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それほどガチらず、なるべくラクして美味しいクラフトビールが飲みたいんですけど、なんとかなりませんかね?

こちらは2023年5月に開催されたCOMTIA144で発表したものです。Kindle化しようと原稿を直していて先程アップロードしたのですが、承認にしばらく時間がかかるようなので、その間無料で公開してみます。よかったらどうぞ。

試験的にやってみるだけなのですぐ消すかもしれないし、有料化して残すかもしれないです。あしからず。
随分早くKindleにアップされてしまったので消そうかと思いましたが、折角なので「はじめに〜1章」まで公開することにします。Amazonより長く読めるのでご容赦を。あ、値段は一緒です。

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以下、説明。

それほどガチらず、なるべくラクして美味しいクラフトビールが飲みたいんですけど、なんとかなりませんかね?

これはクラフトビールに興味が出てきたけれどまだそんなに慣れていない人、これから飲んでみようと思っている人の本音ではないかと思います。何かのきっかけでクラフトビールなるものがあることを知り、とりあえず美味しいものを飲んでみたいと考えるのはごくごく自然なことだと思います。しかし、まだハマったわけでもなく、初めから本気を出そうにもそもそも本気の出し方が分からないわけです。さて、どうしたものか。
勉強が絶対に必要だと言う方もいらっしゃるかもしれません。まずはビアスタイルの勉強をしよう、次にオフフレーバーの勉強もしようとかよく言われますし。けれども、これは悪手になる場合もあるんじゃないかと思うのです。美味しいものを飲んでみたいのであって、勉強したいわけではないからです。「え、そんなに回り道しないとダメなんですか?」というのが初めての方の偽らざる気持ちでしょう。実際私がそうでしたし。
色々飲んで経験するしかないというのは正論で確かにそういう面もあるのですが、勉強するのは正直なところ面倒です。なるべくやりたくない。ということで、自身の成功体験、失敗談を振り返り、「それほどガチらず、なるべくラクして美味しいクラフトビールが飲みたいんですけど、なんとかなりませんかね?」に対して私なりに全力で応える本を書いてみました。

ということで、以下本文。



はじめに クラフトビールの成功体験を考える

 本書のテーマはタイトルの通り「それほどガチらず、なるべくラクして美味しいクラフトビールを飲む」です。クラフトビールというものがあるということを知って初めて飲んでみようと思う方に向けて、出来る限りラクに美味しいものに辿り着く方法を私なりに考えてみました。私がこれまでにたくさん失敗しながら素晴らしいビールに出会ってきた経験から、美味しいものに出会う道筋というものには幾つかの重要なポイントがあって、各人その形は違えども必須条件を押さえていけば良いものに巡り合うことが出来るのではないかと考えています。
 今回筆を執るきっかけになったのは、とある方とお話をしたことからです。その方は体質としてお酒は飲めるし、お酒自体は嫌いではありません。但し、特定のジャンルにこだわることはなく、特別好きなお酒があるわけではありません。ビストロに行けばワインを飲むし、居酒屋に行けば日本酒もレモンサワーも喜んで飲みます。そんな方から、最近クラフトビールなるものについて知ったものの何を飲めば良いのか分からないので相談に乗って欲しいと言われたのでした。
クラフトビールに詳しい人だと思って頂いているのだと思うと少し誇らしいけれども、逆に心配も生まれます。これは失敗できないぞ・・・と。そこで私は色々と考えました。不味いものを紹介してクラフトビールが嫌いになってしまっては元も子もない。かと言って、私が全てのクラフトビールを知っているわけでもない。クラフトビールに関する小難しい本を用意して読ませるというのも何だか気が引けます。初心者中の初心者に苦しい努力や学習を強いることなく可能な限り早い段階から成功体験をしてもらうにはどうしたら良いだろうか。
 思案している中で自分自身がどういう道筋を辿って今に至るかを考えてみたのでした。そして、その数々の成功や失敗からエッセンスを抽出し、それを伝えれば何かしらのヒントになるのではないかと思い付いたのです。それをまとめたのがこの本ということになります。
クラフトビールというものに真面目に取り組み、うんうん唸りながら勉強することも大事なことです。けれども、それはとても苦しい。その苦労はこれまでに私が皆さんに代わってそれなりに行ってきましたから、本書を手に取ってくださった方には出来る限り楽をして美味しいビールに辿り着いて頂きたい。そう願っております。
 とは言え、出来る限りラクをすると言ってもそのために必要なことは結構たくさんあります。そして、それはお金では解決できない性質のものだったりするので厄介です。仮に既存の方法とこれから私が提示する方法の2つがあるとして、どちらが自分に向いているか考えてみて頂けたらと思います。

CRAFT DRINKS代表 沖 俊彦

第1章 旨いビールに出会うため、長く苦しい旅が始まる


クラフトビールを飲んでみたい、それも旨いクラフトビールが飲んでみたい。そう思い立った男性がいるとします。この章では今まで私が見聞きしてきたこと、相談を受けた経験から、知識も経験もない全くの初心者の方が一般的にどういう行動をするか、そしてクラフトビールのことを知るのがいかに難しいのかを独白中心のストーリー仕立てにして示していきます。

1.ただ旨いものが飲みたいだけなのに・・・

クラフトビールなるものがこの世の中にあるそうです。SNSでよく見かけます。新型コロナウイルスが全国で猛威を振るう中、缶での流通が増えていつしか地元のコンビニやスーパーマーケットでも目にするようになりました。大手ビール会社の作るものとはちょっと違うらしいということは聞いたけれども、具体的に何がどう違うのかよく分からない。一言で言えば、謎のお酒だ。
とりあえずスーパーマーケットで一番安いクラフトビールを買って飲んでみるのだけれども、正直なところどこが旨いのか全く分からない。分かったのはいつも飲んでいる大手のビールとは違ってすっきりもしていないし、何と言えば良いのだろうか、濃くて癖が強いということくらいだろうか。果たしてこれは旨いものなのだろうか。TwitterやInstagramでは褒めている人も多いし、個人的には腑に落ちないがきっとこれは旨いのだろう。ますます謎は深まるばかりだ。
なんだか流行っているそうだし、確かに興味はあるのです。とにかく「これぞクラフトビール」という旨いものが飲みたい。しかし、「これぞクラフトビール」と宣言するものを飲んでみてもピンとこなかった。結局どこに旨いものがあるのかも分かりません。クラフトビールには縁がなかったのだろうか。
そもそもクラフトビールとは何なのかも分からないし、何が旨いのか、その旨いものはどこにあるのか、全部分からないから手探りで始めるしかないのだけれども、そんなに手間を掛けたいわけでもない。望んでいることは非常にシンプルで、ただ旨いビールが飲んでみたいだけなのだ。これがなかなかうまくいかないのは何故だろう。ただただ純粋に旨いビールが飲みたいと思ってしまったばかりに、長い旅が始まる。 

2.手始めにインターネットの記事を読んでみる

旅の第一歩としてとりあえずインターネットでクラフトビールのことを調べてみることにします。「クラフトビールとは」と調べてみると、検索1ページ目の記事には概ねこんな内容が書いてあります。

クラフトビールとは少量生産された高品質なビールのことを指します。一般的なビールとは異なり、ビール醸造家が丹精込めてこだわって作っています。大手ビールメーカーが提供する製品とは異なる個性的な味や香りを実現するため、様々な麦芽やホップ、酵母を使用します。クラフトビールは多様性に富んでおり、様々な種類があります。

とりあえず大手とは違うものだという認識で良いのかな…と思うわけです。けれども、よくよく読んでみると微妙な表現ばかりだということに気が付きます。
大手はそのブランドの名のもとに全国津々浦々に流通させていて、そのブランドを傷つけないよう最低限の品質は担保しなくてはなりません。大手なら技術力はありそうだし、エンジニアリングという意味ではそこには並々ならぬこだわりがあるはずです。ここで言う「こだわり」は大手のそれとどう違うのだろう。とてもふわふわしていて、とらえどころがない。
他にもあります。大手が麦芽やホップの単調な使い方なのに対してクラフトビールは複雑な組み合わせをするのだろうか。そして、「個性」というのもこれまた抽象的です。
「クラフトビールとは」以外にも「クラフトビール 定義」、「クラフトビール 旨い」などと検索してみるのですが、どれも検索順位1〜2ページ目のものは大体同じことを言っています。なるほど、これが正しい情報であり、世間の総意というわけか。
けれども、よくよく調べてみると、「いかがでしたか」ブログに代表される怪しいサイトが検索の上位に結構出てくることに気が付きます。SEO施策としては正解なのでしょうが、ユーザー側からすれば迷惑この上ない。切り貼りしただけの文章で、書いている(切り貼りしている?)本人はおそらく何も分かっていないのだろうと予想されるものばかり。上位に表示されているとしても信用ならんと結論付けられるわけです。結局検索エンジンも役に立たない。
権威ある人による信憑性のある情報をちゃんと知りたいのだから無料のものに頼ろうとしたことが間違いだったのだ。それを反省し、次の一歩を踏み出すことにしよう。 

3.クラフトビールの本を読んでみる

インターネットがダメなら本を読んでみることにしよう。それなりの著者がプロの編集者と協力して作った本なのだから信用できるに違いない。無料ではなく有料なのだからそうでなくては。
クラフトビールに関連すると思われる本をAmazonや楽天ブックスで調べ、図書館にも出向いてみます。醸造や原料についての専門書や経済学的視点で商品としてビールを論じている新書の類は飲む専門の初心者が手を出すものではないだろう。それらを除外して一通りカートに入れ、図書館で読めるものもチェックするとあることに気が付きました。日本国内の一般的な書店で売っているクラフトビール関連の本は概ね下記4種類に分類できそうです。

①図鑑
これはとにかくたくさんの種類を国別、タイプ別に掲載しているもの。一定の網羅性はあり、ビアスタイルの学習テキストとしても使えそうなものも散見されます。
②グルメガイド
地域とクラフトビールを紐付けて、当該地域にあるブルワリーやクラフトビールを提供している飲食店を列挙したもの。ハードカバーというよりもムックに多い。
③偉人伝
クラフトビール会社の社長や名物営業マンなど、クラフトビールにまつわる特定の人間に焦点を当てたもの。創業社長の場合、本人の自伝のような体裁で半ば社史と言っても差し支えない文章になっていることもままあります。ビジネス書に多い、特定分野の成功譚の一種と言えるかもしれません。
④レシピ本
クラフトビールに合わせて手軽に自宅で作れるおつまみレシピの紹介が中心で、コンビニやスーパーで買える缶詰やおつまみのことも。組み合わせパターンや選び方をフローチャートで示している場合もある。

ネット書店のランキング上位を買ってみた程度、図書館でパラパラとめくってみた程度なので断言は出来ないけれども、概ねこんな感じだろう。これらの本では「世界にはビールがたくさんあること」、「ビールが作られている地域、場所の情報」は分かる。晩酌用のおつまみも作れるようになりました。けれども、旨いビールとは何かを教えてはくれません。鮮度の良いものを飲もうとか、保管にはこだわろうというような付帯的情報はありますが、それらはあくまでも付帯的なものであって旨いビールそれ自体についてはどの本も特に触れていない。敢えて明言を避けているようにさえ感じます。「結局旨い不味いは人それぞれでしょ」と言う理屈から「これが旨い」と断言しないのかもしれないけれども、それでは困る。旨いクラフトビールのことが知りたいのだから。
結局クラフトビールの本を読んでも旨いビールは分かりませんでした。仕方ないので別のアプローチを考えてみます。 

4.レーティングサイトを見てみる

最近クラフトビール専門のレーティングアプリがあるそうですから、それを参考にしてみよう。利用者が1〜5点でビールそれぞれを評価し、ビールの世界的な評価が示されます。スコアの高いものは広くそして高く評価されているということなのできっと旨いのだろう。そう期待して良いに違いない。
しかし、問題発生です。ビールを作る会社、つまりブルワリーが多すぎる。そして、各ブルワリーがたくさんのビールを作っていて今飲めるものが何なのか全然分からない。一度限りの限定品、廃盤となったビールも含め記録しておくことが大事なのは認めるけれども、もう飲めないビールが旨かったと知っても全く意味がない。インターネットで検索してみて買えそうだと思っても、ショップのページが残っているだけで「売り切れ」とか「在庫なし」という表示ばかり。評価が分かっても飲めなくては絵に描いた餅だ。 

5.ボトルショップは怖い

スーパーマーケットやコンビニにはそれほど多くのクラフトビールは並んでいない。5種類あれば多いほうだろう。たくさんのブルワリーがあり、たくさんのタイプがあるのだから品揃えの良いところに行ってみよう。そう思い立ち、クラフトビール専門のボトルショップに行ってみることに。
一歩足を踏み入れるとショーケースには何百ものビールが並んでいて、壮観です。当たり前だけれど、全部ラベルが違う。値段もバラバラで、名前もヘンテコなものが多い。通路をゆっくり歩きながらビールの説明書きに目を向けてみるけれども、謎の用語が多すぎて全く分からない。分かるのは名前と値段くらいで、選びようがない。せっかく専門店に来たのに困った。
ふと気がつくと周りにはお店の常連と思しきお客さんが何人もいます。彼らはみな独りで来ているようで、スマホ片手にビールをチェックし、何かを入力しては頷いたり首を傾げたりしている。誰も言葉を発さず、淡々と作業を行っている姿を見るとなんだかちょっと怖くなってしまった。
そう、渋谷の宇田川町あたりにあるレコード屋に似ている。全員自分の求めるレコードを棚から探すことに集中している。お店のスタッフもとっつきにくそうな感じで声をかけにくいオーラが全身から滲み出ている。出来れば関わりたくないと思わせる雰囲気だ。お店全体に殺伐とした空気があり、その無言の空間は素人お断りの雰囲気で満たされている。やばい、場違いなところに来てしまった・・・と何だか気まずい感じになってお店を一周りしてすぐに出てしまう人が大多数だろう。もちろん私もその一人だ。
プロっぽい店員とお客さんばかりだと怖い。素人が一人で入っていっても良いのだろうか。それが許されたとしてもビールがたくさんあり過ぎて選べない。かと言って、クラフトビールは高いからなるべく失敗したくない。だからこそ専門店に来てみたのに何も解決しなかった。どうしよう。また振り出しに戻ってしまった。
いや、ここで諦めてはいけない。次の方法を探そう。 

6.ビアパブも怖い

意を決してパブに行ってみることにします。通りを歩いていると「クラフトビールあります」というポスターやのぼりが見えた。ここにはクラフトビールが間違いなくある。お店選びをどうしたら良いかも分からないから当たって砕けるしかない、そう決心して入り口のノブに手をかける。
笑顔で迎えてくれるスタッフに一人であることを伝えると、カウンターに案内されました。すでに置いてあるメニューを手に取り、眺めてみる。読めない。いや、読めるのだけれども専門用語が多すぎて意味が分からない。
ボトルショップの時同様、ここでも名前と値段くらいしか理解出来なくてドキドキするわけです。とはいえ、「こいつ、ド素人だな」とナメられたら嫌だし、かっこ悪い気もする。どうしたものか。
そして、恐怖のあの言葉が浴びせかけられる。
「お決まりですか?」
お決まりも何も、何一つ分からないので選びようがないのだ。決まるわけがないじゃないか。かと言って、「もう少し待ってください」と返して時間を稼いでも解決するはずもない。ここは仕方なく一番上のものを頼み、一旦やり過ごす。ふう、変な汗が出てきた。
もうこうなると、出てきたビールが旨いかどうかもよく分からなくなってしまう。とりあえずいつも飲んでいる大手のビールと違うということは分かったが、やたら苦いし濃いし、これが旨いのかどうか判断しかねる。不味くはないのだけれども、何だかピンとこない。これは何なのだろう。
手持ち無沙汰になり、とりあえずTwitterで「カウンターで一人クラフトビールを飲んでいる」と呟いてみるとすぐに幾つか「いいね」が付いた。知り合いだが友人とは言いにくい人から「クラフトビール旨いよねぇ」とリプライが付いたのだけれども、きっとそれも社交辞令の一つだろう。「いいね」されて嬉しい反面、目の前のビールが旨いとは言い切れない自分が何だかもどかしい。
ちょっとクラフトビールに興味が出てきて旨いビールを飲んでみたいと思っただけで、承認欲求を満たすための道具が欲しかったわけではない。たった140文字でそれを上手に表現できるほどの文才があるわけでもないから困って仕方がない。嘘でも「ええ、クラフトビールは旨いですね」と返信すれば良いのだろうか。
ああ、色々と面倒になってきてしまった。この1杯だけ飲んで帰ることにしよう。
結局ボトルショップもパブも、デビューするには早すぎたのだ。まずは座学だ、そうしよう。メニューが読めるようになればきっとこんな惨めな思いをすることもなくなるだろう。 

7.ビアスタイルを勉強してみる

幾度も打ちのめされ、嫌気が差してきたけれども、説明書きやメニューが読めないからダメなのだということが分かった。読めればどういうビールなのかが分かり、きっと旨いものも見つかるだろう。初めから座学をしておけば良かった。
Amazonで初心者向けを謳う本を買い、ひたすら読み込んでみる。欧州各国にはクラシックなビールがたくさんあって世界中には100種類以上のタイプがある、大手の作っているタイプはチェコやドイツのピルスナーというタイプに分類される、などなど。発祥の国以外にも色や風味のことも覚えておこう。特にコラムのところに書いてあったオフフレーバーと呼ばれる不快な風味は興味深い。オフフレーバーが不快さの原因であれば、これがないものは旨いと考えて良さそうだ。
ビールには色々あることはよく分かったし、世界の名作を知ることが出来たのは一歩前進したと考えて良いだろう。ビールのタイプ、つまりビアスタイルを覚えればそのビールがどういう方向性のものかは分かり、飲む前にどういう味がするのかある程度予想がつくはずだ。予想が出来るなら旨いビールを飲める確率はぐっと上がるに違いない。
・・・ただ、冷静に考えてみるとちょっとおかしい気がする。ビアスタイルの学習は非常に面倒くさい。楽しくもない。元来勉強などというものは嫌いなのに、たかだか旨いビールを飲むために本気を出して勉強しなくてはならないのか。ビールを楽しんでいる人はいっぱいいて、旨いビールも同様にたくさんあるのだから、もっと簡単に巡り会えても良いはずだ。にもかかわらず、なぜこんなにも遠回りが必要なのか。全く理解できない。旨いクラフトビールが飲んでみたいだけなのに。 

8.そうして途方に暮れる

アプリも役に立たなかった。ボトルショップ、パブにも打ちのめされた。本を読んで独学するのも嫌気が差してきてしまった。誰もこれが旨いビールだと教えてくれないし、どうしたら良いのだろう。もうクラフトビールなんてどうでも良くなってきた感じがするのは否めない。旨いビールに出会うための旅は道半ばで諦めるしかないのだろうか。
冷蔵庫を開け、昨日スーパーで買ってきたクラフトビールの缶を開ける。苦い。癖が強い。なんだか飲み疲れる。ため息をつくのにも飽きてしまい、半分残して飲むのをやめてしまった。そうして途方に暮れる。

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