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探究学舎のリアルイベントに参加したレポ|八景島シーパラダイス 2022

前回の記事で、息子(7)が1年生の間、学校に行くことに関してつらさを抱えていたことを書きました。

そのなかでも触れましたが、息子はとにかく好奇心旺盛で、ある程度まではどんなことでも深く探求する性格です。

特にロボット作りや自然科学が好きなので、小学校に入る前は理科や社会を勉強することを楽しみにしていました。

しかし、実際は息子が求めるレベルの理科・社会の授業が受けられるのはまだまだ先…息子は「授業が楽しくない」「守らなければならないルールが多すぎる」「コロナ禍でやっちゃだめなことが多い」といって(他にもさまざまな理由が重なって)学校へ行くのを拒否するように。1年生の間はそれがずっと続きました。

このnoteではアフリカ一人旅、登山用具店勤務などを経て、現在はECサイト経営をしつつ恵那市笠置町にUターンし里山暮らしをしているわたし(佐藤あやみ)が、子育てのことや自然のこと、学んだこと、経験したことをアウトプットしています。テーマは「ともに生きる」。どうやったらともに生きるコミュニティを形成できるのか?ということを考えながら活動しています。

息子はかなり幼いころから好奇心旺盛で観察力があり、本も早い段階から読んでいる一方、頑固で神経質で繊細という側面がわたしには見られたので、どんなふうに息子のなかの「しあわせの種」を芽生えさせてあげられるんだろう、ということにこの数年間苦心してきました。

そんなこんなで、1年生の授業では息子の好奇心がフラストレーションをためてしまうということから、2021年の6月に探究学舎さんのオンライン通塾をはじめました。

はじめのうちは7歳の子が1時間以上、高度な話を聞いていられるかな~と不安に思うこともありましたが、講師陣があの手この手で飽きない工夫をしてくれており、毎度毎度「すげ~」と手放しに感動する授業です。
息子も最近では余裕で1時間話を聞けるようになってきました。

さて、小学校いやいや期が蔓延防止対策で佳境に近づいてきた2月、探究学舎さんから「リアル探究」の案内が来ました。

八景島シーパラダイスで、海の生き物探究。園全体を使った謎解きやイルカショーとのコラボ、などなど魅力的なメニューの数々。
息子にとっては、「いつもオンラインで見ている先生に会える!」ということが芸能人に会うような気持ちらしく、また海の生き物も大好きとあって、この案内に熱狂していました。

しかしチケット代×2人分もまあまあするし、当方岐阜県の山の中に住んでいる者なので、横浜までの遠征費もばかにならない…(旦那さんの実家は横須賀で八景島の近くだけど、こないだ帰ったばかりだしなあ、みたいな)

息子にその話をすると、「お年玉使ってもいいから行きたい!」という興奮ぶり。

旦那さんとわたしは、そのまっすぐな思いに心打たれました。
よーし、じゃあ行ってみるか。
9時からスタートだから、前日入りして、旦那さんの実家に泊まらせてもらうことにしました。旦那さんの実家から八景島へはほんとうに目と鼻の先。ありがたい環境です。(朝ごはん、晩ごはん、おふとんの用意まで…本当にありがとうございました。)

「探究仲間をつくりたいから、目立ちたい」ということだったので、アブラツノザメTシャツをわたしが夜なべしてつくりました。


ちゃんと次男(2歳)には「スープラTシャツ」をプレゼントしました。(次男はスポーツカーマニア)

イルカショーのスタジアムで特別授業!

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さて、当日かなり緊張の面持ちで、しかしわくわくしながら参加した息子。

最初の舞台はイルカショーのスタジアム!
八景島シーパラダイスは何回も来たことあるけれど、このスタジアムで授業するってすごい💦
イルカショーの舞台上に大きな画面があるのですが、この画面、以前来た時は「Mr.マリック」が映ってたところ(笑)
ここに探究の見慣れたスライドが映し出されているのが、感動しました。

今回のそもそもの企画をした先生「タロちゃん」は、もともと海の生物や、陸の生き物がとても好きだということで、シーパラダイスでの開催に至ったそうです。

小学校の先生をされていた経験が長いため、大きなスタジアムでの授業もすごく言葉が聞き取りやすく、タレントさんばりにはきはき・堂々としていらしてこれまた感動。「探究の先生ってなんでもできるんかい!」と思いました…。

冒頭のあいさつのときに、最前列に座っていた息子が、なんといの一番に「どこから来たの?」とマイク片手にタロちゃんに話しかけられ。

「岐阜!」というと、会場がややどよめき。
さすがにこんなに遠方からの人はいないか…。

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さらにはタロちゃんに「アブラツノザメのTシャツじゃん!」と突っ込んでもらえて…夜なべしてTシャツ作って良かった~!滝涙。

さて授業はというと、シーパラダイスのスタッフさんでしか知り得ないようなおもしろいネタたちをおなじみのKAHOOT(大勢でクイズをやるウェブサービス)にのせて、クイズ大会をしました。
これはけっこう難易度が高かったですね。大人のわたしも太刀打ちできなかったです。

わかったことは、とにかくイカの飼育は難しいということ…。確かに水族館にイカっていませんね。

クイズ大会のポイント上位5名にはなんとイルカさんたちにステージ上で指示を出すというボーナスが!

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息子は、撃沈してしくしく泣いていました。
知識は蓄えていても、やはり心はまだ1年生。
しょうがない、しょうがない。ライバルが300名近くいたんだから…。

うみファームで釣り&さばき体験&BBQ 感じた「仲間の力」

特別授業が終わったら、次は八景島シーパラダイスの目玉のひとつ、「うみファーム」で釣り体験をしました。

これはオプショナルツアーで別料金。銀鮭を釣り、釣った後はみんなで捌いて、それを焼くバーベキューつき!

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息子は釣りはほとんどはじめてだったのですが、さすが釣り堀。釣り糸をたらした瞬間に釣れる釣れる。息子は釣りがしたい!とずっと言っていたので、とっても楽しそうにしていました。
しかもタロちゃんたち講師陣も見守ってくれており、手助けをしてもらいました。
ここでも交流ができて、息子はご満悦でした。

わたしもあまり釣り針をはずしたり、銀鮭をつかむのも嫌がらずにやりました。

そしてここで、アブラツノザメTシャツが威力を発揮。
同じグループにいた男の子のお母さんに話しかけてもらえ、すぐに息子はその子と仲良くなりました。

こどもって、波長がピピンと合うと素直にすぐ仲良くなるんだなあ、学校生活だって、波長の合う子がいれば仲良くなれるし、学校に合う子がいなくってもこうして違うコミュニティで仲良くなれそうな子はたくさんいそうだし、そんなに心配することなかったなあ…とわたしはそれを見てしみじみ。

やっぱりその子も好奇心が旺盛だということで、うちの息子と同じくいろ~んなことに広く深く手を出しているそうです。
動作とかも息子と通じるところがあり、いろいろなものの機構とか裏側をよく観察している。なるほど、やはり似たような子が探究学舎にはいるんだな、という発見がありました。

探究学舎で「海の生き物編」という人気授業があり、そのなかで「魚をさばいてみよう」というクエスト(チャレンジする義務のない宿題のようなもの)がありました。
実は、以前に息子はそれを見て、一度アジの開きを一緒に作ったのですが、そのときは包丁が怖い、というのと非常にきれい好きなため手に血が付くのが嫌、ということで頭の部分やはらわたの部分など「怖そうな箇所」は全部わたしがやりました。

今回はスタッフさんに鱗取りやら、はらわた出しやら、頭を落とす、やらのレクチャーをうけました。

さっき出会ったお友達も一緒にレクチャーを受けます。

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他の子たちも熱心に聞いています。

「ちーくんが、全部やるから」

息子は胸を張って、そういいました。

「全部やるの?!
はらわたとか、けっこう危険な箇所があるから。無理そうなら変わるから言ってね」

とわたしは少々心配して言いましたが

「いんや、ぼくが全部やるんだ」

と言い切ります。

銀鮭は全部で4匹。鱗とり、はらわた出し、一度水洗いし、頭を落とし…という工程を4回繰り返す。小さめの鮭とはいえ、1年生にとってはかなりのチャレンジです。しかし息子は自分でやるというのでわたしは隣でサポートします。

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最初の1匹は少々まごつきましたが、2匹、3匹、4匹、と息子はだんだんうまくなり、難しそうな腹を切り、はらわたを出す工程もスムーズにできるように。見事すべての鮭をひとりで捌くことができました。

とっても神経質で不安が多くきれい好きな息子なので、家でやったら「はらわたは、気持ち悪いでやめとく~」と言うかもしれない。

でも、息子は4匹すべてを捌き切りました。

やはり仲良くなった友達も一緒の場で捌いているから、ということが大きいと思います。

こどもをみていると、家ではできなかったのに、イベントなどではすっとできるようになることというのがけっこうあります。

それは間違いなく「場の力・友達の力」でしょう。

母の手助け無しに4匹の鮭を捌いた息子は自信満々な良い顔をしていました。

これは、ここに来なければ味わうことができなかった表情です。

自分で釣って、捌いた銀鮭の味は、もちろん格別!4匹のうち、3匹をたいらげてしまったちーくんでした。

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ピカとバックヤードツアー。しみじみ語らうことの豊かさ

BBQのあとは、次なるオプショナルツアー、バックヤードツアー。

バックヤードツアーなどのオプショナルツアーは、定員枠が少なくかなりの激戦だったのですが、オタクの友人から「申込時は開始時間前からリロード・リロードだよ!」と知らされていたので、母ちゃんはリロードしまくり、執念で申し込みました。

バックヤードツアーには人気講師の「ピカ」が案内してくれると書いてあり、息子はピカに会える~!と楽しみにしていました。

いつも画面で見るピカはすんげ~元気なテンション爆上げな感じですが、実際のピカは落ち着いた青年で(当たり前だが)息子の興味のことにも触れていろいろ傾聴してくださり、優しい方だな~と思いました。

バックヤードツアーは、飼育員の森田さんが案内してくれました。

普段見ることのない餌の調理室や、冷凍庫。
水槽の海水をろ過する装置。

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えさの説明を受けています。

残念ながら閉館になってしまった油壷マリンパークから引き取ったシロワニの水槽も拝見。

おもしろかったのは、シロワニの飼育をするときに水槽に酸素ボンベをつけてダイビングそうですが、そのときに飼育員に血が出ていたりするとシロワニが興奮するので、必ず水槽に入る前に怪我などないかチェックするということ。

森田さんに「シロワニ水槽入るとき怖くないんですか?」と聞くと
「最初は怖かったけど、慣れました」とのこと。

最後の質問コーナーのとき、「森田さんはもともとサメが好きでサメ飼育員に配属されたのか、それとも配置されてサメ係になったのかどっちですか?」と聞くと、

「僕はサメの研究を大学でしていて、アパートでサメを飼うくらい好きでした。シーパラに就職したときに希望はサメ係で出してて、希望が通ったかたちです。でも、そうじゃない人もいますよ。」

とのこと。

バックヤードには、飼育員さんが死んでしまった魚などを(趣味で)骨格標本にして積んであるところもあり、森田さんが「みんな休み時間とかに骨格標本つくって積んでおいて、その人が異動になっちゃったりすると、これが何の骨がわからなくなるんですよね~(笑)。専門外だと何の骨かわからなくて。謎の骨がいっぱいあります」とおっしゃっていて、飼育員さんたちの素敵な水族館ライフが垣間見えておもしろかったです。

普段キラキラした側しか見えないシーパラダイス。
でも、バックヤードはバックヤードで奥深い世界と人間模様があり、力仕事ばかりで大変そうではありますが、飼育員のみなさん生き物が好きでキラキラしているように見えました。

ピカともたくさん喋れて満足の息子。

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歩いた歩いた謎解きアイランド

オプショナルツアーなしでも十分楽しめるのが、謎解きアイランドという企画でした。

LINEと園内の地図を使って、次々に探究学舎から問題が出されます。

問題を解いていくには、地図読みの力、水槽の中の観察や、掲示されている情報を読み解く力が必要。

あるいは、ひらめきも。

小学校1年生の息子には少々難しい問題もありましたが、難しいくらいがちょうどよかったです。

途中で、わたしがわからなくて挫折した問題を、息子が頑張って解いた場面もありました。

今回は私たちはオプショナルツアーが2つあって、時間があまりなかったので、わたしもヒントをけっこう出してしまいました(>_<)
今度やるときは、息子に全面的にやってもらおうと思います。

それにしても、八景島って大きい。
問題は八景島シーパラダイス全体を使っていたので、ふだん歩きが足りない私には非常にしんどかった…。でもよい運動になりました。

最後はイルカ館のなかでゴール!

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楽しそうなスタッフさんたち

今回、探究学舎のリアルイベントに初参加して感じたのは、講師さんはじめスタッフさんたちの楽しそうなこと!

ピカも冒頭の特別授業のときに、「今日は準備のためにあんまり寝てない」と言っていたけど、それでもとても楽しそう!
わたしも小さいながらイベントを何度か開催したことがあるのでわかりますが、こういうイベントを管理・運営するのってめちゃくちゃ大変です。
それでもみんな楽しそうなのです。

みんな顔から、声から、エネルギーがみなぎっている。なんだか高校生の頃の文化祭みたい、と感じました。

スタッフさんたちが若々しいせいもあるのでしょうが、「青春」という言葉が頭をよぎります。
青春って、なにかに一生懸命になってわくわくどきどきすることで、それおって何歳になってもできるよね、という言語外のメッセージをこのイベントから感じました。

リアルでつながることのパワー

普段、オンラインでつながっている探究学舎ですが、やはり講師さんたちや一緒に学んでいる子たちにリアルで顔と顔を突き合わせて出会うとオンラインとは全く違った体験になります。

学びも五感を使うとより深く学べますが、人と人もやはり五感を使うとより深くその人を知ることができるのだなと。

平面だったものが、立体で手触りのあるものになるので、インパクトが何倍にもなります。

コロナ禍で、さらに蔓延防止措置の疲れが出ていたところだったのでリアルに参加出来てとてもとても刺激になりました。

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タロちゃんともパチリ。息子の名刺もらってくださりありがとうございました!

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終わりに。良い顔してる。

この日ちーくんは、布団に入って0.5秒で入眠しました。のび太よりも速い、世界最速だったと思います。そうとう体力を使ったのでしょう。満足気な顔で寝ていました。

里山発のリベラルアーツ、だ。

ちょっとだけ私の話を。

私自身、昔から詩やら小説やら社会学やら文化人類学やら、文系のものばかり追い求めていて理系は置いてけぼりになっていました。

恵那にUターンしてからは、環境保全や少子化対策が急務である里山に暮らし、農作業も少々やるなかで、理系の知識が欠けていることで「大事なことが見えない」という感覚に襲われました。

しかし息子が探究学舎さんの授業にすっぽりハマって、私自身も授業を見たりクエスト(授業後にチャレンジするお題)を一緒にやって行く中で、「わたしももっと、自然科学について学びたい」という気持ちがだんだんと強くなってきました。
まだまだではありますが、少しずつ本を読んだりして勉強しています。

息子とともに楽しい授業を受けるなかで、ふと里山に目をやると、自然の解像度が細かくなっているのに気が付きました。

ああ、いままでわたしは社会学とか文学とか、そういったものしか見えていなかったけれど、文系と理系、さらには芸術って実は分断されていなくて、地続きだったんだな…とパッと目が開いたのです。

それはまったく新しい感覚でした。

これは、里山で暮らしているからこそ。
毎日同じ山を眺め、新緑を見、落葉を見、川の流れを観察し、石を割り、木を伐って、薪で風呂を焚いているからこそ、眼前に迫ってきた体験だと思います。蓄積した経験に、自然科学の知識がやっと追いついた、というような。

息子は、6-7歳からその感覚で生きているので、それはもう、うらやましいなというしかないほどに素敵な感覚だろうと思います。

前々から言っていますが、ここ、里山でこどもも大人も学べる場を作っていきたいなと考えています。

それも地続きであらゆる学問が学べるような、さらには人と人が対話することの喜びを感じられるような場が作れたら。

まだ自分自身、時間と資金のリソースがなく、夢を見ているような段階ですが、まずは身の回りの人たちが一緒に学べるような場づくりをして行きたいなと思っています。

ちょびっと宣伝:田植えイベントやるでね

最後に宣伝になりますが(笑)
わたしが役員をやっている笠置町移住定住委員会が主催で、笠置町で田植え体験を行います。
懇親会と空き家見学もありますが、田植えだけの昼間コースもあり。

移住希望者でなくてもできます。

わたしはちーくんたちを連れて、田植えと、田んぼの生き物ガサガサ&植物生態系観察をしちゃおうかな~と企んでおります。笠置町、めちゃくちゃ鳥もいっぱいいます。同じ恵那市の人も笠置に来ると鳥の声の多様さに驚くくらい。そんじょそこらの田舎ではいないほど、たっくさんの鳥の鳴き声が聞こえます。

さらには無農薬の田んぼなので、きっとたくさんのレアな生き物がいると思います。
うちの田んぼも、無農薬に切り替えてから生態系がめちゃくちゃ変わったんですよね。虫が増えて、カモが田んぼに入るようになりました。そんな経験から、無農薬田んぼの生態系を調べてみたいという個人的な欲望もあり。

お子さんの参加者増えたら、植物ビンゴもやりたいな~。

参加してみたいよ~!という方は、お気軽にわたしのFacebookまでメッセージいただけたら。









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