#1 小学校受験の縁故・フリー・属性を紐解く[無料公開]
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狼侍のnoteをご覧頂きありがとうございます。
本noteが第一弾の「お受験を紐解く」シリーズは、これまでお受験に縁のなかった方々に向けて、お受験の構造や対策、耳にする噂や謎を解き明かすコラムを書き綴っているものです。
とかく情報が少なく閉鎖的なこの世界において、皆様の道標の一つになれば幸いです。
※おかげさまで記事も50本を超えました。記事探しにはこちらをご活用下さい(2023年4月現在)
本noteでは、お受験における最大の話題、「縁故(コネ)」「フリー」「属性」について、小学校受験の歴史から紐解いて参ります。
■自己紹介
狼侍と申します。
私立小学校に通う二児の父です。持てる属性を絞り出して、一人は附属幼稚園、一人は小学校から、それぞれ別の一貫校にご縁を頂きました。
私立の附属幼稚園・小学校受験の初心者だった自分が、多くの方に教えを頂いた恩返しとして、Twitter(@wolf_samurai_x)やnote にて小学校受験や私立小学校生活についてを発信しております。
受験産業が多くを語らない、いわゆる「闇(不透明)」の部分に斬り込み、言語化に努めているのが特徴です。
※週刊ダイヤモンドさんにコメントが掲載されました。
■はじめに
本シリーズでは、私立のお受験幼稚園・附属幼稚園・小学校受験のことを「お受験」と称してます。お受験幼稚園とは、在園児童の大半が小学校受験を志す幼稚園を指してます。
国立小学校受験については、教育研究にふさわしい子供を選抜するという考査環境から、別のカテゴリーと捉えておりますのでご容赦下さい。
■お受験の歴史
私立小学校創立の背景は大きく分けて二つです。
一つは、創立者の理念に基づいた教育に賛同するご家庭の子女を集めた学校です。
もう一つは、キリスト教宣教師を中心に創立された、主に女子への教育普及を目的としたキリスト教系の学校です。
1874年に日本で最初の私立小学校である慶應義塾幼稚舎が創立されて以降、1900年前後に多くの私立小学校が創立されました。
多人数画一的教育の公立小学校とは対照的な、少人数個性尊重の私立小学校は多くの人気を集めました。1900年前半には現代のような厳しい選抜がすでに行われ、家柄を問われ、あらゆるツテを探す、今の「お受験」の原形はほぼ出来上がっていたと言われています。
その後、戦時中も含めた100年近くの選抜が繰り返される中で、家柄・経済力を必要とした閉ざされた世界となっていったことは想像に難くありません。
私立小学校は創立の背景より間口が狭まり、社会的立場のあるご家庭のお子様の人格形成の大切な時期をお預かりする場所となって来ました。
加えて、伝統ある学校の環境や品格(ブランド)を保つ必要もあります。
そのため、素性の分からないご家庭を安易に入学させられない使命を持つことになりました。どれだけお金待ちだったり、お子様が優秀だとしてもです。
■「縁故」とは?
このようにお受験の歴史を紐解くと、縁故の姿が見えてきます。
お受験における縁故とは、
両親どちらかがその学校の出身(同窓会などで学校と関われる)
志願者の兄姉が在校生(普段から学校と関われる)
ご紹介者を通じて事前に身上書を提出する機会がある(時には事前面談もある)
といった、その学校に対して、どんな家庭(何者)であるかを考査前に伝えることができる家庭背景を指すものと考えて良いでしょう。
その学校への最も強力な「家庭の身元確認」です。
※縁故についてさらに詳しくはこちら
■「フリー」「属性」とは?
上記の縁故を持つご家庭以外を、お受験業界では一般的に「フリー(縁故なし)」と呼びます。
では、フリーでの競争が横一線かといえばそうではなく、そこには各学校が好む家庭環境が存在します。各ご家庭の背景にあるこれらの家庭背景のことを、お受験業界では「属性」と呼びます。
まずは、そのご家庭の身元の信頼度合いです。
先ほどの縁故となる属性を筆頭に、親族内に在校生・出身者がいることや、祖父母や両親の社会的地位の高さや知名度、上場企業オーナーなどの突出した経済力や明確な資産背景などが挙げられるでしょう。
さらには両親が私立小学校出身、お受験幼稚園在園、小学校近隣の有名教室への通塾、両親の勤務先、住まいのエリアなどと続きます。身元が明らかな度合い、学園への貢献度が高そうなご家庭の序列が高くなります。
次に子供のポテンシャル(地頭、将来性)として、両親が医師(学力及び祖父母の経済力も担保される)を筆頭に、難関資格などの士業、アスリートなどの血筋、学校の求める出口や附属中高大の学力に見合った両親の最終学歴などが加わります。
キリスト教系の学校だと、両親のキリスト教との関わり度合い(洗礼、宗教校出身、教会学校への参加の有無など)が序列となります。
これらの属性が、選考ステップにおける「身元確認」と「親の資質」の中で、重要な役割を担っていることは十分に理解すべきです。
志望校の重視する要素に対して、当てはまる属性が多ければ、俗に言う「属性が合っている」という表現になります。
※属性についてさらに詳しくはこちら
■「縁故なしで合格!」にご注意を
いかがでしょう。他所様の「フリーで難関校に合格しました!」は、全く当てにならないことはご理解頂けたかと思います。
ご家庭それぞれで属性が異なるので、「フリーは受かるか?」という質問自体に意味がないのです。
そして、これらに当てはまる要素が少ないご家庭ほど、お子様に目くじらを立てる前に、それを埋める戦略が必要となります。
「私立小学校なんて縁故(コネ)で決まるんでしょ」というのは間違ってはいないのですが、そこで思考停止になってはいけません。それだけで枠は埋まらないからです。
また、あくまで第一ステップが無風であるだけで、縁故があっても、第二、第三ステップで選考に掛けられます(選考ステップの詳細は#2にて)。
ご出身者ほど恥ずかしい受験はできないので、その追い込みは縁故なしのご家庭とは違った、厳しいプレッシャーとの戦いがあります。
お受験産業に煽られてお子様を無理に追い詰めたり、ご家庭に適した受験戦略を見誤らないよう、このようなお受験の構図をご理解頂ければ幸いです。
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