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ペット初心者の私が、保護犬と暮らすことになった話①

1ヶ月前、我が家に保護犬がやってきた。

もうじき6歳を迎える、オスのロングコートチワワ。繁殖犬を引退したばかりの子だ。

名前を、「そら」と名付けた。


そらを飼うことになったのは、「室内犬を飼いたい。飼うなら保護犬がいい。」という私の希望だった。

私は子供の頃、「犬を飼いたい」と姉と徒党を組んで親にせがんでいたのだが、結果まっ黒なラブラドールレトリバー(♂)を我が家に迎えることに成功した。

そこから、犬と一緒に散歩したり寝転がって遊んだりするようなめくるめくワンだふるライフを期待していたのだが、現実はそう甘くなかった。


我が家に来たラブラドールは、飼い主を無視して走るは走る、そしておまけに怪力ときた。
当時、握力が16g程度しかなかった非力な私には、到底、扱えなかった。

妄想はあっけなく砕かれたものの、「絶対に世話をするから」という親と交わした約束は守らなければならない。
そのため、非力な私にもできる唯一の世話として、私は排泄物を処理する係となった。それからというもの、犬を迎えてから私が大学進学のために実家を出るまでの8年間、私はもくもくと彼の排泄物を捨て続けたのだった。


そんなこんなで「犬を飼う」という目的は果たせたものの、肝心の「犬との思い出」があまりない。

しかも外飼いだったので、朝と晩に排泄物を片付けてしまえば、あとは絡みがないのだ。だから、事実上「ペットを飼っていた」ことに間違いはないのだが、正直なところ、あまりそういう実感はなかったりする。

その後、大人になってからは、「ペットを飼いたい」と強く思うこともなく過ごしてきた。
もともと、決して「動物大好き!」というタイプではなかったし、20代は仕事が忙しすぎてそんな思考をする暇もなかったのだ。



だが、30代になり、結婚をして、マンションを購入して、心境の変化があった。

極狭の賃貸アパート2人暮らしから急に広い家になり、心の余裕が出てきたのか、ふと「犬を飼いたいな」と思うようになったのだ。


ちょうどそんな時、とある女性経営者の方が、自身のyoutubeで保護犬の譲渡活動をしている団体を紹介していたのを見た。

それまで、「保護犬」は「聞いたことある単語」という感じで、どういうものなのか全く分かっていなかった。

だが、動画の影響で急に身近に感じ、いろいろ調べていくうちに使命感のようなものが湧き上がってきてしまったのだ。「貰い手がない犬がこんなにいるなら、引き取って幸せにしてあげたい!」と。
困っている人(動物)を放って置けないのは、カウンセラーの性なのかもしれない。


そこから、私の「保護犬探し」が始まった。

思い立ったら動かないと気が済まないのも性分なので、毎日のように保護犬団体を調べ続けた。偶然、近所に保護犬と触れ合える場所が数カ所あったので、そこに何度も通ってイメージトレーニングも重ねた。

そして、夫の説得も同時に進めた。

夫は、「ペットは金魚しか飼ったことがない」という筋金入りのペット初心者。そして、そもそも幼少の頃から犬が苦手という、説得するには攻略難易度が高い人材だった。

しかし、うちの夫はゆっくり意識してもらえれば抵抗が薄れていくタイプ。それが分かっていたので、私は「保護犬を飼いたい」と言い続け、保護犬との触れ合いの場にもライトに連れて行った。そのうちに、夫は「吠えたり噛んだりする犬ばかりではない」ということを理解し、とうとうOKを出してくれたのだった。


晴れて夫の承諾も得られ、「これでいよいよお迎えができる」と本格的に保護犬団体にコンタクトを取り始めたのだが、ここからがまた難関。

ペット初心者、かつ共働きで犬を留守番させる時間が長い我が家は、保護犬団体の譲渡条件に合わないことが多かったのだ。

1匹でも多くの犬に里親を見つけたいんじゃないのかよ、今時の家庭はほぼ共働きだぜ、と言いたくなったが、彼らも本気で犬を幸せにしたいと思っているのもわかる。仕方がない。


それでも諦めず調べ続け、私はついに見つけた。ひとり暮らしや若い夫婦にも譲渡可能、という保護団体。


そして、その譲渡会で出会ったのが、「そら」だった。

(続く・・・)

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