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むかし書いた韓国コラム #276

 これまでサッカー・ワールドカップといえば、市内の大型ビルの外壁には応援垂れ幕が掲げられたものだが、今年はさっぱり見当たらない。2002年はホスト国ということもあり、各社が応援メッセージを描いた垂れ幕を掲出した。2006年も同様で、ビルだけでなく地下鉄の駅入口などもラッピングされた。しかし2010年はその数が大きく減ってしまった。ビルのラッピング広告が規制対象となったためで、掲示すると最大500万ウォンの過怠料が科される。それでも広告効果を考えれば過怠料など安いものなのか、違反を承知で垂れ幕を掲示した企業はいくつもあった。

 今年垂れ幕が見られないのは、過怠料の問題もあるだろうが、4月に起きた旅客船沈没事故で全国的に追悼ムードが広がっており、企業が派手なマーケティング活動を控えているという事情もありそうだ。こうした沈鬱ムードを吹き飛ばし、久々に明るい話題をもたらしてくれるか。韓国代表に期待がかかっている。

【解説】
 ソウル市内の大型ビルに応援垂れ幕は掲示されなかったが、安山市内のビルには追悼の垂れ幕があちこちに掲示されていた。応援垂れ幕はワールドカップの気分を盛り上げるが、追悼の黒い垂れ幕にあふれた安山の街は重苦しいムードだった。

(初出:The Daily Korea News 2014年6月26日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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