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CHICHIBUMEISENCAP

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文:今井大地

僕の住んでいる秩父は自然に囲まれ、
織物や木材など、独自の文化が根付いています。
実業高校で森林関係の勉強をしており、
木材を使って、秩父の素晴らしい文化と伝統を後世に伝え、残すことはできないか?
そんな想いを抱くようになりました。
そこで思いついたのが「秩父銘仙」をCAPの頭の部分に使用し、
「秩父産の木材」をCAPのツバの部分に使用して作るCAP。
秩父銘仙ウッドCAPです。
W@nderFabricさんにアイディアと思いを伝え、オリジナルキャップを作っていただきました。
仕上げには秩父で製造された「柿渋」を使用しています。
秩父の文化と伝統が詰まったこのキャップで秩父の衰退する産業や失われつつある職人さんの想いを、たくさんの人に知ってもらうきっかけにしたいと考えています。


​知識0からのスタート


放課後の教室で僕と学科の先生は秩父の伝統と産業にもう一度輝きを取り戻すために、秩父銘仙ウッドCAPを作り、伝統と産業がもつ問題を知ってもらおうという計画を立てました。
しかし僕は、秩父銘仙や木材を入手するツテも、伝統に関する知識もおまけに予算も持っていなかったので0からのスタートでした。
地元の資料館や織物屋を回り、銘仙をわけてくれないかと声をかけましたが、秩父銘仙は1mで九千円する高価な物なので手に入れる事が困難でした。そこで、先生の知り合いであるW@nderFabricのデザイナーさんに相談したところこの企画に賛同して頂き、所有している秩父銘仙を使用させていただけることになりました。
木材は地元の木材加工会社に譲っていただきました。
秩父にはもう一つ需要が激減したものがあります。
柿渋と言われる天然塗料です。
木材などに塗ることで防腐効果と耐久性が期待できる天然高級塗料です。
地元農家の関口さんに柿渋を譲っていただきました。
1つ1つ足を運び思いを伝える事で、キャップ制作に必要な素材が全て揃いました。



加工困難

​僕は木材でツバの製作を始めました。学校にある機械では木材加工会社から譲っていただいた木材は加工が困難であることが発覚しました。木材をツバ用に3mmまで加工する事自体が難しいので中々解決法が見付かりませんでした。そこで僕は元大工である私の祖父に事情を説明しました。祖父は大工の頭領として秩父に多くの家を建てていましたが、今は引退して畑を耕し、たまに木材を加工しています。祖父は大掛かりな機械を使って薄さ3mmにする加工を施してくれました。そして僕はCAPの木製ツバとして使えるよう加工製作しました。

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助っ人


木製ツバの制作とともに、学校の行事やテストが重なっていくと、予定以内に終わらない事が増え、手が回らなくなっていきました。
一つ一つに時間に十分な時間を掛けられないので雑になっていく中、この計画に協力したいと言ってくれる人が現れました。
同級生の荒船は秩父の産業や伝統の問題を解決したいという思いに共感し、協力してくれることになりました。
荒船と仕事を分担し、予定通りに作業をおわらせることができました。
心強い助っ人ができキャップ作りは加速していきました。


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完成

木製ツバの作成も終盤に差し掛かり、防腐効果と耐久性をよくするために柿渋(青い柿を熟成発酵させた天然塗料)を塗り仕上げました。柿渋は独特の匂いが特徴で、匂いが抜けるまでの一ヶ月、家が臭くて仕方ありませんでした。ある意味一番苦労したところかもしれません。最後に色合いと木目の美しさを際立たせるためにステインを塗り、木製ツバが完成しました。最終的なCAP製品化はW@nderFabricさんにお願いしていますので、木製ツバを納品して僕の役割は終了しました。

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感想


何もなかったプロジェクト開始からキャップを完成させて、販売しようという所まで約二ヶ月。
一つ一つに躓きながら解決していき高校生活で一番忙しい二ヶ月になりました。
その中で多くのことを学ぶことができました。
まず楽しいことは大変な事なのだという事です。
この二ヶ月間それまでの高校生活からは想像もつかないような充実した日々を過ごしましたが、同時に大変な日々でもありました。あっちこっちに飛び回り、日がくれるまでベルトグラインダーと向き合い、先生には叱られ、夜遅くまで文章を考える日々に体はギリギリついてくるようの状態でした。
それまで頑張ってこなかった私には、大変でなりませんでした。
ですが心は充実していきました。生きているという実感が溢れ出て楽しくて仕方なかったです。
もう一つは自分ができないことだらけという事を学びました。
そしてそれを認められるようになったと思います。
一人でやる事がほとんどだった自分は人に仕事をお願いすることが
自分が出来ないことを認めているようで嫌いでした。
私は仕事のできる人ではないです、だからこそそれを認めるのが怖くて一人で全てできるように見せようとしていたのだと思います。
しかし協力したいと言ってくれる人や応援してくれる人がいる事自体に意味があることに気がつき、なにもない自分を認めることができました。
そして他人を尊敬して仕事を任せることができるようになりました。
このキャップに真剣に向き合ったからこそ、自分にも向き合えたと思います。
ここまで躓いてばかりでしたが、ここまできた事を誇りに想っています。

そしてこのキャップ制作は “誰か” の手に届き、
秩父の産業や伝統に関心を持っていただく所までを含めて成功になると思っています。なのでこれからはキャップのことを様々な場所に出していきたいと思っています。

​秩父農工科学高校
森林科学科 3年 今井大地


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今回この企画に賛同したのは

高校生の今井大地君が「これをやりたい」という思いが美しく見えたからです。
退屈だった学校生活が希望あふれる人生の日々に変わっていく、

そんな瞬間を見させてもらいました。

W@nderFabric
今井俊之

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日本伝統着物を生地として使用するCAPブランド。 タンスに眠る着物を掘り起こし、 ファッションとしてアップサイクルしています。 埼玉県にある自社のCAP工房にて、 裁断から縫製まで全ての工程を一人で製作しています。 日本の産地織物とのコラボレーションも多数製品化。
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