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先生が遊ぶ人を決める?フィンランドとオランダので見たグループ作り

「今からグループを作ってください」

「ヒュッ!」
と息をのみ
一気に緊張が走った

子どもの頃
先生からこう言われると私は

 誰と組もうか
 いや、入れてもらえるかな?
 声をかけていいかな?
 はみ出たらどうしよう

頭の中でぐるぐると考え

ドキドキと心臓の音が響いてきて
呼吸が浅くなってくる

さっきまで平和だったのに
急に緊張してきて
もう逃げ出したくなる

みんな先生の話なんか聞いていない
どうしたらうまくグループ分けができるのか
仲良しの子とアイコンタクトを取ったり
誰を誘うかジェスチャーしていたり
それぞれ頭の中がフル回転なのだ

絶対仲良しのあの子と同じグループになりたい
が、通らず泣いたり

あの子とだけは組みたくない!と
仲の悪い子同士で対立していたり

色々な感情が渦巻く

そんなグループ作りの時間が苦手だった


フィンランドの幼稚園でのグループ作り


フィンランドの幼稚園で働き始めたある日
朝の会で先生が
「今から3人グループ作るよー」と声をかけた

ヒュッ!!


懐かしい感覚

私はそこに参加しないのに
そのセリフを聞いただけで
ドキドキした

「じゃあ,ちゃんと覚えてね
1,2,3,4,5,6…1,2,3,4,5,6…」

と1人ずつに数字を言っていく
私の近くにいたポニーテールの子は
3になった

全員に数字を言い終わると
「じゃあ、言われた数字の人たちで集まってね」
と声をかければ
「1の人〜」
「3~3~」
と頭の上でひらひらと指数字を掲げながら
数字を連呼し始める

ポニーテールの子は
3の数字を見つけて近づいていくと
自然に集まってグループができたのだ


そしてそのグループで
ゲームでもするのかと思ったら
いつも通り外で遊ぶという

え?
別にそんなことをしなくても
遊びたい子、気の合う子を
自分で見つけて
遊べばいいのに…

フィンランドは自由な保育をしていると
イメージしていた私は
思ったより大人が介入することに
驚いたので先生に聞いてみた

「なんでわざわざ大人が遊ぶ子を決めるの?」

すると先生が遠くで遊んでいる男の子を見つめて

「あの2人、いつも一緒に遊んでいるでしょ?」

と言った

確かに。
5歳の男の子2人はいつも一緒で
やんちゃだ
バラバラだと別に問題はないのだが
2人が揃うとテンションが上がりすぎて
怒られるのがいつものパターン

別の子がその2人の遊びに入ろうとしても
追い出したり、意地悪を言ったり
良い言い方をすれば絆が強い

でも、どちらかが欠席すると
「つまんない」
と、誰とも遊ばず
ずっとつまらなさそうにしている

先生たちはその状態を良いとは思っておらず
みんなと仲良くなりなさいとは言わないが
この子としか遊べない状態を改善する
ために
色々な子と遊ぶ機会を作るようにしているのだという


なるほど

思い返してみれば日本の保育園で働いている時も
年長くらいになれば
大体いつも一緒に遊ぶグループは
できていた

親同士が繋がっていたり
家が近所だと
自然と遊ぶグループが決まってくる

気の合う子が見つからないと
先生にずっと
くっついていたりする

なるほどー!!

と、すごく納得したことを覚えている


実際に遊んでいる様子を見ても
いつも車のおもちゃで遊んでいた子が
すべり台をしていた

いつもと違う遊びをしているようだ

他の子は何で遊ぶか揉めている
ブランコがいい
砂場がいい

あー、あの子はいつも気の合う友達と
ブランコをしているから
今日もブランコがいいんだ…
いつもなら揉めないけど
こうやってお互いにやりたいことを主張して
ぶつかったり、折り合いをつけたり
することも経験だ

いつもの友達と違うと
色々様子が違って面白かった

でも子どもの気持ちとしては
この時間をどう思っているのだろうか?

やっぱり遊ぶ相手くらい
自分で選びたいのだろうか?

大人にやらされている感はやっぱり
あるのだろうか…?

納得はしたが
ちょっとモヤっとする部分は残った

オランダの小学校でのグループ作り


その後オランダの学校へ視察に行った時
同じような場面に遭遇した


5歳〜6歳のクラスを見学した時に
朝の会でくじを引いて
同じ色のカードを引いた子同士で
グループになり、30分はこのグループで
この遊びをするようにと話していた

「お! フィンランドと同じようなことをしている!」
これはチャンス! と
オランダの先生の意図を聞いてみた
すると

「自由にするといつも
 同じ子とばかり遊ぶから
 別の子と遊ぶ機会を
 こうやって無理やりでも作るの
 
 だってここには
 色々な子がいるから
 色々な人と関わることを
 学んでいかないとね


という先生の言葉にストンと
自分の中に落ちたような気がした


そうか


フィンランドの先生も
オランダの先生も
みんなと仲良くなるために
やっているのではなく

同じ場所にいて
一緒に関わり合いながら
その場所にいられること

目指しているのだ

集団の中にいたら
色々な子がいる
気の合う子もいれば
苦手な子もいるだろう

苦手だから
好きじゃないから
一緒にやりたくない

ではなく

苦手でも
仲良しには
ならなくてもいいから
それなりに
同じ時間を過ごせるように
練習するのだ

そのために
まずは気の合う子だけじゃなく
色々な子がいることを知ること

それをねらいにしているのだと
気づいた

そしてその30分が終われば
いつも通り自由に遊べる

まるで小さな社会人のようだ

30分は勤務時間で
それが終われば自分の時間

勤務時間内は自分の好きな
人間関係だけではない
色々な人がいる中で
それなりに同じ時間を過ごすために
みんなが協力していく

そんなことを小さなうちから学んでいくのだ



きっとこのスキルは大人になってからも
必要なスキルだ

4月になって新しい環境になった人もいるだろう

グループ作りのように
仲のいい人だけと
一緒にいられないこともある

色々な人がいるから
仲良しにならなくてもいい
苦手でもいい

それなりに同じ時間を過ごせれば
それでもう花丸なのだ


yakko


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