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カエル電話


受話器ごしには、雨の音が聞こえる。

「今日も元気かい」

男はたずねた。タバコに火をつける。ふうと一息煙を吐き出した。律儀に受話器を肩を押し上げ挟み込み、返事を聞き漏らさぬよう配慮していた。

「ゲコ」

鼻の詰まった男でなければ、その声は紛れもなくカエルのものだった。

「いいこと聞けたよ、ありがとな」

男はタバコを吸い終え、受話器をおろした。背中を見送られることもなく、男は静かに闇へと姿をくらませた。


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