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Canada

Hanson Island 1

半年前の日本への一時帰国の時、タイミングよく『地球交響曲ガイアシンフォニー』第3番を観た。
その第3番は写真家の星野道夫さんを取り上げている内容で、もともと大好きだった星野さんの回とあって改めて映画館で観ることが出来てとてもとても感動した。
星野さんと言えば、アラスカに移り住んで20年、マイナス40度の氷河地帯に一人で数ヶ月もキャンプを張り、オーロラなど大自然や、熊、カリブーなど数々の野生動物を撮り続けた写真家さんである。
そして星野さんの書く本から伝わる 自然と人間の在り方、と言うものをとても高貴なものだなぁと私たちは思っていた。
星野さんに憧れてこの夏にAlaskaでのキャンプも実現したばかりだった私たち。
すぐに感動して涙する私だけじゃなく、悠一郎も涙していて、そのこともとても印象に残っていた。
この出会いが私たちに更なるギフトをくれることになるとはこの時はまだ知らない。

その後日本を経ち、NewZealandに渡り、半年間農家で収穫の仕事をしながら資金を稼ぎインドへ。
そこから中東へ行く予定があったものの、まさかの30万円分のT/Cトラベラーズチェックを盗まれて使われてしまったので、予定は無残にも果たされず、新たに資金を稼ぐべくカナダへ渡って農家で働くことを決めていた。
え〜〜〜!と、ショック受けたけど、もうしょうがない!!!
NewZealandで農家でのピッキングの仕事が短期間で資金を作れることもわかったことだったし、カナダでの働けそうな農家の情報もフルーツピッカーの仲間から教えてもらっていたので、私たちの選択枠はもうその1択だった。夏のカナダでピッキングしよう!と。

半年以上ぶりのカナダ。1年間過ごした愛しのカナダ。
懐かしのバンクーバーのエアポートに到着すると何人もの友達が出迎えてくれた。
そんなことは予想していなかった私たちはびっくりして、泣き出しそうな気持ちをこらえてハグして再会を大いに喜んだ。
カナダでファミリー同然のワタル、おっくん、ほっくん、さえちゃん、そして一度だけ会った事のあったアキ、みんなが笑顔で出迎えてくれた。
感動的な再会で幕を開けたカナダ。
いつもカナダの入出国時にお世話になるワタルの家でゆっくりさせてもらうねと話していると、アキも3日前やっぱりインドから飛んできたところでワタルの家にステイ中だということがわかって、笑ってしまった。
まさかこのタイミングで同じインドから渡ってきていたとは。
そう言えば彼も私たちと同じように入出国の際はいつもワタルの家にステイしていたのだった。

みんなで再会を祝して乾杯!
あぁ、最高に懐かしい場所で友人達とこの時間を過ごしている幸せ!
程よい自然に囲まれたノースバンクーバーのワタルの家。
ミュージシャンでもあるワタルの家には、楽器が山ほどあり、楽器のできない私たちでも一緒になって今まで何度も楽しい時間を過ごしてきたけれど、
ここに帰ってきて、一瞬でその感覚を呼び戻してしまった。

そこから数日は以前のバンクーバー滞在中にできた友人達とビーチでまったりしたり、ワタル、おっくん、アキみんなのヘアカットをしたり、ヘナタトゥーをしあったりてのんびり楽しく過ごした。
毎晩ビール片手に美味しいものいっぱい作って、お互いの近況報告、最近までいたインドのこと、これまでの旅のこと、アキのやってる洋服ブランドのこと、政治のことから、ありとあらゆることまで遅くまで話し込んで、楽器鳴らして、夜遅くまでよく遊んだ。

夜な夜な話込んでいると、アキはこの後父親を訪ねに行くと言う。
彼の父親はカナダ人で、島で一人で暮らしているそうなのだ。
アキの父親の住む島、ハンセン島はカナダ、ブリティッシュコロンビア州の西海岸本土とバンクーバー島の間にある島々の中のひとつで、縦3キロ横8キロくらいの小さな島。
アキからその島の話を聞いているとどんどん興味が湧いてくる、それと同時にその島『ハンソン島』がどこかで聞いた事のある名前だと気付く。

蘇る地球協奏曲ガイアシンフォニー・・・私たちが帰国した数ヶ月前に観た映画。
星野道夫さんがメインで登場するガイアシンフォニー第3番。
劇中もう一人の登場人物、フリーマン・ダイソン(宇宙物理学者)

以下ガイアシンフォニー から抜粋
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フリーマン・ダイソン(宇宙物理学者)
1923年生まれ。弱冠24才の時、相対性理論と量子力学を統合する数式を発見、若くしてプリンストン高等学術研究所の物理学教授となった。科学、芸術、宗教、哲学等、あらゆる分野に深い造詣を持ち、人という種の未来について、宇宙的な視野から語る事のできる今世紀最大の叡智。
一人息子、ジョージは、アラスカ・アリュート族のカヌーを20世紀に復元した世界的に有名な海洋カヤック・ビルダー。16才の時、父のもとを飛び出し、大自然の中での生活を選んだ。今回の撮影は、21年前、その親子が劇的な和解を果たした思い出の島、鬱蒼とした古代からの森に囲まれ、野生のオルカ達の集まってくるカナダ、ハンソン等で行われた。


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ある時父はその息子の住む島へ出向く。
その島は美しい美しい海にある自然豊かな緑の島。
その自然をバックに父と息子が過ごす時間の中で、わかり合い心を通わせ合う、そんな人間模様が描かれていた。
『宇宙船とカヌー』と言う本にもなっているその親子のストーリーの舞台がまさにハンソン島、その島だったのだ。

私も悠一郎も大興奮!
旅の間たくさんのシンクロニシティを体験してきたけど、ここまでのぶっ飛びシンクロに、ひっくり返った。

その島にはガイアシンフォニーの劇中も登場する『オルカラボ』と言うオルカ(シャチ)の研究所があって、あと島の住人と言えばアキの父親のWalrus(ウォラス)しか人は住んでいない島だと言う。
そして軽い口ぶりで『二人も来れば?』と言ってくれるアキ。

ん〜〜〜〜〜、脳裏には数日後には資金調達のためにチェリーピッキング目掛けて、バンクーバより内陸に位置する大規模な農園エリアでもあるオカナガン地方へ移動しようと思っていた。
チェリーピッキングはタイミングが命!
収穫の始まるその瞬間に仕事にアプライしないとすぐに定員オーバーになってしまう人気の仕事なのだ。そしてタイミングを逃すと仕事にはありつけない。

わかっちゃいるけど、私はもう頭の中はハンソン島一色になってしまって、もうこの思いを抑える自信もなかった。旅の資金担当大蔵省、悠一郎は仕事のことを考えてたけど、やっぱりどうしても逃せないんじゃないか!
このチャンスをみすみす見逃すことは無理なんじゃないか!!と話した。

ハンセン島はバンクーバーからフェリーでバンクーバーアイランドに渡り、そこからバスで数時間北上して、島の北にある小さな村から私有ボートに乗っていくしか方法はないのだ!
それはアキがいるこのタイミングを逃したら行けるチャンスはいつ来るかわからないってことでもあった。

迷っている間に先に出発していったアキ、その後2日迷った結果、私たちもやっぱりハンソン島に行くことに決めた。

行きたいところはこうやって突然やってくる。
閃光のように。

そしてそれを実現できる環境にいる私たち。
旅人なのだから。

これはもう冒険の始まりだ。




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