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【読書感想】反省させると犯罪者になります

こんばんは、3連休の中日、いかがお過ごしでしょうか。

noteを初めて2回目の更新です。本日は、先ほど読み終わった岡本茂樹さんの【反省させると犯罪者になります】という書籍について、まとめと感想を書いてみたいと思います。

僕は教師を初めて4年目なのですが、上越教育大学の西川純先生が提唱する『学び合い』の考え方にしっくりきていて、ちょうど今年度から本格的に実践を始めています。

ざっくり言うと、『学び合い』の考え方は子どもが大人になった後の人生、つまり子どもの一生涯の幸せを願った教育観であり、これからの社会で必要になるであろう社会性を身につける教育、というのが僕の解釈です(本当にざっくり過ぎてよくわからないですね笑)。

周りの先生方と根本的に違うのは(外から見てて思うだけかもしれないですが)、”卒業後の人生”に強くフォーカスしている点だと思います。その視点で学校教育を見ると、なにやら違和感がたくさん・・・(具体的な話はまた別の記事で書いてみたいです)。

さっそく読書感想から大きく話が逸れたのですが、この岡本茂樹さんの【反省させると犯罪者になります】、『学び合い』との共通点を感じながら読むことができました。

この書籍は、刑務所で犯罪者更生の支援に携わる筆者が、刑務所での多くの受刑者との支援体験を基に、更生させるためには「反省させてはいけない」ということに気付き、反省を求めない支援を進めていくことで、受刑者が本当の反省に行きつく、という一般的な常識(少なくとも僕にとっては)を覆すような主張の一冊です。

何が問題かというと、人間誰しも何かをやらかしてしまったときの心理としては「後悔」が先、「反省」は後ということです。恥ずかしながら、僕自身学校に遅刻して行ったことがあります。その時、僕の心理は「マズイ!何でこんなことになったんだ!早く着かないと!」であり、車を飛ばして駐車場に停車したのですが、あまりのスピードだったようで、先輩教員に呼び出され、叱られてしまいました。「社会人なのにやってはいけないことをしてしまったなあ」や「迷惑を掛けて申し訳ないなあ」という気持ちは、焦る気持ちが大きい中では全然抱くことができませんでした。

僕に限らず、誰もがこのような心理の中でまず「後悔」、そしてそれを何とか取り繕うために(問題を薄めるために)行動してしまうと。さらにこの時、僕の職員室に着いての第一声は「すみません!」だったのですが、今思えばこれも本心からの反省ではなく、取り繕うための反省でした。

筆者が問題意識を持っているのはこの点で、犯罪を犯した加害者に対して、まず反省を求めても、それは表面的に取り繕った反省でしかなく、真の反省ではないということです。

このことは犯罪者に限らず、親と子どもや、教師と生徒の関係でもよくやってしまうことです。本の中でも、学校の反省文などが引き合いに出されています。例えば反省文というのは、問題行動に対していかに申し訳ないことをしていたか、被害者に対してどれだけ謝意があるか、今後はどのような態度で生活するか、などの反省の弁を表明させる場であり、いわゆる「上手い」反省文が書けていれば「よし、反省しているな!今後はしっかりと頑張れよ!」と先生からのOKが出されます。しかしこれでは、「どれだけ反省しているか」ではなく、「どれだけ上手に反省文が書けたか」で評価され、それを生徒もわかっているので、反省していなくても本心を抑圧して文章を書くことができます。よく問題行動を起こす子というのは、反省させられることに慣れているので、常に本心を抑圧しながら、表面的な反省に終始していきます。この状態で社会に出ると、本心を抑圧することで生き抜いてきた子は人間関係を構築しにくく、生き辛さを抱えることになります。それがどこかで爆発して、犯罪に手を染めることになってしまいます。

ではどうすべきか?加害者の更生支援で大切なことは、被害者の立場に立たせて反省を促すのではなく、まず加害者自身の立場で内省することです。加害者にとって、なぜ犯罪を犯す必要があったのかを省みることから真の反省につなげていくことが重要だ、ということです。

なるほどな~と思いました。目から鱗です。しかし説得力はあるのですが、岡本茂樹さんが提案するような更生支援はなかなか進まないようです。

ここが現在の学校と刑務所との共通する点、岡本茂樹さんと西川純先生の主張の共通する点なのですが、まず刑務所とは罰を与えるところであるので、そもそも社会復帰後のことを考えた十分な支援が受けられている受刑者は少ないそうです。刑務所内でも本心や感情を抑圧して生活することが求められるため、社会復帰後に生き辛さを感じ、再犯につながってしまうことがあるとのことです。学校も同じです。常に同質性を求められ、個性を大事に、多様性というのは建前で、多くの教師は管理をしたがります。社会に出た後に主体性、社会性、創造性が求められているとしても、自分の手から離れるのが怖いのです。

それに対し、岡本茂樹さん、西川純先生は、社会に出た後のことを考えておられる。本質的な更生や教育について語られているような気がします。どちらも最も大切なことは「人のつながり」であるとはっきり述べられています。

今、僕は若手教員の立場で、教育改革過渡期の渦中にいます。学校は変化を恐れ、同調的で、どんどん社会から切り離されている気がします。僕は喰らい付いていきます。

教師や親にはぜひ読んでみてほしい、おすすめの一冊でした!

2000字以上になってしまったが、こんな拙い長文は誰かに読んでもらえるのだろうか・・・。アウトプットのためと言いつつ、どうせやるなら読まれたい、煩悩たっぷりの僕なのですが、様子見しながらまた書いてみます☆

読んでくれた方ありがとうございます!


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