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#10 小学校受験の縁故・フリー・属性を紐解く(その2)
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2022/9/4 リライト
2023/9/23 追記
2024/7/19 軽微なリライト
小学校受験は「親の受験」と言われます。
中学受験も親の受験と言われますが、小学校受験のそれとは大きく異なります。中学受験が親のサポートが必要との主旨であるのに対して、小学校受験は親自身が合否の直接的な対象となっているのです。
親だけが良くても、お子様だけが良くても、ご縁を頂けないのが小学校受験です。本noteでは、その二つの要素による考査を徒競走に例えて表現しました。
親が出身、兄姉が在校生でまさかの不合格。模試や教室で常にトップクラスのお子様がまさかの不合格。「落ちるのに理由はない」と言われる小学校受験ではありますが、落ちるべくして落ちた場合があるのも否めません。
また、「子供は秋に伸びる」とはお受験産業の常套句ですが、個人的には子供は常に伸びていると思ってます。秋に伸びたと感じる場合、それまでの長い積み重ねが、ついに水面に浮上して来たのです。成長曲線のカーブがぴったり10月に来るお子様ばかりのはずはありませんから。
その言葉を鵜呑みにして、直前期に過度に期待したり、がっかりすることは禁物です。直前こそ、焦らずコツコツを続けるのみです。お子様を追い込んで、親子共々メンタルを崩すことだけは避けてください。
一方で、急減に伸ばせる力があります。それがご両親お二人の親力です。
8月からの3ヶ月、真に伸ばすべきはお子様でなくお二人の親力です。お子様の力を20%伸ばすことより、親の力を40%伸ばす方が簡単であり可能です。
本noteをお読み頂ければ、親の準備不足がどれだけお子様を追い詰めるかご理解頂けると思います。
X(Twitter)で配偶者の愚痴を呟くのは構いませんが、リアルではそのような諦めや投げやりは決してなさらないで下さい。
前置きが長くなりました。それではお受験徒競走の開幕です。
※始めての方はこちらからどうぞ
■親の力で決まるスタート位置
まずは簡単に復習です。
![](https://assets.st-note.com/img/1648609471717-vqGk9avLRg.jpg?width=1200)
「#2 お受験の選考ステップを紐解く」でお伝えした、お受験の選考ピラミッドです。
上図の流れが学校の選考のイメージです。重要度の順番と言っても良いでしょう。「身元確認」と「親の資質」は、文字通り親(家族)が対象です。
また、身元確認で圧倒的な優位を持つ属性の「縁故」とは、
①きょうだいが在校生
②親が出身者
③紹介者から身上書を渡せるルートがある
の三つのどれかと狼侍は定義してます。教室や先生によって捉え方は様々だと思いますが、ご承知おき下さい。
■スタート位置MAP
このピラミッドでの親の選考結果で何が起きるのか。縁故の属性や願書・面接の高評価が、どう有利に働くのか。それをイメージしたのが、こちらのスタート位置MAPになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1648633084139-0FIXm6ctuW.jpg?width=1200)
学力勝負の中学受験が横一線スタートの徒競走とするならば、家族の相性勝負である小学校受験の考査は、F1レースと同じ、予選タイム順にスタート位置の決まる形式の徒競走です。
つまり、縁故を含む属性の強さ、願書・面接で判断された親の資質から導かれた予選順位で、お子様のスタート位置が決まることになります。
前方からのスタートは、当然合格圏内でゴールする確率は高いですし、早いスピード(考査の出来)も必要ありません。後方からのスタートは見ての通りです。前を追い抜くには相当なスピードが必要になります。
親の力不足・対策不足は、お子様に最後尾からのスタートを強いることになるのです。
では各スタート位置を見てみましょう。
・先頭スタート
最も先頭からスタートする属性の一つは、きょうだいが在校生です。
この属性は、近年にご家庭が考査を通過している実績があります。したがって、身元確認はもちろん、今回の受験でも親の資質において高い基準でクリアする可能性が非常に高くなります。
また、ご紹介者がいる場合や、親が出身(事前に接触ができる)の属性も、この位置となるでしょう。名前を書けば誰もが知っているようなご家系なども、こちらに位置します。
よほどのミスがなければ合格圏内でゴールができますが、転倒などのハプニングがあれば追い抜かれます。「縁故は有利ではあるけど絶対ではない」とはこういうことです。
だから縁故組も、失態を犯さない点に重心を置いて、お子様を必死に仕上げるのです。
「きょうだいがいるのに…」と、耳にする話もこちらで説明ができます。
例えて言うなら、「ゴール前が障害物の網くぐりになっていて、その子はどうしても網をくぐれなかった」など、その学校の求める資質や能力にお子様が届かなかったと言えます(あくまでその学校と)。
このような属性があるも関わらず、面接での態度など、「親の油断」でご縁を頂けないことが稀にあります。一人目が無事に入学したものの、その後の学校生活において、ご家庭の対応に学校側が違和感を抱いた場合も同様です。
下の子の仕上げに万全を期しつつ、入学した上の子でも粗相はできない。縁故組の受験生活も楽ではありません。
・中盤スタート
中盤スタート位置の最有力候補は、親が出身(事前の接触なし)の属性です。
出身による身元の確かさと、その学園の高い理解度によって、願書・面接においてアドバンテージがあるのは明白です。
きょうだい在校生ほど前に行けないのは、出身者と言えども、まだ親としての資質、特に配偶者の資質は未知数だからです。カトリック女子校出身のお母様などはお父様の仕上げに本当に気を使います。
親が出身でもご縁のなかった話はとても多いです。その理由の大半は、お子様の走力もあるでしょうが、上記の通り、親の資質にも目を向ける必要があります。特に出身でない側の親です。
但し、その学校との相性が合わなかっただけの話です。私立小学校出身の属性は、まだまだ大きなカードです。
一方で、出身者でなくとも、学園への理解度や親の資質の面で、高い評価を得る親御さんは多数いらっしゃいます。
その場合もこの位置からのスタートとなり、後続のお子様と同じスピードで走ることができれば、合格枠内でゴールすることができるでしょう。
この中盤のスタート位置を目指すことこそが、お子様だけでなく、親力を伸ばすことによるアドバンテージです。
・最後尾スタート
最後に、最後尾のスタート位置です。
親の準備不足、願書・面接で思いの丈を伝えきれなかった場合は、ここからのスタートです。前を追い抜いてゴールするには、お子様の相当なスピードが必要になります。
この一群の中でも、願書・面接を通じた判断によって、多少の前後があるのは言うまでもありません。
お子様の仕上がりばかりに目が行ってしまったご家庭が陥るのが、まさにこれです。模試や教室でいつもトップクラスのお子様でも、ここからのレースは相当に過酷です。
お子様の仕上がりと願書をお母様がいくら頑張っても、お父様の仕上がりがおざなりになれば、このようなレース展開が待ち受けています。
秋に何をするべきか、ご理解頂けるかと思います。
ちなみに、このスタート位置のアドバンテージの感覚を無いことにしているのがお受験産業であることも、頭に入れておいて下さい。
お子様の鍛錬ばかりに注力することは、結果として最後尾からのスタートとなる過酷なレースをお子様に強いることになるのです。
・追記
【2023/09/23追記】
Twitter(X)で教室の推薦が話題のようですが、残念ながら上記の縁故のような力はありません。
推薦にも強弱ありますが、基本的には身元確認と志望度の後押し程度、個人の先生の強い推薦で、身元確認と第一志望が保証され、子の考査が少し後押しされる程度でしょう。
もちろん、高倍率の学校は身元確認の多少の上乗せくらいです。
そもそも親の資質は「推薦して恥ずかしくない」程度ですから、学校としての見極めは全てこれからです。レースで例えるなら、最後尾の前列か中盤の後列にどうにか潜り込めるくらいでしょう。
直前期に話題になるのが残念ではありますが、兄姉を通わせているご家庭や、ご出身の方を見てきた皆さまなら、今さら驚く話ではありません。
少し属性が加わったのね、くらいに思っておきましょう。
・まとめ
ご覧の通り、確かに「縁故」は圧倒的に有利ではありますが、絶対ではありません。
縁故とは、スタート位置を前にする一つの属性に過ぎません。その属性がなくても、少しでも前からスタートするためにできることはあります。
縁故だから大丈夫、縁故がないからダメはありません。持てる属性を振り絞り、親力を仕上げて、どこのスタート位置を確保できるかが重要なのです。
縁故がなければ絶対に受からないのも誤解なのです。
また、非常に優秀なご家庭が、受験校を総ナメするようなパターンがあります。圧倒的なスピードを発揮できるお子様の地力もさることながら、どの学園に対しても高いスタート位置を確保できる親御さんの高い属性や人間性の賜物であると言えるでしょう。
ところで、✖️の付いているスパイについてです。
記載の通り、ご家庭の身元に不安がある場合です。これは最初のステップをクリアできてませんので、いわゆる門前払いとなってしまいます。詳しくは「#1 小学校受験の縁故・フリー・属性を紐解く」をご覧下さい。
何も特別な属性が必要なのではありません。ご両親の社会的属性をきちんとお伝えすれば良いのです。自営業などの場合は、お仕事について詳細に説明をしましょう。属性については「#15 属性の役割とは?」や「#21 面接を紐解く」などに詳しく記載しております。
・補足
このスタート位置のアドバンテージ幅が少ない学校があります。いわゆるペーパー難関校と言われる学校群です。
お子様の走る距離が長いイメージですから、スピード(考査の出来)が合否を大きく左右します。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75499746/picture_pc_ddd4e51f0aa52a1c1773b77a66182e9c.png?width=1200)
また、新設校が実力勝負と言われるのも、こちらで説明が付きます。
まず、親に出身者はほとんどいません。きょうだい在校もまだ少ないので、スタート位置のアドバンテージを持つ縁故家庭の絶対数が少ないのです。
また、附属中学カテゴリーからの厳しいプレッシャーもありますから、お子様の実力を測る比重も高いと言えるでしょう。いずれもペーパー難関校と言われるのはそのためです。
ただ、この実力勝負に勘違いしてはいけないのは、「親の資質も含めた実力勝負」です。お子様の実力だけではありません。
少ないながらの縁故カードも含めて、一歩先のスタート位置のお子様が一定数いることも理解しておくべきです。
■縁故属性のない家庭のすべきこと
スタート位置MAPは、縁故属性がないご家庭のスタート範囲も分かりやすいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648689365844-8DglRRcJZR.jpg?width=1200)
・縁故属性なしの振れ幅
ご覧の通り、縁故がなくてもこれだけの振れ幅があります。
親のやるべきことは二つです。
一つは、属性を見極め、親の資質を高めて、できるだけ前方のスタート位置を取る努力をすること。
もう一つは、志望校のレース(考査)に適した教室を選び、お子様の得意なレースを判断することです。
前述の網くぐりがどうしても苦手なお子様に、そのレースに無理に参加させても、成功体験を得ることは難しくなります。
それらが整った時、前方スタート位置を取れたり、後方スタートからでも追い抜くことができるのです。
・「フリーで合格」は参考にならない
縁故属性なしのご家庭を「フリー」と定義していますが、フリーと言っても、各ご家庭がどの位置スタートしたのかは分かりません。
どのご家庭を切り取っても、同じ属性・親の資質であることは皆無です。「フリー」でも、皆が同じスタート位置ではないのです。
先輩の戦いで参考にするならば、「その学校にどの属性を活用したのか。願書・面接で何を伝えたのか。」「どのレースを選択し、どんな教室を選んだのか。」になります。
お子様に必要なスピード(考査の出来)は、どんなレース(志望校)を戦うのかでも異なりますし、スタート位置によっても求められるスピードが違います。
他所様のペーパー学習の枚数は、本当に意味がないのです。
■おまけ
最後に、日本一過酷な小学校受験校のレース模様を貼って終わりにしましょう。この学校の話は燃えやすいので要注意です。
![](https://assets.st-note.com/img/1648732124367-Mwg8aP370T.jpg?width=1200)
■あとがき
「直前期 モヤモヤしたら 狼侍」
無料公開も含めて、お受験基本編ではいろいろ言語化されてますので、良かったらそれだけでもご覧下さい。
皆さまの心の沈静化のお役に立てれば幸いです。
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