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三代東山展ー宮永家の人々
もう終わってしまいましたが、「三代東山展ー宮永家の人々ー」展が京都の思文閣で開催されました。
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宮永東山家と錦光山家は深い縁があります。
三代宮永東山(理吉)さんの長女の宮永愛子さんが、同展のチラシに
「宮永東山窯 輸出陶器で隆盛を極めた錦光山窯から独立し、明治42年(1909)に開窯。 初代(1868ー1941)は、語学が堪能で海外美術の見識が広かったため、東京美術学校で岡倉天心の助手を、パリでは農商務省パリ万国博覧会臨時事務局を勤めたそうだ。帰国後、錦光山窯へ入るという、陶芸家としては異例のキャリアの持ち主」
と書かれています。
そうなのです。わたしの祖父七代錦光山宗兵衛が1900年のパリ万博に視察に行き、そこで初代宮永東山さんと知り合い、錦光山商店の技術改良の顧問として招聘したのです。
そして宗兵衛の姉、五女の勢以(せい)と結婚したものの、子どもができないまま勢以は亡くなってのです。そういう意味では親戚なのです。このため錦光山家の菩提寺・超勝寺には宮永東山家の墓もあります。
その後、初代宮永東山は錦光山宗兵衛とともに日本最初の陶磁器意匠研究団体である遊陶園に参加し、意匠改革をすすめていくのです。
こうした深いご縁のある宮永東山家の展覧会ですから、まず初代宮永東山の作品を三つほどご紹介いたしましょう。
最初は「高瀬川曳舟図陶板」です。
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次にアールヌーヴォー様式の「灰釉蛾文花瓶」です。
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3つ目は、「青磁ペルシア猫置物」です。宮永愛子さんが「青磁を得意とし、日本最初の陶磁器意匠研究団体である遊陶園に参加。東山の陶号は、初代が居を共にした友人である幸田露伴の命名」と書かれていますよう初代宮永東山は青磁を得意としていました。
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次に二代宮永東山(1907~1995)、本名友雄さんの作品、「彩釉華形香炉」です。思わずうなり声を上げたくなるような、なんと気品のある香炉でしょうか。感服いたします。
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2つ目は「青磁鉄線花食籠」です。
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次いで三代宮永東山(1935~)、本名理吉さんの作品です。
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最初にお伺いしたときには、三代宮永東山さんは不在でしたが、翌日再度お伺いしたときには在廊されていて、久しぶりに奥様ともどもお会いすることができました。
拙著「京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛伝ー世界に雄飛した京薩摩の光芒を求めて」の上梓に際して、ご自宅に伺い、いろいろご教示や資料までいただき大変お世話になりました。
88歳になられたそうですが、お元気で何よりでした。
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今日はさまざまなインスタレーションをされておられる愛子さまはいらしゃらないのですかとお尋ねしますと、「東京の森美術館で展覧会があり、その搬入で来られない」とのことでした。
そこで宮永愛子さんとご子息の宮永甲太郎さんの作品をご紹介いたしましょう。
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折角錦光山家とご縁のある宮永東山家の作品をご紹介させていただきましたので、最後に錦光山宗兵衛の作品もご紹介いたしましょう。
最初の作品は、著名な建築家でもあり、京都高等工芸学校図案科で多くの図案を手がけた武田五一のデザインとのコラボの七代錦光山宗兵衛のアールヌーヴォー様式の作品であり、あとの2作品はわたしの曾祖父、六代錦光山宗兵衛の作品であり、かなり貴重な作品と言えるでしょう。
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京都工芸繊維大学美術工芸資料館蔵 ©京都工芸繊維大学美術工芸資料館
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京都工芸繊維大学美術工芸資料館蔵 ©京都工芸繊維大学美術工芸資料館
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京都工芸繊維大学美術工芸資料館蔵 ©京都工芸繊維大学美術工芸資料館
さて後日、大変うれしいお便りをいただきましたので、その写真を掲載させていただき、90歳の三代宮永東山さんの展覧会を楽しみしたいと思います。
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追記
年が明けた2024年1月9日の日経新聞夕刊に宮永愛子さんの記事が掲載されましたのでアップいたします。
記事のなかで、
「そらみみみそら」は器の生地と、ガラス質のうわぐすりの収縮率の差によってひびが生じる「貫入音」に注目したサウンドインスタレーション。「住んでいた古い家がときどき、きしんでいたことに着想を得た」(宮永)
と書かれているのを見て、さすがに三代宮永東山さんの娘さんだと大いに感心いたしました。
宮永愛子さんのご活躍をお祈りいたします。
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過分なサポートをいただきまして心より御礼もうしあげます。