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ネトウヨをe-Sportsで卒業した僕が抱き、今でも多くの人が抱き続けている幻想

僕は中学二年生ごろまでネトウヨをこじらせてました。
ネトウヨとはネットウヨウヨの略で、やることがないのでずっとネットを徘徊している人の略…ではないです。
いや僕の場合これもあながち間違ってはないんですけど。

正解は“ネット右翼”縮めてネトウヨです。
保守的・国粋的な思想を掲げる右翼としてネットで活動する人たちのことですね。
ネトウヨに限らず、ネットで活動する思想家の方たちはインターネットの匿名性という盾があるのでとにかく声がデカいイメージがあります。
別にネットで自分の思想を発信することは悪いことだとは思っていなくて、自分の言いたいことを言えることもまたインターネットの良いところ。

言論統制をされようが表現の自由がなくなろうが、人の思考だけは誰のものではなく自分のものです。
ネトウヨしかりヴィーガンしかり、人に押し付けなければ何を考えて何を思おうが個人の自由なんですから。
人の数だけ人の考えがあります。


話を戻しまして、ネトウヨクソガキオットセイ君だった頃。
対して考える脳もできてないガキにインターネットを与えたら、ネトウヨ化するのなんてあっという間です。
インターネット以外にも父がもともと右寄りだったってのも少なからずはありますが。
僕がネトウヨ化したのはまとめサイトの影響が大きかったです。
2chもそれに追随するまとめサイトもまだまだ元気だった7・8年前、対して興味がなくとも山ほどある他のまとめサイトの相互リンクから嫌でも中国ガー韓国ガーって記事が目に入ります。

そんな記事を読んでいるうち、中国はパクり、韓国はキムチくらいしか知りえなかったのにとりあえず中韓はカスという考えが身に染みていきます。
だからといって、掲示板やSNSで騒いだり特に表立った活動をしていたわけでもないんですけど、この頃の僕はすっかりネトウヨ思想に染まっていました。
特にカジュアルネトウヨの金字塔、KAZUYA Channelの動画は毎日チェック。KAZUYAさんの本も買ったりしてました。

久しぶりにチャンネルを覗いたら、顔も話し方も内容も何も変わってなくてとても懐かしい気持ちになりました。


こうした思想は中3から二年ほどかけて少しずつ抜けていきました。
一つは中3の時に世界史、特に現在の日中韓問題の根源である近代史にハマって歴史を学んだこと。
そして脱ネトウヨのとどめになったのが二つ目で、それは中国人韓国人プロゲーマーの存在です。

中韓、特に韓国はe-Sports先進国で日本の数百倍はe-Sportsが根付いています。
この頃にLoLというe-Sportsタイトルをやり始めたのですが、数年前のLoLといえば韓国一強の大LCK時代。
トッププレイヤーといえば韓国人プロゲーマーでした。
世界大会の決勝が韓国チームvs韓国チームなんてザラ。

2016年の世界大会、WCS2016での決勝も韓国チーム対韓国チームとなりました。
この決勝がとにかくアツかった。
3本先取のBo5で5戦目までもつれ込む超接戦。
BAN/PICKでは決勝戦にしてROXがMFSupportという隠し玉が出てきたり、韓国最強、いや世界最強はどちらのチームかを争って全てを出しあってぶつかります。

このAsheのアローをリアルタイムで見ていた時の興奮は一生忘れないと思います。
世界大会での手に汗握る戦い、そして韓国人選手のアウトプレイに魅せられて、どこか自分の中で違和感を覚え始めていたネトウヨ思想と中韓国人への偏見は完全に抜けきることとなりました。



右翼の中韓による差別は、愛国心や日本民族意識から来ています。
日本人であることに誇りを持っている人ばかりです。
逆に日本人であることしか取り柄のない人がネトウヨになりやすいとも言えます。僕もそうでした。
日本男児の血ガーーー天皇陛下ガーーーとまではいかずとも、日本人が優しく、モラルのある人種であり、経済大国として先進国の一員であるという潜在意識を持っている人は割といるのではないでしょうか。

ですが、脱ネトウヨして冷静に今の状況を見てみると、あれそうでもなくね?という現実に気づき始めます。
減り続ける人口、進む少子高齢化、富裕層とエリートは国外へ出ていき、経済競争力も技術競争力も落ちて、いつ新興国に追い抜かれてもおかしくない状態です。

日本が緩やかに終わりに向かっているという現実ですが、大学でいろいろな人と話していても若年層はこの事実に気づいて受け入れている人が多いように感じます。
悪い言い方をすると、『若者は日本の未来にまるで期待をしていない』ということです。
変化が必要なこの国なのに良い方向へ変わっていくとは思っていないのです。
僕の通うFラン大学生ですら気づいているのですから、勉強のできる学生たちが気付かないわけがありません。
こりゃエリート層がどんどん国外へ出ていくわけだ。

類は友を呼ぶといいますし、たまたま僕の周りにひねくれた人間が集まっただけかもしれませんが、ネットで上がる声を見るとこの認識は間違っていないと思います。
一番わかりやすい指標としては、若年層の圧倒的な投票率の低さ。
前回の参議院選挙での20代投票率は30.96%。
20%台に突入するのも時間の問題でしょう。

若者が日本に期待していない理由はもちろん様々ですが、僕が一番大きな理由だと思っていることが一つあります。
それは、現在日本社会を支えている大黒柱であり、権力を持っている40代~60代くらいの方々が日本に大きな変革が必要であるという認識をほとんど持っていないことです。
普通に就職して勤続し続けているとすれば、年功で給料は上がりあまり不自由なく過ごしているであろうのがこの年代。
奇跡的な成長を遂げ世界を牽引していた輝く日本という過去の栄光が現在も続いていると思っている人が多いように感じます。
なんなら、変化が必要なのは理解しているけれど自分が生きている間何もなければいいやと、現実に気づきながらも緩やかな死をあえて見て見ぬフリをしている人もいるのではないでしょうか。

こうした人々に限って、しっかり勉強して良い大学入って日本の大企業に入れば安泰や!と脳死で思っている人が多い。
そりゃ、自分自身がそうして今問題ないのですからそう教えたくなる気持ちもわかりますけれどね。
現状に不満がなければ疑問も抱きません。
貴族や特権階級など、変化に適応できない人間はいつもこうした人種でしょう。

僕は数年前まだテレビを見ていたころ、好きなバラエティ番組がありました。
それはテレビ東京の「YOUは何しに日本へ?」という番組。
訪日した外国人観光客に空港でなぜ日本に来たのをインタビューし、面白そうな人に密着をするというドキュメントバラエティです。
日本のここが好きで来たんだ!とテンション高めで語る外国人たちを見ると、勝手に日本人として誇らしく嬉しい気持ちになれました。

現在はわかりませんが、二年ほど前は日本はスゴイ!これが日本の技術!海外の人はこんなに日本に憧れを持っている!みたいな番組が多く、増えていた印象があります。
冷静に日本の現状を見られるようになったいまでは、もはや一種のプロパガンダだったのではと思い始めました。
こうした番組を見て、今でも日本が世界を牽引している優れた国であると錯覚し続けている人が減らないのかもしれません。

では、国としてヤバくなってきているのは置いておいて日本人個人の民度はどうなのでしょうか。
若年層のマナー・モラルなどの部分は最低限維持されつつも(これもSNSでの炎上騒ぎなどを見ると怪しいですが)温厚で人に優しいという
古き日本人のイメージからは離れていっているように思います。
なぜなら個人主義が浸透し始めているからです。
僕と同じ年代を見ていると、自分と自分と親しい少ない人間が幸せになればあとはどうでもいいと考えている人が多いです。
なので、他人に興味もなければ干渉しようともしないのです。
日本人は冷たくなりました。
リベラルを掲げて権利を主張し始めたり政治活動が起こらないのも日本人らしいですけどね。

そんな中起きてしまった、現在騒がせているコロナショック。
僕はこの騒動で、『アジアを代表する先進国で美しい国ニッポン』のメッキが少しずつ剥がれていくと思っています。
これを機会にもはや日本は先進国ではなく成長だけを見れば後進国であるという自覚を早く多くの人が持ち、日本に変革が必要であるということを理解してほしいです。

もはや日本が世界に誇れるものは“文化”しか残っていないというのが僕の主張。
著しい海外市場の成長を見るに、僕の大好きなサブカルチャーが日本のものでなくなるのも時間の問題そうですけどね。

右翼でなくなった今でも、生まれ育ったこの日本という国は大好きです。
日本人であるというプライドは失わぬまま、日本が良い国であり続けられるよう、悪い点は悪いと言い、変えるところは変えるべきだと僕は思います。

オットセイに課金してもガチャは回せません。