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効率化の罠にはまらず、現実を受け入れる。

40代後半から、残りの人生をどう生きようかと考えることが多くなりました。本屋に平積みされていた『限りある時間の使い方』という本が目にとまり、読んでみました。

世界的なベストセラーということで、書評や要約が、noteを含め、ネットでたくさん見つかります。なので、網羅的な紹介ではなく、気になった部分や、本から自分が考えたことを書いてみます。

人生は「4000週間」

原著のタイトルが、"Four Thousand Weeks"なので、とにかく、人生は4000週間というのがメッセージです。4000週間と聞くと短いと感じる方が多いでしょうか。正直、長いか短いかはピンときませんが、有限であるという当然の事実を再認識できます。誰もが人生は有限であり、そのことを認識しているはずですが、どこか永遠に続くと思ってしまっているようなところがあるかと思います。
今年の抱負とか、3年後に向けての計画を立てるという方も、1年後あるいは3年後は寿命が1年あるいは3年短くなっているということを意識しているでしょうか?もっと言えば、3年後あるいは1年後に生きているという保証はどこにもありません。
暗い話になりそうですが、現実を認識した上で、どう生きるかは前向きな話になると思います。

効率化しても全部はできない

日々仕事をしていると、大きなことから小さなことまで、多くの業務をこなさなければなりません。特に、次から次へと届くメールの相手をしていると、それだけでもかなりの時間を取られてしまいます。
時間管理術といったビジネス書はたくさんあります。会社でも、たくさんの業務をこなすため、「効率化」とう耳ざわりのよいことばが使われます。私自身も、言い訳のように、対策として「効率化」しますというようなことを言ってしまうことがあります。確かに、職場にはムダもあふれているので、効率化は、よいアプローチに違いありません。
しかし、いくら効率化しても、人生や仕事でやりたいこと、やるべきことを全部完璧にこなせるかと言えば、”No"でしょう。
目の前に降ってくる業務を効率化したら、何が起きるでしょうか?業務を全部片づけて、自分や家族との時間が増え、好きな趣味ができ、人生が充実するでしょうか?仮に当初の業務が片付いたとしても、会社員であれば、さらに多くの業務がやってくるでしょう。急ぎの仕事は忙しい人にお願いするというのは、常套手段です。効率化できた人には、それだけ多くの仕事がやってくるので、結局、やりたいことをする時間は確保できないでしょう。
プライベートも、効率化することで、あれもこれもと考えたくなり、すべては出来なくなります。

選ぶ→捨てる

全部できないとなれば、どうするか?シンプルですが、できること(やりたいこと)を選択し、それ以外を捨てることです。
子どもの頃は、無限(と言わないまでもたくさん)の可能性があります。努力すれば、スポーツ選手になることも、芸術家になることも、政治家になることも、学者になることも、芸能人になることも、できそうに感じます。少なくとも、可能性が0とは言えません。進学や就職を通じて、選択肢は狭まっていきます。
私は、小さい頃、なりたいものがいろいろあり、ころころ変わっていきました。学校の先生、農家、八百屋さん、力士、科学者、薬剤師、医師、……(あまり一貫性がありません)。高校に入って、力士の道はほぼなくなりました。大学で物理学を専攻し、薬剤師や医師の道もほぼなくなりました。就職して会社員となり、時が経つと、他の選択肢も減っていきました。
選ぶということは、道を狭めることでもあります。しかし、選ばずに全部しようとすると、結局どれもできません。
あの仕事もこの仕事もしっかりこなし、家庭での時間を大事にし、自己啓発の勉強をし、資格を取得し、趣味を充実させようと考えていると、どれもできないか、自分がつぶれてしまいます。趣味や家庭を優先するのであれば、仕事は選ぶ(捨てる)ことが必要になります。全部できないのは残念ですが、有限な時間である以上、必要なことです。

ちっぽけな自分を受け入れる

時間が有限であることを認識すると、人生をもっと大事なことに使わなければと焦ってしまいます。何か大きなことをなしとげなければと思います。一方で、以下のような考え方(真実?)もあります。

本当の話、あなたが人生で何をするかは、そんなに重要なことじゃない。
あなたが限られた時間をどう使おうと、宇宙はまったく、これっぽっちも気にしていないのだ。

『限りある時間の使い方』

過大な目標を勝手にかかげ、現実とのギャップに苦しみ、自分を責めるよりは、ありのままの自分を受け入れ、小さなことでもできることを選んでやっていくのが良いと気づきました。

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