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フランス革命で誕生した「国民国家」

国家の所有権が国民に移ること

国王が支配する「絶対王政(身分制社会)」は、農民や商人などの下層階級が中心となった「フランス革命(市民革命)」によって破壊されました。

国王から権力(政治を行う権利)を奪い取り、新しく「民主主義」社会が作られることになります。

民主主義とは「国家の所有権」が、国王から国民に移ることを意味します。国民が国家の方向性を決めることになったのです。これを「国民国家」と言います。つまりは、現在の私たちが住む社会のことです。

国民国家の誕生は、政治や軍事面にも大きな影響を与えます。

戦争には「正義」のストーリーが必要

絶対王政の時代、戦争は「国王のため」でした。しかし国民国家の場合は「国民のため」に行われます。そのため、多くの国民を納得させる「口実(理由)」が必要です。

国民国家では、強制的に国民を戦争へ参加させる「徴兵制」が採用されます。戦争の遂行には国民の理解が必要になるため、国家は自分達の「正当性(正義)」を主張するのです。正義を掲げた以上、敗北は絶対に許されません。

お互いの国が消耗し、継続するエネルギーが枯渇するまで、戦争は続きます。正義は負けないので、妥協は許されません。こうした戦争を「総力戦」と呼びます。

国民国家は総力戦をもたらし、結果として「第一次・第二次世界大戦」を引き起こすことになるのです。

ウクライナの「正義」とは?

現在のウクライナで起こっている戦争も、総力戦の様相を見せ始めていると感じます。ウクライナ国民にとって「クリミアを取り返す」ことが「正義」というストーリーが形成され始めているからです。

そして、ロシアも自分達の正義を掲げています。対話は不可能です。妥協をすることは敗北を意味し、国民の支持を失うことに繋がります。

今後の展開は全く予想できませんが、おそらく「戦争(総力戦)」はまだ続くでしょう。

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