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Wizardryの動画が懐かしかった件

別のゲーム解説動画を探しているときに、たまたまWizardryの動画を見つけたので、懐かしくて色々思い出してしまいました。毎度長文ですみません。

懐かしい初代をリスペクトした新しい作品のプレイ動画

自分のことを書いておくと、日本語版WIZARDRY初代がパソコン向けに発売されたのがリアルタイムの世代です。WIZARDRYは有名なので触れたことがある人も多いかと思いますが、多くの方はファミコン版かと思います。
この動画も「初心者やる夫がひたすらキレ倒すウィザードリィプレイ動画」となっており、サムネイルにも「無慈悲」、「理不尽」という刺激的なワードが表に出ていますが、おそらくファミコン版よりパソコン版の方が無慈悲です。(自分はファミコン版を知らないので風聞ベースですけど)

こちらの動画は昔のWIZARDRYではなくて、それをリスペクトした比較的最近のもののプレイ動画かと思います。連載第1回なのでしばらく続くと思いますが、なかなか初代WIZARDRYテーストが溢れています。
ただ、最近のWIZARDRYリスペクト作品のベースはファミコン版かと思いましたが、そのせいかパソコン版と比べるとヌルいというか相違があるようなので色々当時のことを書いていきます。
なお、記憶に基づいて書いていますので、誤りがありましたら申し訳ありません。

そもそもWIZARDRYとは

WIZARDRY(ウィザードリィ)は日本語版Wikipediaにも長文の解説が付くくらいの有名作品です。そちらの解説にもある通り、サーテック社のパソコン用コンピュータRPGとしてはじまった作品で、初代以降様々なシリーズが販売されました。ただ、開発元のサーテック社はすでに解散しています。
Ultima(ウルティマ)と共にパソコン向けコンピュータRPGの双璧とされる作品です。
その中でも特に初代は根強いファンが多い作品です。劇場版機動警察パトレイバーで、スクランブル発進する戦闘機や指揮管制のコードネームの「トレボー」とか「ウィザード」、「プリースト」等がWIZARDRY由来なのは有名かと思います。

ただ、何分にもパソコンがまだ非力だった時代のゲームソフトですので、ワイヤフレームで描かれたダンジョンの中をうろついて、出会った敵を倒すくらいの、今時のRPG作品とは比べることもできない単純なものでした。まあ、ファンの多くは「だが、それがいい」なのですが。

ストーリーがない

動画中でストーリーがないという話があります。いや、一応あるんですよ。動画の元になっているリスペクト作品については分かりませんが、初代WIZARDRYはトレボーという王様の宝物をワードナという魔術師が盗んでダンジョンに立て篭ったので、それを冒険者に取り返すように依頼した、というストーリーが一応あります。実はトレボーは世界征服を目指していて、その手駒の強化のためにこういうダンジョンを作ったとかの壮大な設定があったりしますが(多分後付けですが)、目先のストーリーとしてこんなことがマニュアルの冒頭に書いてあります。

書いてあるだけで、ゲーム中にそれを意識したようなシーンとか一切ありません。まあだから、ストーリーがないと言われるわけです。
一応、ワードナを倒してお守りを奪い返すという目標はありますが、別にプレイヤーはそこを目指しても目指さなくても良く、お守りを奪還した後もレアアイテムを探して何度もダンジョンに向かうのが当たり前というのが当時の状況でした。今でいうやり込み要素ですが、別にゲームとして用意されていたというよりは、プレイヤーが勝手に遊んでいた感じです。

なぜ、ストーリーがないか?

もちろん、当時のパソコンで今みたいなムービーを挟んだりするのは無理ですし、最初の頃のドラクエみたいな王様に召喚されたり、魔王を倒したりといった目的やゲーム中でのストーリーもなかなか難しかったというのはあると思います。
日本語版が出たのはオリジナル発売のだいぶ後なので、当時のパソコンであれば最初のドラクエみたいなことも不可能ではなかったと思いますが、日本版に対してはほぼオリジナルのまま移植されたというのは非常に良かったと思います(なお、モンスターのCGがだいぶ綺麗になっています)。
ただ、それだけではなくてRPGがそもそもコンピュータゲームではなかったのが大きいかと思います。

RPGとはその名の通りロールプレイをするゲームです。その発祥は人間が集まってやるものでした。いわゆるテーブルトークですね。その昔は戦争ゲームもボードの上を軍隊や兵器を表す駒を動かして遊ぶボードゲームだったのが、人間がプレイしやすいようにコンピュータゲームになったのと同様に、RPGも人間が集まってやるものをコンピュータでできるようにしたものでした。
その人間が集まってやるRPGでは、ゲームのルールはあっても、ゲームの目的や背景物語は都度、ゲームの進行と審判を行うゲームマスター(GM)がプレイヤーと協力しながら組み立てるものでした。ですので、細かい物語はプレイヤーに委ねられていたのかと思っています。

まずキャラメイク

今でこそ、最初から主人公は決まっていて、仲間になる人物も決まっているのが普通になりましたが、黎明期のRPGは上記のテーブルトークの流れもあり、まずはパーティにするキャラクターを自分たちで設定するのが普通でした。
パーティの構成も自由で、別に魔術師だけのパーティとかでも構いません。よくあるのは自分の分身である男戦士以外は全て女性キャラというハーレムパーティでしょうか(笑)。別にパーティのメンバーのCGとかないので、女性キャラで固めることに特に意味はありません。全ては自分の妄想の世界です。

なお、動画内ではあらかじめボーナス範囲内で作成できる職業が事前にわかるようになっているのが随分親切に感じました。当時のマニュアルにはどんな職業があるかは書いてあっても、そのためにどういうパラメータが必要かはマニュアルには書いてありませんでした。自分で調べるか、攻略本を見ることになります。
動画で出てくるビショップは上位職業の一つなので、特定のパラメータがある値以上ないと作れません。それが、職業を選んだだけで最低条件に必要な分だけボーナスポイントを割り振ってくれるなんて、当時だったら泣いて喜ぶ機能です。一番大変なのが忍者で、忍者に必要なだけのボーナスポイントがランダムで出てくるまで、何度も繰り返したりしました。
もっとも、最初から忍者にすると弱いし、盗賊スキルも低いのでゲーム的には盗賊から転職させた方が強かったりします。

盗賊は重要

盗賊は宝箱の仕掛けを解除するのに必須要員です。そのためにはまず宝箱の鑑定をして罠の種類を調べて、それからその罠を解除するという二段構えです。しかも、この調べた結果が間違っていることもあります。盗賊のレベルが低いと間違える可能性も高いので、それによってパーティ全滅もありという世界です。

また、おそらくファミコン版ベースの今回のゲームでは罠は選択するだけですが、初代WIZARDRYパソコン版の場合は罠の名前を英語のフルスペルで入力しないといけません。スペルミスすると罠が発動します。盗賊が調べて「POISON NEEDLE」だと分かったら、その通りに入力しないと解除できないのです。何度入力間違いしてしまったことか。だから、罠の名前とかメモって近くに置いてありました。

ちなみに、魔法も選択ではなくてフルスペルで入力します。魔法はレベル毎にキャラの成長に応じて9回まで使えるという縛りがあるので、使い所を考える必要があります。ここまで来るまでに敵を倒して来たはずですが、帰り道も普通に敵に遭遇するので、帰り道も考慮してどこまで進むかを判断する必要があります。

死んでしまうとは情けない

動画ではキャラメイクして装備もパーティ分は揃わない状態で「序盤だから大丈夫」と迷宮探検をしていきます。これ、WIZARDRYを知ってる人からすれば「あ、死ぬな」と先が見えるところです。いわゆるフラグですね。

案の定、パーティの一人が死んでしまいました。で、地上に戻って教会に行って復活してもらうわけです。ここも当時を知る人間からするとだいぶ緩く感じるところです。
復活の費用は非常に高額で、そうそう集まらなかったと記憶しています。特に序盤はダンジョンで稼げないので、諦めて別にキャラを作るか、キャラメイクした時点での所持金目当てで作っては金を取り上げて捨てるといった追い剥ぎ行為を繰り返したものです。
動画の状況なら諦めて作り直した方が早いです。特定の主人公がいないからこそできることですが、冒険を重ねて成長したキャラは流石に割り切れなくなるので、進むか退くかは悩みどころです。

囁き、祈り、詠唱、念じろ

で、蘇生を試みるわけですが、知ってる人の多くが思ったように、灰になってしまいました。そうです。WIZARDRYの世界では高い金出して僧侶に蘇生をしてもらっても、運が悪いと灰になってしまいます。
一応、灰の状態でも蘇生を試みることはできますが、失敗すると何もなくなってしまいます。つまり、2度と復活できません。

なお、初代WIZARDRYはオートセーブです。途中でセーブしておいて、ロードしてやり直しというのは(少なくともパソコン版では)ありません。タイミングよくリセットすれば灰になる前の状態でやり直せるかもしれませんが、蘇生をした時点でデータを書き込みに行っているので、下手するとそのキャラ以外のデータとか、最悪システム全体を壊す恐れがあるのでおすすめはできません。

これはゲーム全体に当てはまるので、たとえばダンジョン内で強敵に遭遇してパーティが全滅した場合、そこで終わりです。パーティが強制的に街に戻されるとかもありません。
その場で死んでいるので、別の救出パーティを組んで救出に向かいます。それも時間が経てば所持品がなくなったりするし、そもそも死体が見つからなくて復活不可能なんてこともあります。
救出と言っても、要はその場でパーティに加えるのであって、6人上限のパーティ枠の中でやりくりしないといけません。

人生はクソゲー

よくやり直しが効かない、ランダムエンカウントばかりのリアル人生をクソゲーと喩えたりしますが、WIZARDRYは(今の基準から見れば)ある意味本当にクソゲーです。
セーブしておいてロードするなんて便利機能はなく、どんなにキャラが成長しても魔法が使えるのは1レベルで9回まで、キャンプの概念などなく地上に戻らないと魔法は回復しないし、やたらと死が身近な殺伐としたゲームです。
死んだら死んだで復活も運任せ。果てはせっかく成長したのにダンジョンにはこちらのレベルを下げる敵まで出る始末。

遭遇した段階では敵のHPとかも不明の状態です。それどころか、相手のモンスターが何なのかも分からず、大雑把な姿形が示されるだけです。たとえば、人型の何かと分かっても、それが他の冒険者パーティなのか、強力な悪魔族なのか分からないことがあります。戦っているうちに、正確な名前やHPなんかが分かってくるようになっています。
それを待っていられないので、該当するモンスターにどんなものがいて、最悪の場合どんな強力な攻撃をしてくるか覚えておく必要があります。ですのでダンジョンは慎重に進まないといけません。
退き際が大事というのは人生にも重なる話です。

そんなわけで、第1回の動画ではまだ理不尽、無慈悲の片鱗すら見えていないのですが、はてさて、この先どうなるのでしょう。
思えば、当時はこんな不親切なゲームに膨大な時間を突っ込んでいたのですから、当時の自分に何をしているのかと問い詰めたくなります。


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