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子どもの気持ちを汲み取る日本の保育士 子どもが気持ちを伝えられるようにするフィンランドの保育士

”子どもの喧嘩を仲裁する時には
 子どもの気持ちを代弁しましょう”

”癇癪を起こしたその言葉にできない
 感情を代弁してあげましょう”

保育士をしているとこの
”代弁する”という言葉は
よく出てくる

以前、フィンランドの
保育環境についてのワークショップを
行った際に
参加者の保育士さんと
話をしていて
この”代弁する”という考えは
日本の保育の特徴であることに気づいた

でも、その時に参加者の人と

いつまで子どもの気持ちを”代弁”するの?

という話になった

子どもが大きくなるにつれて
「違う! そうじゃない!」
と怒られることがある

大人が状況だけをみて
想像でその子の気持ちを
”代弁”するのではなく
自分でその複雑な感情を話せるように
練習する必要があるよね

という答えで落ち着いた


保育書・育児書・研修……
色々なところでこの”代弁”という
言葉は出てきて

子どもの気持ちを代弁することは
保育士の仕事のうちの
一つでもあるように感じていた

しかしフィンランドの先生は
子どもの気持ちをくみとって
代わりに話す”代弁”するより

子どもが自分の気持ちを言葉で
表現し、それを相手に伝えることを
サポートしているのだ

ワークショップ参加者の方の
気づきで私たちも気付いた

これだからワークショップの
雑談は面白い!

私たちがセミナーではなく
参加型のワークショップに
こだわる理由はこれだ


よくある代弁する場面


B「センセ〜Aくんがおもちゃ取った!」
A「違う! ボクの!」

「そうだね、Aくんが使ってたんだよね」
 でも、Bくんは気付かなかったんだよね
 だから取られたと思ったんだよね」

状況を整理して
それぞれの立場で起きたことを言語化する

もしくは「取られてやだったね」
と気持ちを代わりに言語化する

こんなふうに保育現場で
代弁する場面が多いのでは
ないでしょうか

(この対応ができるだけの余裕がないことも多々ありますが…)


フィンランドで見たケース


B「センセ〜Aくんがおもちゃ取った!」
A「違う! ボクの!」

「私は使っていたものが
 急に取られたらビックリしたり
 悲しい気持ちになったり
 怒ったりするけど
 あなたはどんな気持ちになる?」

B「びっくりして嫌だった」
A「ボクが使ってたのを取られたから怒った」

「そう、Aが使ってたのね、Bは知ってた?」
B「知らなかった」
「だからお互い取られたと思って
 嫌な気持ちになったのね。
 どうしたらいいと思う?」
A「取る前に聞いて欲しかった」
B「ぼくもびっくりしないように先に聞く」

このように

その子の気持ちは
その子が話すことを
大切に考えているのだ

「あなたはこう思ったんじゃない?」
「こんな状況だったんじゃない?」
というより


自分だったら
こんな気持ちになるけど
どうかな?と

大人はあくまで自分だったら
こんな気持ちになる
という例を伝えていた

その人の感情は
その人のもの

だから代弁するのではなく
自分の気持ちを
伝える方法を子どもに話すのだ


そして具体的な解決策を
一緒に考え

次に同じ状況になった時に
どうしたらいいのか
子どもに考えさせる

あくまでも喧嘩の仲裁を
仕切るのではなく
サポートする立場になり
より良い方法を一緒に考えていくのだ


そうすることで
また同じトラブルがあった時には
子どもが自分で考えた
解決方法なので実践しやすく
うまくいかなかったとしても
また一緒により良い方法を
考えていくことができる

そして子ども同士で
お互いが納得できるような
解決法を導き出せるように
対話をしていくのが
フィンランドの先生がしていた
トラブル解決法だった


日本とフィンランド 保育環境の違い


日本ではおもちゃの取り合いや
ケンカは日常茶飯事だった

ところがフィンランドの保育園は
おもちゃの取り合いで
取っ組み合いになったり
泣き叫んだりするような
激しい状況はほとんど見たことがなく
幼児でも冷静に話し合う姿をよく見た
(もちろん、全ての子がそうだとは限らない!)

その要因の一つがこの先生の関わり方も
あると思う

しかし、これをやってみようと思ったら
子どもたちと、とことん話し合える
環境が整っていなければ実践は難しい

周りでガヤガヤと
他の子が遊んでいたら
子どもは落ち着いて話し合えない

クラスから離れた場所で
落ち着いて話し合える場所があるのか?

大人が1人抜けてもいい人員配置か?

フィンランドの保育環境と
日本の保育環境は全く違う

じっくりと対話をしたくても
なかなか対話できる環境を
整えることが難しいのが
日本の保育現場の現状なのだ


代弁することの良いところ

気持ちを代弁するという
子どもの心に寄り添った保育は
日本の保育のいいところでもあり
ただただ”悲しい”という気持ちを
「悲しかったね」と
共感してくれる大人の存在は
子どもにとって
とても心強く安心できるものだ

お話は上手だけど
悲しいことがあると
涙が出て何も言えなくなってしまう
そんな子には最初に
「おもちゃ取られて悲しかったんだよね」と
気持ちに寄り添うことで
相手と話す勇気になる子もいる

また言葉が未発達な乳児や
発達がゆっくりな子どもにとって
対話をすることは難しいため
代弁することで

「これが”悲しい”って気持ちなんだ」と

自分の感情に名前があることを知ったり

「おもちゃを取られて嫌だ」

ということがうまく言えず
イライラしたり行動に表す子に

「イヤ」と言葉で伝える

方法があることを
知る機会をつくれる


子どもの気持ちを汲み取る日本の保育と
子どもが気持ちを伝えられるようにする
フィンランドの保育

どちらがいい、悪いではなく
目の前にいる子どもによって
うまく使い分けられる
そんな使い方をしていきたい


yakko


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