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拝啓 「そのまま」を愛して欲しかった私へ

あなたにこうやって手紙を書くのは、はじめてですね。

なんだか、唐突にあなたのことを思い出したので、筆をとってみました。
あなたも知っているように、思い立ったら行動しないと気が済まない私です。


私が思い出すあなたは、いつも、なんだか灰色の背景の中にいます。


決して真っ暗ではないんだけど、モヤモヤとした晴れない何かがずっと立ち込めている、そう、いつも曇り空みたいな感じ。

小学校も、中学校も、高校も、大学も、いつでもそうでした。

でも、あなたは、イジめられたことも、友達がいなかったこともない。むしろ、勉強もできたし、前に出るタイプだったから、恵まれている方に見えていたかもしれない。それなのに、不思議ですね。


あれは、きっと、いろんなものへの「不足感」だったのかな、って今思います。

昔から、自分のことを「つまらない」と思っていたあなた。
そんな自分が、周りから受け入れてもらえていない感じがして、怖かったんだよね。

だから、いつも、自分の立っている足元がグラついているような気持ちだったんじゃないかな。


あなたは、そんなつまらない自分に色を塗るために、頑張ってきたよね。
ザ・真面目ちゃんな自分を、「私はこんなはずじゃない!」って思いたくて。

面白いこと言えるように頑張ったり、バンドを組んでみたり、古着に身を包んで個性出してみたり。
いろいろ、いろいろ、頑張ったね。


でも、本当は。

「そのままのあなたが好きだよ」

って、言われたかったんだよね。


誰かにそう言って欲しかっただけなのに、そのままの自分じゃ自信がないから、一生懸命に色を塗ってしまっていたんだね。

本当は、人の目を人一倍気にするから、「この色でいいんだろうか」って思いながら鮮やかな色を塗っていたよね。


残念ながら、10年後のあなたも、まだ色を塗り続けていましたね。

一応、塗った色たちは、人が褒めてくれたり、評価してもらえたりもしていた。
でも、なんだか満たされない気持ちが続くばかりでしたね。

あなたは、その後とても迷うことになるけど、私から見れば理由はカンタン。


そりゃあ、あなたの本当の願いが満たされていないから。

「そのままのあなたが好きだよ」って言われること。


でも、当たり前ですよね。だって、ずっと、あなたが「そのままの自分」を否定して違う色を塗り続けていたんだもん。

「そのままの私に気付いてよー!」って叫んでるのに、それを隠しているっていう。笑


今の私から、あなたに一つ、言えることがあるとすれば。

「まずは自分がそのままの自分を愛してね」ということ。


誰かに愛されるのを待つ前に、自分を愛そう。
自分の外見も、内面も、よく見て。
たくさん、魅力的なところが本当はあるはずだよ。

そして、不思議なことに、そのまんまでいた方が、愛してもらえたりもするんだよね。


実際、あなたは30歳になる頃に、そのことに気付いたけど(というか、そうならざるを得ない状況に追い込まれたのだけど)、そうなってからの方が断然愛されるようになったよね。

それは多分、あなたがずっと「ありのままの自分」を愛して欲しかったからこそ、人の「ありのまま」を愛せるからだよ。


ほらね。
まず「ありのままの自分を愛する」ことって、いいことばっかりでしょ?


だから、大丈夫。
右手に持った、鮮やかなペンキを下して。

そんな人工的な鮮やかな色を塗らなくても、あなたの色はじゅうぶん尊いかから。


これからも、あなたと一緒に生きていくよ。

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