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【マネジメント】心理学を参考にした研修の真の目的は?

この20年間日本だけでなく海外の企業にトヨタ生産方式に基づくマネジメントを指導する中で見えてきた教育の根本的な部分についてご紹介します。

私が2010年に米国の超先端企業である飛行機メーカーに毎月行っていたときのことです。優秀な社員が多いこの会社は既に欧米で一般的になっていた心理学をベースにした研修の多くをほとんどの人が受けており当たり前になっていました。コーチングもしかりです。

しかし、筆者がなぜ日本から米国の最先端企業を指導しにいくことになったのか?ということを念頭において読んでいただけると話の道筋が見えてくると思います。

欧米に学びに行くというのが一般的なのにまったく逆の現象なのです。

心理学というのは元々人間とはどんな原理に基づいて反応しているのかを分析する学問で論理的に人間の振る舞いを説明することができます。

この知見を人財育成に応用している研修を多くの企業が採用しています。

しかし、ここに落とし穴が存在しているのです。

例えば、なぜコミニュケーションがうまくいかないのか?なぜ上司は自分を認めてくれないのか?などの理由を知りたいと思って皆さん心理学を応用した研修を学ぶのは良いのですが、問題はここです。

知ることと変わることは別なのです。

皆さん原因や理由を知って満足してしまうんです。

それに比較するとリーンや古来の日本的な人の育成はいかに早く人を育てるかという組織の視点で人の育成を見ています。

どのような状態に人を育てるかが重要なのです。

これは少し広い視点で見ているのですが日本と海外を比べたときに海外も心理学的なものを中心にした研修が広がっていました。

ところがそれでは企業の体質が変わらないと言うことでトヨタの仕事の仕方を研究し取り入れるようになってきました。
それがリーンとして世界に広がりました。

リーン経営やリーンスタートアップやデザインシンキングやソフトウェア開発ではアジャイルやScrumと言ったものです。

これらの人づくりの根本には、守・破・離(しゅはり)という日本古来の考え方が入っています。

守とは、カタです。
柔道や茶道など道という字がつくものには共通の概念です。

カタの存在意義は、早く上達するためのプラクティスです。生徒が先生になぜこれをやるのですか?と聞いてばかりいては先に進みません。 

実はマネジメントにも良いカタが存在しているのです。

ただ、先生もカタだけを押し付けられて学んだ先生と原理を理解されている先生では生徒の理解も違ってくるのでやってみてから原理を聞くとすーっと自分の中に染み込んでくるように腹落ちしてきます。

人間は知識欲があるので自分自身が安全な状態で知ることが出来ることに満足感が高くなるように出来ています。

この心理を最近の研修はうまく利用しています。

欧米諸国の多くはこのジレンマから脱出するために日本流の守・破・離の考え方を原則にしたリーン(≒トヨタの仕事の仕方)を多くの企業が取り入れるようになってきたので品質は日本を上回り生産性も日本を超えるようになってきたのだと推察しています。

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人材育成や人材開発に携わる方は人材育成の目的は個人の知識欲を満たして良いアンケート結果を得ること。なのか組織体質を変えて働く人のやりがいや職場の活性化を図って企業価値を高めていくこと。なのかですね。

組織に貢献できていることを実感できると今以上にやりがいや生きがいが出てきます。

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