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まだ、ゲームでかんしゃくを起こす子どもとブチギレた大人

「もう、おしまいにして!!!!!」
過去最大級のかんしゃくを起こす彼に
初めて怒鳴った
頭に血がのぼっているのかクラクラする

冷静になろう

そう思って彼から距離をとってスマホをみると
とんでもない通知が来ていた


このブログを書いた著者です
多くの人に読んでいただき
本当に驚いています
ありがとうございました
次に何を書いたらいいか
悩んでいましたが

”こんな風に冷静に子どもと
 話し合えるようになりたい”
”自分もかんしゃく持ちなので
 この記事を読んで変わりたいと思った”
”感情をコントロールするって
 子どもも大人も大事”

こんなコメントを書いてくれている人がいた時

当の本人はかんしゃくを起こし
私はブチギレていました
感情コントロールなんて
全っっ然! できてません!
もう穴があったら入りたい
その時の状況を正直にお話しします


私は月に数日友達の子どものお世話をしている
親の代わりに学童に迎えに行って夕食を食べさせ
親が帰宅するまで一緒にゲームをして過ごしている
その日も、ちょうど彼の家にいた

実は彼には2歳下の弟がいる
その日も3人でゲームを
やろうと準備をしていた

事の発端はキャラクターを選択で
いつも兄が使っているキャラを
弟が先に選択したという
大人にとっては些細な出来事だった

2人はいつも1つのキャラを
取り合ってケンカをしていた

毎回交代で使う約束にしていたが
覚えていられず
「今日はどっちだっけ?」
「ボクの番だよ」
「違う! ボクの番!!」
とトラブルになっていた

何とか決着がついて次に
コースを選ぶことになっても
「このコースは難しいからやだ!」
「いつも同じコースばかりつまんない」
とコース選びでも揉める

一向にゲームが始まらず、時間がきて
「今日はおしまいだね」と
タイムアップを告げると
「もっと遊びたかった!」と騒ぐ

「だったら次は早く決めて
 ゲームの時間がたっぷり取れるように
 するしかないね」
というやりとりが3回くらい続いた

毎回再放送か? 
と言いたくなるようなやりとりに
紙に書いてメモしておく方法を
取り入れてみたが
無くしたり、毎回メモするのが
面倒だったりで続かず
子どもたちと相談の結果、廃止。

次の方法を考えているときに
「毎回コース選び譲ってあげるから
 ヨッシーをやらせてほしい」と
兄から提案があった

弟はコース選びの方に
こだわりがあったので
すぐに「いいよ!」と快諾

無事、平和条約が締結された

半年以上その約束は守られ
ノンストレスでたっぷり
ゲームを楽しんでいた

それなのにその日は弟が何も言わず
先にヨッシーを選択したのだ
急に破られた平和条約に兄は怒った
「約束したじゃん! 
 何でヨッシー勝手に使うの?」
「だって使いたいから」
「やだ!」

ここで子どもが私の顔をみる
どっちの意見が正しいのか
判断して欲しいのだろう

「弟は何で今日は急に
 使いたいたくなったの?
 お兄ちゃんも、何でイヤなのか
 説明して話し合いしてみたら?
 理由がわからないよ」
と、さらに話し合うように子どもたちに伝えた

「やだ!」「だめ!」の主張だけじゃなく
彼らはもう、しっかり話ができる

何が嫌なのか、
なぜ譲れないのか
理由を相手に話す

英語で言うbecause(なぜなら…である)
を付け足すようにケンカの時には
毎回伝えていた

「だって、いつもお兄ちゃん
 ヨッシーだからたまには使いたい」
「やだ! だって約束したんだから!
 約束破るな!」

また子どもたちが顔をみる
お互い言われた通りに主張した
思いを伝えたが決着が
つかないから判断を求める

「確かに。
 たまにはヨッシー使いたいよね
 でも、急に約束破られて
 嫌な気持ちもわかる」

意見は受け止めるがジャッジはしない

これもフィンランドの幼児教育コースで学んだ
子どものケンカに関するポイントを使った

・大人はどちらが正しい、悪いとジャッジしないこと
子どものケンカは必ず白黒はっきりさせる必要はない。ジャッジすると毎回大人の判断が必要になる。大人の役割は子どもの話を聞いて事実を確認し、自分たちで解決の道を探れるようにすること
・自信を持って言葉で伝えること。時にはぶつかって「自分の気持ち」と他者の「気持ち」は違うことを知る場所を作ること。そして思い通りにならないもどかしさや悔しさ、我慢することを経験して人と人との関わり方を学んでいく機会を作る

毎回仲裁していたらケンカのたびに大人が入らなければならない
だから私はジャッジせず自分たちで解決できるよう見守っていた

しかし、これが間違いだった

想像して欲しい

斬新なアイデアが出るまで
帰れない会議
意見を出しても出しても
受け入れられない気持ち……

PTAの役員を決めるために
誰かが折れるまで
ずっと終わらない会議……

終わりのない議論ほどツラいものはない!

私は子どもたちにそれをさせていた
大人でもツラい状況なのに
まだ集中力も議論する力もない子どもに
早くどっちかが諦めて決着つけばいいのに
と思っていたのだ

もう持っている言葉も出し尽くした
決着の付け方もわからない
でもお互い自分が折れることはしたくない

終わりの見えない喧嘩に
その場にいる全員が疲弊していた
「もう、じゃんけんしたら?」と
話し合いでの決着を諦めた

「このじゃんけんが絶対に最後
 勝った方がヨッシーを使う
 負けた人はじゃんけんで決めたことだから
 勝っても負けても文句は言わない。
 それでいい?」
2人に確認する

「いいよ」
「じゃんけんぽん!!」

兄が負けた

長い長い話し合いの末の負け
案の定、彼は
特大のかんしゃくを起こし

弟や私に当たり散らす

でも私としても
ここまで散々話し合いに付き合ったのに
何なんだ!! と
カッとなって

「もう! おしまいにして!!!」

と怒鳴った

一瞬の空白

そして深く息を吸い込み
顔をくしゃくしゃにして大声で泣く彼
居心地悪そうに立ちすくむ弟

あぁ、私はブチギレてしまった……

もう最悪だ

ちょっと離れよう

そう思って1人キッチンに向かい
お茶を飲みに行く

友人が帰ってくるまで
あとどれくらい時間があるのだろう
それまでにこの最悪の状況を
何とかできるのだろうか?

そう思ってスマホをみると
ブログがバズっていた

なんで……いま……

今すぐブログに

今!
私は!
子どもに怒鳴りましたー!!
と書きたくなった

もう頭の中はぐちゃぐちゃで
どうしたらいいのかわからない

そのまま5分ほどキッチンで
過ごしていると
弟がやってきた

「ねぇ、何で怒ったの?」

と聞いてきた
言葉に詰まる
驚いた。
私がいつも彼らがかんしゃくを起こしたときに
いつも聞くセリフを彼は言ったのだ

確かに。何がそんなに自分の中で
引き金になったのだろう
「んー、何だろう?
 もう最後って言ったのに
 約束破られた気持ちがしたからかな?
 それとも、その前からケンカを聞いてて
 イライラが移ったのかな?
 今、頭の中がぐちゃぐちゃだよ」

「そっか。」

そう考えると冷静になってくる
あれ? 私は今、弟くんにかんしゃくを
落ち着かせてもらったのか?

「ねぇ、ぼく考えた。
 お兄ちゃんかわいそうだから
 ヨッシー譲ってあげる」

それにもどう答えたらいいのか
正解がわからない
もう、自分の言葉に自信がなかった

「ありがとう、その気持ちは嬉しいけど
 今日はどうしたらいいのか
 私もわかんないからもう
 ゲームするの辞めない?」

すると離れた場所で泣いていた兄が
「やだ! ゲームはしたい!」と言う

「でも、この状態でゲームしても
 きっと楽しくないよ?
 私はやりたくない。
 やりたいなら2人でやって」
「やだ! みんなでやりたい」
「でも……」
自分で気持ち、落ち着けるから待ってて!

そう言って彼はこども部屋に行った

驚いた

まさか、そんなセリフが
聞けると思わなかった
かんしゃくを起こした後に
自分の力で立ち直ろうとしている?

5分ほどたっただろうか
泣き声もなくなり、
スンスンと鼻をすする
音だけが聞こえてくる

まだ7歳の彼は一生懸命
自分の気持ちと向き合っている
5歳の弟も一生懸命この状況を
どうしたらいいのか考えている

かんしゃくは起こしたけど
前と同じではない

ちゃんと成長しているんだ!

そう思ったら
私も冷静になってきた

以前ならこの気まずい雰囲気を
なかったことにして
冗談を言ったりしただろう
それかイライラを引きずっていただろう

でも、子どもたちは自分で
気持ちを整理した
私もちゃんと気持ちを整理して
まずは怒鳴ったことを謝ろう


暗い子ども部屋に入って
じゅうたんの上で
うずくまる彼の背中に
そっと手を置く
撫でながら「落ち着いた?」
と静かな声で聞く

反応はないが、拒否はしない
多分彼はあときっかけが
あれば大丈夫だ

「さっきは大きな声出してごめんね」
「ちょっと元気出すために
 甘いもの食べたいんだけど
 一緒に選ばない?」

すると泣き腫らした顔をこちらに向け

「……チョコ食べる」と言った

次になんて声をかけたらいいか
わからなかったけど
彼のことを嫌いじゃないという
ことを伝えたくて

ぎゅっと抱きしめた
もう大丈夫だ

弟も呼んでみんなでお菓子を選ぶ

ソファに座り
何を喋るでもなく
みんな正面を見ながら
チョコを食べる

疲れた頭に糖分が行き渡る

「さっきね……多分、ずっとケンカを
 してたからみんな疲れたんだと思う」
「だから最後ねって言ったけど
 終わらなかったから怒ったんだと思う」

静かに聞いている子どもたち

「今度からどうしようか
 相談しようと思ったけど
 もう、今日はやめよ!
 みんな疲れたし頑張った!
 ゲームしよっか?」
「したい!!」

いつもなら今後の対策を話しあっただろう
彼の気持ちも聞いてみたい
でも、今必要なのはゲームをやりたいために
自分で気持ちを落ち着けることができた
彼の気持ちを優先したい!

「じゃあ、誰がヨッシー使う?
 私が使っちゃう?」

絶対嫌!という予想をしたところ

「うんいいよ!」と笑顔の2人

「え? じゃあ、今度から話し合いで
 決まらなかったら
 じゃんけんじゃなくて
 私が使うってことにする?」
「うん!! そうしよ!」
パァッと表情が明るくなる子どもたちと
キョトンとする私


なんだ。
私は難しいことを考えすぎていた

”ケンカのジャッジをしない”
”子どもたちで話し合って解決する”

というのが正しいと思い込みすぎて
今、目の前にいるこの子達を
そのルールに当てはめようとしていた

私たちには最後まで話し合いをする
方法はできなかった
決着がつかない方法も
まだ合わなかった


きっとボクシングの試合のように
ある程度制限時間内は戦って
決まらなければ総合的に大人が
判断する方法が
今の私たちには合っている
でも、彼らが大きくなってもっと議論が
できるようになったときに
またチャレンジしてみよう

最後にはそこの目標に
辿り着けるように
もっと小さなステップから
一緒に練習していこう


世の中には色々な教育法や育児書があって
書いてあることはそれぞれ。
どれが正解なんてわからない

まずはやってみて
今の自分たちに合わなかったら
もっと小さなステップから
はじめてみればいいし
それも合わなかったら
別の方法を試せばいい
そして成長とともにまた
チャレンジしてみればいいのだ

怒鳴ってしまった私も
まだまだ感情コントロールは勉強中

でも、怒鳴ってしまったことを
まず「謝る」ができたから一歩成長

彼はかんしゃくを起こしても
自分で気持ちの整理をつけることができた
大きな成長

彼と私はこれからも
いっぱい失敗して
いっぱい練習していくだろう


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