【世界一周・旅のカケラ #26】楽しいままでピピ島、the END!
最初は来ることを迷っていただなんて、今となっては信じられない。
ここで出会った人と、この旅のどこかで再会するといったつながりは生まれなかったけれど、ここで過ごした日々を想うとこれらを全部体験しなかったら、とはもう考えられない。
丸一日過ごせる最終日の朝、滞在中に通っていたベーカリーに行こうとすると、また宿のスタッフに呼ばれてスタッフたちの朝食に参加。カレー味のサテーやソムタムなど“いつも”の味が並んでいる。朝から信じがたいスパイシーフードだ。笑
ありがたく何口かいただいて、私のいつものルーティンに戻ることにする。
想定外のスパイシーフードですっかり口のなかをヒリつかせながら、もう勝手知ったる町を歩く。宿で知り合った旅人や、例のソルジャーデイビッド、私がピピ島へ誘ったインド人のバッピーと出くわす。
小さな小さな町だから、知り合いが日に日に増える。挨拶を交わす人が増えていく。初めて訪れる町で、自分の存在がそこにあるという感覚は、旅の醍醐味のひとつだと思う。
途中、あまりの暑さにタオルを忘れたのに、思わず海に飛び込んだ。歩いているとあっという間に乾くから、こういうときは躊躇なく水に入る私。
こんなに天気に恵まれるとは…!来る前はモンスーンだから諦めようとしていたのにね。行く、と決めたら最善が展開する。そっか、決めることが大事だったんだ、と思う。
それにしても南国を旅していると、どうしても昼頃にいったん昼寝をしたくなる。暑過ぎるし陽に当たり過ぎるんだよな、きっと。苦笑。
*
一度、宿に戻って昼寝をし、目覚めたらちょうど夕暮れだった。空がオレンジに染まっていく…、取り逃したくない!と宿を飛び出した。
宿から一番近いビーチまで行って、刻一刻と変わる空の色や雲のカタチを見ていた。自然はいつも期待を越えてくる、だってこんなに美しいものを惜しみなく与えてくれるんだ。
空を見飽きた頃、腰を上げて宿に戻る。
レセプションに座るスタッフの周りには、いつもの顔が集まりご飯を食べている。今日は私が最後だと知ってか知らずか、私をこの島に連れてきてくれたさとし君も混ざっていた。そこへ私も当たり前のように混ざって、最後のご飯に参加することに。
新しいゲストやヨーロピアンの彼氏を持つタイ人の女の子、入れ替わり立ち代わり誰かがやってきては話が盛り上がる。
こういうとき、本当に不思議だなと思う。
新しい地にひとりでやってきたはずなのに、気づけばこんなに人に囲まれている。ひとりになれないほど、いつだって誰かが気にかけてくれて、私も気に掛ける人がいる。なんて豊かなことなんだろう。
さて午後11時。これからまたデイビッドとの待ち合わせがあるからと、私はそこで皆に別れを告げる。
デイビッドと連れ立って夜の島を、ぶらぶらする…。
私はなんとなく踊りたい気分で、「APACHI BAR」という席が階段式になっているバーを覗いてみた。すると、昼間は気づかなかったのに、階段の上にはダンスフロアがあり、すでにたくさんの人が踊っているじゃない…!笑
それを見て私は居ても立っても居られず、デイビッドに「ちょっと踊ろう!」と声をかけずんずん入っていった。
彼がシンハビールを2本手に、私のもとへやってきてフロアへ上がる。宿のスタッフも何人かいて思わず駆け寄って一緒に騒ぐ。
このときかかっていたのがShakiraの「Hips don't lie」だった。
南国の夜、Shakiraの力強く色っぽい声が響き渡り、ラテンの音楽に体が自然と動く。体の奥底からこみ上げてくる何かに突き動かされる感じ。
私は今でも「Hips don't lie」を聴くとこの夜を思い出す。
ピピ島の最終日、この島で作った友達とお酒とShakiraの宵のことを。あのときの高揚感と一緒に…。
*
楽しい夜は更け、午前2時。明日の朝は出発だから、フェリーを乗り過ごしたくなくてデイビッドにも別れを告げる。
彼からちょっぴりアプローチも受けたけれど、かなりクリアにお断りしたのでそれ以上はなかった。デイビッドが紳士でいてくれたことに感謝するよ。
宿に帰ると、ルームメイトたちもガヤガヤと帰ってきてなんだかほっとする。そして同じ時間に眠りについた。ピピ最後の夜に、おやすみなさい…。
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