39歳自営業、糖尿病になる #6 6日目 | ブルマンのホームシック
デビュー曲のカップリングを覚えてるやつがファン
退屈に飼い殺されるのは週末ではなく、むしろ検査のない月曜日だった。
世間では足早にビジネスが行き交う中、見えもしない電波だけが唯一外界とを繋ぐ命綱。
取り残されるくらいならこちら側で引っ張り上げてやるくらいの気概があればいいものの、それはどこが腰掛でどこがHOMEなのかを身体の芯から理解していないとなかなかに難しい。
「ブルマン」とは高級珈琲の代名詞ブルーマウンテンコーヒーのことではなく、ブルーマンデーこと憂鬱な月曜日のことを指す。
永遠のアイドルあややこと松浦亜弥のデビューシングルを覚えている人は多いかもしれないがそのカップリングの歌詞まで覚えている人はどれだけいるだろうか。
待ち合わせしてるのにアタシのほうが先に来てんじゃん!ブルマンだわっていうところ。でもこの歌詞、アイドルデビューの15歳に歌わせるにはけっこう際どい。
松浦亜弥つながりの隠れた名曲として「100回のKISS」を挙げたい。
形式的には4thシングルだが、デビュー前のテレ東系列深夜番組「美少女日記」で使われており、デビュー時にはもう早々にアルバムインしてくるかまさかカップリングで出してくるのかダブルA面で行くかとそわそわしていた。
あの頃に追っかけていたアイドル曲をいいヘッドホンで聞くと、当時にタイムスリップしてしまうようだ。
しかしこの現象ならびに回帰願望の本質が何かを、大人になった今は知っている。
「現実逃避」だ。
好きな音楽で気持ちを整えるのは重要である。
器用貧乏を自認してはいたが、初日のタオルケット案件といいこういったタイプの環境変化にはやや弱いようなので得意分野で気を繋ぐ。要は早くおうち帰りたいの!!!!
朝のメシ行くぞ!!!
朝血糖126
メシ、以下!
白米
なっとう+ネギ
インゲンとニンジンの胡麻和え
大根の味噌汁
茶
おい昨日のパンとの量の差はなんだ。
ついでに、納豆はネギと合わせてご飯に盛るとすると、事実上のおかずは例によって食材スタメン組のインゲンだけですよねぇ!
そうだ。病院食はこのパターンだ。AGEては落とし、落としてはちょっとAGEる。むしろ平常ラインに戻ることすら相対的にはAGAったと感じる。素行の悪い人が普通の事したら褒められる的なアレだ。実に嘆かわしい。
はい次、昼のメシ!
昼血糖、126!朝と同じ!
ラインナップ!
カレー
ブッコロリとシーチキンのサラダfeat.チーズ
マンゴー
ほらみろAGEてきた。
ズルいよそれは。カレーだぜ?
もう…こういうの見てもオラ何も感じねぇだ…
しかし今回もカロリーの暴力を出してきた。
なんてったって糖分と脂質の帝王、カレーである。我が家であれば1人でご飯三合はいってもおかしくないメニューだ。
そしてサラダにも大きな変化がある。チーズである。
チーズはOKだというエビデンスがここで取れた。
少なくとも病院食で出てきたものは外で食べても良いものだ。
さらにマンゴー(2回目)。
今まで出てきた果物は、マンゴー、オレンジ、バナナ。
キウイやりんごは見ていない。おかしいな、これらはダメということなんだろうか。君たちパパイヤのことも忘れないであげてください。
喜び勇んでカレーをほじくるも、あることに気が付いた。
そう、肉が入ってないのだ。
あったのはBABY HOTATE、ASARI、そしてAB。シーフードミックス解凍して入れたなこれ。
おうちに帰りたい。
おうちのカレー食べたい。
ワイフ特製角煮カレーが食べたい。
ご飯の上にシュレッドチーズをどっさり乗せて、いったんレンチンしてとろけたところにカレーをドパァーっと・・・
14:30 ~お風呂ランド特集~
風呂は予約制である。当日に時間割リストがナースステーション前におかれ、そこに希望入浴時間に書き込んでいくスタイルだ。
昼食からの運動後を見据えて14:30から15:00のコースに予約を入れた。
前後30分は清掃時間のようだが、衛生管理の徹底上仕方がない措置だろう。
風呂場はこんな感じ。
シャワーブースにバスタブ入ったみたいな雰囲気だけどこのバスタブずいぶん"長い"ように見える。これは、もしかするとその・・・やめた。
30分の規定時間はバスタブに湯を溜めるところからスタートするためこちらも大忙しだ。同時進行で頭と身体を洗う。
久しぶりに全身を沈めた湯はなかなかに良い心地だった。
長い浴槽だけに全長175センチを伸ばしても突っ張らない。
ニホンザルが温泉を堪能するのもわかる。
我々も大人になったらガトーキングダムやビューホテルのプールではジャグジーに一度はいったら出られない体質になってしまった。
ちなみにガトーキングダムは多くの札幌市民がその成長とともに様々なステージでお世話になったであろうわくわくざぶーん的な屋内外プールだ。
小学校のころ、友達家族と初めて連れて行ってもらい、
大学生のころ、徹夜明けで友達と行って献血して失神して、
大人になって、ワイフとデートして、
親になって、家族で行った。
ここだけピックアップするとワイリア充みたいに見えるけどね。
風呂の湯を抜く。まぁ想像してたけどそうだよね、排水管見えなかったもんね。
BAN飯!
食事レポが投げやりになってきたのは、この原稿には別途テキストファイルがあって、最初のほうはすべてのイベントが新鮮だったからわりと事細かく書かれていたんだけれども、今日のメモは血糖値とメニューのタイトルしかない。それだけ入院生活に退屈していた証拠である。
もしくは、何度か日中に電話をしたので外界への憧憬を思い起こしてしまったのかもしれない。生きた人の声。温かい声。それはこの入院生活がくすんだクローズドワールドにあることを否が応でも再認識させられる。どんなに清潔な白いシーツに囲まれていても、他の色が無ければ世界はモノクロームなのだ。
夕食前血糖は140。
ではラインナップ。
白米
照り焼きCHICKEN
MOYASHIナムル
アスパラとニンジンの煮たやつ?
キャベツの味噌汁()
茶
新顔がやってきた。チキンだ。しかも皮もついている。
ダイエットをさせたいわけではないので、鶏皮は悪者ではない。
味は控えめだが久しぶりにこのスーパーの総菜コーナーで売ってそうなものを口に運んだ感覚があった。
冷凍食品でいいからザンギが食べたい。
キンキンに冷えたビール(わかったよもう糖質オフのグリーンラベルでいいから)でグーっと!!!!
カァーッ!!!!
さ、お水飲んで膳下げよ
おやすみプンプン
ってマンガがワイフの本棚にあったことを思い出した。
現代においてマンガとは本で収集するタイプと電子で流し見するタイプに大別されているようだが、後者だとすでにコンテンツとは消耗品である。
電子版は発表のハードルも低いが品質の平均値も下がる。
メジャー作品にはなりにくいニッチな嗜好に出会えるメリットもあるが、ひとつひとつの作品に対する思い入れや読み込み、繰り返しその世界に触れて理解や感動を深めさらに好きになるなんて文化は生まれにくくなるのではないか。
ワイは少年ジャンプを買ってもらえないおうちだった。
友達の家に遊びに行って読むマンガは非日常の世界に飛び込めるどこでもドアだったし、それは床屋の待ち時間だろうが貧乏出張中のネカフェだろうが、"マンガを読む"という行為は起きたまま夢をみるのと同等に崇高な妄想を膨らませられるエクスペリエンスだった。
だから大人になってバキシリーズの大人買いとかやっちゃうんだろうな。
寝る前の血糖値は127。
その日が来るまで、何度でも言おう。
おうちに帰りたい。
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