東京芸術祭ワールドコンペティション 東京芸術祭ワールドコンペティション ディレクター・横山義志のブログ

2030年代に向けて、世界基準を複数化する 〜東京芸術祭ワールドコンペティション201…

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2030年代に向けて、世界基準を複数化する 〜東京芸術祭ワールドコンペティション2019〜

最近の記事

「東京芸術祭ワールドコンペティション2019」をふりかえって

コロナ禍で気づかされたのは、世界中の人が同じように飛行機に乗って旅をし、同じようにビジネスをし、同じように観光するようになっていたということです。一つの感染症がこれほど短い間に世界中に広まったことはありませんでした。それには、世界中の人たちが同じような生活様式によってつながったことがあるのではないでしょうか。「単一栽培(モノカルチャー)」の畑は、感染症が一気に広がってしまうことがあります。 東京芸術祭ワールドコンペティション2019は、既存の「世界基準」にもとづく「世界一」

    • 「推薦人」、あるいは新たな舞台芸術の枠組みを日々つくっている人たちのこと

      「東京芸術祭ワールドコンペティション」の参加アーティストを決めるにあたって、どう選ぶのがよいか、いろいろ考えたのですが、各地域の重要なフェスティバルのプログラムを組んでいる方に推薦していただくのがよいだろう、という結論に至りました。なぜなら、その方々は、まさに今の舞台芸術界の価値基準や枠組みを作っている方々だからです。そんな方々に参加いただくことができれば、このコンペティションにいらした観客のみなさんにも、今の「世界基準」がどのようにできているのか体感できるでしょうし、それが

      • 「東京芸術祭ワールドコンペティション2019」参加作品のご紹介

        今回は「東京芸術祭ワールドコンペティション2019」に参加するアーティストと作品をご紹介いたします。 “東京芸術祭ワールドコンペティションに参加するアーティストたちは、いわば「2030年代のトップアーティスト」です。アジア、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカと世界各地域の重要なフェスティバルでプログラムを組んできた方々に、「まだ世界的には知られていないが、2030年代に重要になるであろうアーティスト/団体」を推薦していただきました。私も日本の団体を推薦させていただき

        • 6.日本から、東京からできること / 7.東京芸術祭ワールドコンペティション2019

          6.日本から、東京からできること では日本列島に住む/日本語を話す私たちは、どうすればこの世界基準の問い直し、複数化に関わっていくことができるでしょうか。今から2030年代にかけてが決定的な時期になるでしょう。私たちが世界の「舞台芸術界」の新たな枠組み形成において何かしらの役割を果たせるか否かは、これからの十数年にかかっています。 今なら、まだ間に合います。「アジアの時代」の東京は、必ずしも世界経済を牽引する都市ではないかもしれません。でもだからこそ比較的中立的な場をつくる

          4.2030年代に向けて、世界基準を問いなおす / 5.ローカルに、グローバルに

          4.2030年代に向けて、世界基準を問いなおす 今は「世界基準を問い直す」には絶好の時期でしょう。2030年にはアジアの経済力が欧米の合計を上回っているだろう、という予測もなされてきました。世界の経済活動の重心は2世紀ぶりにアジアに移りつつあります。ここ数世紀、欧米中心に作られてきた舞台芸術の枠組みも、これから大きく変容していくでしょう。 今私たちがやっていることが22世紀にどのような枠組で語られているかは、これから十数年の実践と議論にかかっています。それは「演劇史」でも

          4.2030年代に向けて、世界基準を問いなおす / 5.ローカルに、グローバルに

          3.なぜコンペティションか?

          それにしても、今なぜコンペティションなのか、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。オリンピックではかつて「芸術競技(Art Competitions)」が併催されていましたが、「採点の基準があいまい」といった指摘もあり、なくなっていきました。「芸術作品の善し悪しを測る尺度は一つではない」ということは、今では多くの人が認めていることでしょう。私もそう思います。でもここでは、まさにその「尺度」を競い合ってほしい、と思っています。 人々が絶え間なく世界中を移動し、価値観が日々更新さ

          1.日本で気になっていたこと / 2.アジアで気になっていたこと

          この秋、「東京芸術祭ワールドコンペティション」がはじめて開催されます。このコンペティションを通じて、とりわけ次代を担う日本やアジアのアーティストたちが世界の舞台芸術界で活躍できる仕組みをつくるにはどうすればよいか、みなさんと一緒に考えていく場をつくっていければと思っています。なので、このコンペティションには、いずれ海外でも活動していきたいと頭の端で少しでも思っているような演出家、劇作家、俳優、振付家、ダンサー、パフォーマー、ドラマトゥルク、キュレーター、制作者、技術スタッフ、