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春うらら


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 春の陽気にさそわれて、密をさけながら、花見というよりも、そぞろ歩き に出かけた。
 川沿いに歩を進めれば、柳の新芽が風に揺れ、サクラたなびく空に白く輝く一直線の飛行機雲。どこまで高く飛ん行く。

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 川面に映るサクラ。近くには満開の菜の花畑。もはや春爛漫の風情にいうこともなし。
 

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 薄紅の可憐な蕾を愛でつつ、途中でジャガバターに昆布でトッピング。しめて四百円なり。ホカホカのジャガイモにかぶりつく。

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 お腹を満たしてふたたび散策。
 おや、サクラの幹に案内文。ふと立ち止まって読むと、

 ソメイヨシノは
 葉のでるまえに淡紅色の花を咲かせるらしい。
 よく見ると、花弁がうつむきかげんで、楚々とし  
 た控えめな風情がある。 

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 ヤマザクラは
 若葉が赤褐色で、白い凛とした花を咲かせるようだ。かつて吉野の山で見たサクラも葉が赤褐色でヤマザクラが多かったような気がする。ヤマザクラという名も野の素朴な風情があって好ましい。

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 オオシマザクラは、これまであまり知らなかったが、
 くっくりとした、少し青みがかったような清楚な白い五花弁の花を咲かせるようだ。一重まぶたのきりっとした女性のような潔さが感じられる。匂いをかぐと、芳しい香りがするらしい。かいでおけば良かったと、反省しきり。

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 サクラにもひとと同じように十人十色あるのかな、ダイバーシティが叫ばれる世の中、ソメイヨシノだけでなく、河津桜やしだれ桜のように、咲く時期も花の形も微妙に異なるサクラを見物するのも悪くないのではないか、そんなことを考えながら、ゆく春を惜しみつつ、春爛漫の道をそぞろ歩く。

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