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ディズニーランドで、神に触れる

先週末、私の2年越しの夢が叶った。
山形に住む姪っ子・甥っ子と、ディズニーランドに行ってきたのだ。

ここ数年、私は毎年の年末に「来年やりたいこと100」というリストを書いている。
そのうち、2年前に書いた「やりたいこと100」のうち1つが、「姪っ子とディズニーランドに行くこと」だった。
(当時、甥っ子はまだ赤ちゃんだったので、「姪っ子」としか書いてなかったが)


私は、妹の5歳の娘と3歳の息子を溺愛している。

普段、妹一家は私の地元でもある山形に住んでおり、ディズニーランドは簡単に行ける場所ではない。
しかし、ディズニーランドといえば、日本最上級の「子供ウケ」スポット。
連れて行ったら、どんなに喜ぶだろうか・・・。

カフェで「やりたいことリスト100」を書きながら、私は一人その情景を思い浮かべながらホクホクしていたのだった。


そんな夢を温めること、2年。とうとうその日はやってきた。
埼玉に住むイトコの結婚式に合わせて妹一家が上京してくることになり、
ついでに「ディズニーランドに一緒に行かないか」と誘われたのだ。

もちろん2つ返事でOK。同じく山形から上京してきた姉夫妻と、私と、妹夫婦+姪っ子甥っ子の総勢7人でディズニーランドに乗り込んだ。

案の定、子供達は大興奮で、その姿を見れただけで私の目的は達成されたようなものだった。
ㅤㅤㅤㅤ

一方で、私は10年振りくらいのディズニーランド。最後に行ったのは、おそらく20代前半の頃だろう。
その頃は私だって目をキラキラさせて遊び回っていたものだったが、もう35歳にもなると冷めたものである。
「あれ、こんなにチープな感じだっけ?」なんて感じてしまっていた。


そんな中で、「イッツ・ア・スモールワールド」というアトラクションに乗った。
「世界中誰だって微笑めば仲良しさ〜」という歌がエンドレスリピートされる中で、船に乗りながら世界各国の民族衣装を着た人形達を眺める、あれだ。


このアトラクションこそ、ぶっちゃけ「チープ」に思えてしまった。
「おもちゃのお城」のような外観も、待合列に並んでいる間の内装も、あきらかに「子供向け」なカラフルさ。
「大人だけで来たら、まず乗らないなぁ・・・」なんて思っていた。


だが、このアトラクションに乗り、館内を一周すること5分。
私は、「神」になって帰ってきた。




最初は、私も姪っ子・甥っ子たちと一緒に、「あそこにラプンツェルいたね〜」「ライオンがいるね〜」なんてキャッキャしていた。

しかし、だんだん船が進み、いろんな国の人形を通り過ぎていく中で、ふと思ったのだ。
「あぁ、みんな笑顔の人形ばかりだな」と。


これって、アトラクションとしては当たり前のことだけど、決して当たり前じゃない。

実際の世界は、今、いろんな国で戦争が起きている。こんなふうに、違う民族衣装を着た、違う国の人同士が、笑顔で踊るなんてありえないかもしれない。


それでも、このアトラクションの中では、どの国の人形も可愛らしく、どの国の人形も笑顔だ。
まさに、「みんな違って、みんないい」という世界である。


その時、テーマソングの「イッツ・ア・スモールワールド」の歌詞が、耳に飛び込んできた。

「世界はせまい 世界は同じ・・・」


そういえば、私は小さい頃、この歌詞に違和感を感じていた。
「ふつうは、”世界はひろい”じゃないの?」と。

「せまい」という言葉が、子供ながらにも、なんだか窮屈で、ネガティブなイメージで、もしかして悲しい歌なのかな?と思ったものだった。


でも、違う。「世界はせまい」でいいんだ。

私たち、人間の視点からすると、どうにも「自分と違う人」が気になってしまう。

でも、宇宙全体を見下ろしている神様がいるとして、その「神」の視点から見たらどうだろう。
地球なんて、大きな宇宙のちっぽけな星の一つなわけだから、さらにその中の「国境」や「人種」の概念なんて、神様にとっては取るに足らないものだろう。

神様から見たら、みんな同じ、みんな一緒。
でも、一つ一つの国も、人も、どれも美しく素敵なんだ・・・。

船が館内を一周して戻ってくるまでの間、わずか5分程度。
私はすっかり、「神」になりきって帰ってきた。


まさか、アトラクションに乗っているたった5分で神意識に到達できるなんて。恐るべしディズニーランド。

「世界中の人々がこのアトラクションに乗ったら、もしかして戦争なんてなくなるんじゃないか」と、本気で思ったほどだ。



その後、神と化した私は、それはそれは穏やかな気持ちで1日を過ごした。

たとえ、ピザひとつ買うのに20分かかっても、甥っ子がアトラクションの待ち列で暴れてもどうってことない。
神から見たら取るに足らない出来事なのだから。


夜になり、最後にパレードを観た。
パレードの一行が通るすぐ脇の地べたに座り、膝の上には甥っ子を乗せ、煌びやかなネオンの山車と、愛くるしい動きで手を振るキャラクター達を眺める。

私の腕の中で、一生懸命に手を振る甥っ子のつむじに顔を埋めてみると、もう3歳だけど赤ちゃんみたいな匂いがした。

ちょっと汗くさいのに、まるで陽だまりの中にいるみたいな、あの幸福感に包まれる匂い。


その時、私はとんでもなく愛おしい宝物を抱きしめているんだ、と思った。

この宝物たちが大人になる頃、世界はどうなっているだろうか。
「イッツ・ア・スモールワールド」の人形たちのように、笑顔で肩を寄せ合い、楽しく歌っていられるような、明るい世界になっているだろうか。

それはきっと、神が私たちに与えた宿題なんだろう。
この、陽だまりのような純真な目を曇らせないように、私にできることをやっていかねば・・・。


2年前に願った「姪っ子甥っ子とディズニーランドに行く」という夢のエンディングが、まさかそんな壮大な決意になろうとは。
人生って、本当に何がどう繋がるかわからないものだ。


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