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「この子は何をすべきかわかっているのにやってくれない」のは”正常”なのでイライラしないことにした

「何回言ったらわかるの?」

子どもの頃、親によく怒られた

宿題をやらない
片付けをしない
弁当箱を出さない
テスト勉強しない
自分のことを自分でしない

幼稚園の頃から思春期になっても
やることをやらずにダラダラ
テレビを見ていると
親に怒られた


「わかってるでしょ?」
「できるの知ってるよ」
「わかってるのにやらないのは良くない」

「おんなじこと何度も言わせないで」

耳にタコができるほど言われた


ところが
今度は私が
口が酸っぱくなるほど
子どもたちに言っている

「何回言ったらわかるの?」


言っても言ってもやらない
そんな時は
何度も何度も伝える方法
しかないのだろうか?



前回書いた年下の子が褒められて嫉妬する上の子の話で少し書いたが、いま私はあるプログラムに取り組んでいる

子どもの行動を変化させるためには大人の行動を変化させる
(yale University :Alan kazdin)

その方法について最近勉強したので彼らと実践しているところだ


変わってほしい子どもの行動

私はお世話している
友人の子どもたちに
やってほしいことは

”自分ことは自分でやる”

私は友人の代わりに
お兄ちゃんを学童に迎えに行き
弟君を保育園に迎えに行く

彼らは帰宅すると玄関に
ランドセルや保育園のリュック
上着を置いてそのままにしていた

最初は私がそれを持って部屋に入り
コップや箸、汚れた服など
私が片付けていた

しかし、ある日
「これは自分でやるべきことではないか?」
と思い、彼らに言った

「自分の荷物は自分で部屋に持っていって」
「洗い物も自分で出して」
「自分のことは自分でやって」


そう話すと子どもたちは
「えー、やってよ」
「疲れてるから今日はやって」

そう言った

「疲れてるならゲームできないね」
「ゲームはできる」
「じゃあ、自分の荷物は片付けて」
「はーい」

と渋々、彼らは荷物を部屋に持っていった

ところが荷物を持っていっただけ
それだけで遊び始めてしまった

「ねぇ、最後まで片付けてよ」
「後でやる」
「遊ぶ前にやってよ」
「絶対後でやるから」

うーん……
まぁ、帰宅してすぐに動くのが
難しい時は大人でもある

帰宅してまずホッとしてから
やるならいいか


そう思って

「ごはんの後で絶対やってよ」
「はーい」

そのまま私もご飯の準備を始めた

ご飯を食べ終わって
「今日は何のゲームやる〜?」
と当たり前のようにゲームの準備を始めるので

「ちょっと! さっき後でやるって
 言ってたことあったよね?」

と言うと

「やってよ〜」
「やだ」
「じゃあ、ゲーム終わったらやるから〜」
「さっきごはんの後でやるって言ったじゃん」
「もう、今やってくれないと
 こっちも片付かないから困るし
 片付かないからゲーム一緒にできないよ」

そこまで言ってようやくお兄ちゃんは
ランドセルに向かい

箸はキッチンのシンクの中
ハンカチは洗濯機の中へ出した


「ほら、たったこれだけのことなんだから
 やればすぐ終わったじゃん!!」

と言うと

「じゃあ、やってくれたらいいじゃん!!」
と言い返してくる

イライラ
ムカムカ

確かに私がやれば1分で終わる
しかも自分のタイミングでできる

こうやってやらせるより
自分でやった方が早いのもわかる

でも、それだと大人がめんどくさいことは
何でもやってくれる
ゴネればやってくれる

そうなってしまう気がして
今、ここで私が折れるのはよくない!!


そう思った
それからは必ず彼がやるまで
私は一緒にゲームをしないことにした

ただ、ゲームもできないほど
疲れている時はやってあげるので
申告するように話した


お兄ちゃんはその話をすると
翌日から文句を言いながらも
「ゲームの前にやることあるでしょ?」
と言えば
自分で片付けられるようになった

毎回言われなくてもやってほしいが
まぁ、自分でやるだけいい


問題は弟だった


彼は保育園で自分の荷物を片付けている
だから出来るのだ


「洗うもの出して」
と話す

「洗うものって何?」
「コップと歯ブラシと、汚れた服」
「やだやだやだ!」
「じゃあ、ゲームできないよ?」
「いいよ」
「じゃあ、やったらラムネあげるよ」
「いらない」

あー……
そうだ
弟くんは別にゲームやお菓子に執着はない

お兄ちゃんに通用した方法が
弟に通用するとは限らない


しかも、これがきっかけで癇癪が起きると
その後の、夕食、お風呂
全てに響いてくる

だから結局
「まぁ、弟くんはいいか」

と、こっちが折れてしまう

「荷物片付けて」と

10回言って1回できればいい


やり方はわかってる
気分が乗ればやる
何度も言えば
いつかやるようになるかもしれない

そうやって先送りにしていた



ところがこのプログラムで目からウロコが落ちた

" 知っていること ”と” 出来ること ”は違うことを知ってください
子育ての呪いとして誰もが悩まされる
「うちの子は何をすべきかわかっているのにやってくれない」
子どもがわかっているのにやらない時イライラしないでください。それは心理学で「正常」と呼びます。大人でも子どもでも老人でも人間ならみんな知っていてもできないことがある。知っているだけでは習慣は身に付かない
ストレスを感じる原因はそこにある。


確かに!!!

寝る前のスマホが
良くないと
知っていてもついつい
布団に持ち込んでしまうし

毎日の食事と運動に気をつければいいと
わかっていても
「ooダイエット」とかにすぐ
頼ろうとしてしまう

わかっていてもやらないことできないこと
あるある!!


・知っている
・やったことある
・定期的に出来るようになる
これは全て別のものなのだ


だからまず
「保育園でやってるでしょ」
「この前はできたでしょ」

と「わかってるのにやらない」に
イライラすることをやめた


スモールステップからちょっとずつ練習する


私は子どもたちに
”自分のことは自分でやる”

という目標を立てていたが
それが何かもっと細かくしていった

・玄関に荷物を放置せず自分で部屋に持っていく
・コップと歯ブラシをキッチンのシンクに置く
・汚れた服を洗濯機の中に入れる
・リュックをフックにかける
・脱いだ上着をフックにかける
・金曜日には帽子を洗濯機に入れる
・明日の時間割をする
・夕食を食べた後の食器を片付ける
・靴下を脱いだら洗濯機に入れる

など……細かく挙げたらキリがない

しかし、私がまずやってほしいことは
保育園や学校の荷物を自分で始末してほしい

そして、これは全部一気にできない

まず一つずつ、一緒にやる
口だけで指示を出さず
一緒にやることがポイントだそうだ
それが定着してきたら
次のステップに進むようにした


まず、玄関に入る前に
「今日は部屋まで荷物持っていけるかな〜」
と玄関に置く流れを阻止

そして部屋に荷物を置いたら
リュックを開けて
「今日はコップと歯ブラシを
 キッチンまで持っていける?」
と、コップと歯ブラシも私が出して
まずは持っていくことだけを目標にした

これだけなら何の抵抗もなくやるんだ

と、驚くぐらいあっさりやった

そして
「今日コップと歯ブラシを
 キッチンまで持ってきてくれたから
 私の片付けがすぐに終わったよ
 ありがとう」

と、声をかける
満足そうだ
片付けに対してストレスを感じている
様子はなかった


次の時にはリュックの前に一緒に座り
「コップと歯ブラシを
 キッチンまで持っていける?」
と前回と同じ内容だが
リュックから自分で出すことを加えた

そして次は
「リュックから何を出すでしょうか?」

とクイズにする
すると
「そんなの簡単だし!」
と自分から出せるようになった
「じゃあ、ちょっと難しくするよ」
「今度は汚れた服を
 洗濯機に持っていける?」

「これは難しいから小学生にならないと
 出来ないかも」

一つステップを上げるときに
ちょっとした茶番も入れる

そう声をかけ
ちょっとずつ
ちょっとずつ
スモールステップを重ねていった

そして、2週間もしないうちに彼は
「さて、今私が頭の中で
 何を考えているでしょうか?」
とクイズを出すと自分で荷物を
全て始末できるようになり

今では帰宅したら私が何も言わなくても
兄と競うようにして
片付けを楽しむようになった

あんなに何度言ってもやらなかった
自分の荷物の始末が
できるようになったのだ

「今、手伝ったらこの先もずっと手伝わなければいけなくなるのではないか?」「今1人でできないならこの先一生できない」と考えてしまう人はいませんか? その逆です。今、少し手伝えばこの先は手伝わなくていい。今、面倒かもしれない。でも子どもはできるようになります


本当にその通りだった

最初はそこまでしなくても
この子は知ってるから
一緒に付き合う必要はない
と思っていた

でも、何度も何度も口で言うより
一緒に手伝って練習して
出来た時に褒める
それを少しの間だけやったら
こんなにあっさりできるものなのか


「これやらなかったらゲームなしだよ」
「やったらお菓子食べていいよ」
といわゆる「物でつる」
ような言葉も使うことに違和感があった

それをしなくてもよくなったのだ



赤ちゃんが初めて歩いた時
どんな気持ちだっただろう?
どんな反応をしただろう?

きっと
「何でもっと歩けないの?」
と怒る人はいないはずだ

私は子どもが大きくなると何故か
出来て当たり前だと思ってしまったり
できるなら最初からやってよ
と思ってしまうことがあった

赤ちゃんの成長と同じ
少しずつできることを増やしていく
それを一緒に喜ぶ

それから
”知っていること”と”できることは違う”


子どもだけでない
誰かに何かを教えるとき
この言葉を忘れないようにしようと思う



yakko


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