますから、そこで色々やろうかなとは思ってはいます。今回みたいないろんなものをショートカットする表現よりかは、もう少し泥臭い感じのものをやってみたいなと。そこにちょっとだけ何か自分なりの要素を足せればなと思っています。

山本
今の話を聞きながら思い返してみると、自分もバタケさんとやった案件は結構ふわっとしたオリエンの案件が多いと思いました。そうした着地点の見えない案件を具体化し、ビジュアライズするため、日々リサーチやスタディをものすごいやってるんだろうな、と想像しています。

北畠
いやいや、周りにはもっと鬼みたいな人がいますからね。

一同
(笑)

北畠
今はあんまり自分の型は作らなくてもいいかなと思ってるんで、なるべく「自分の知らない自分の得意なこと」みたいなのを見つけていけたらいいなとは思ってますね。

佐々木
今後の作品でもまた新たな一面が切り拓かれるのを楽しみにしています。ありがとうございました!

・・・

全3回に渡って、DJ Shadow「Slingblade」MV制作の裏側をお届けしました。創作の現場ど真ん中にいるWOWのディレクター、デザイナー陣を横で見ていていつも思うのは、ひたすらアイディアや技術を研磨し、トライアルアンドエラーを愚直に飽くことなく続ける職人魂にも似た精神性です。その先で結晶化された作品が完成した時の感銘たるや、作り手にとっては如何程のものなのか・・・。と、毎回聞いてみるものの、みんな淡々としており、むしろ反省点を踏まえ次の視座を構えているのがクールでWOWらしいな・・・と思うこともしばしばです(作り手さんは元来そういった姿勢を持ち合わせているものなかもしれませんね)。

また機会があれば制作裏話をご紹介したいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。

<Interviewing + Writing : PR / Michiru Sasaki>

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