諜報業界用語:  「天網」 <- 米国も一目置く人民監視システム

今回は「天網」についてみていきましょう。

「天網」は、米国も驚く国民監視システムです。

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「天網(てんもう)」: 中国政府が構築している広範囲な監視システムです。カメラ、顔認証、音声認識、人工知能などを組み合わせることで、国民の行動を監視することを目的としています。2010年代から試験的に導入が始まり、2020年には中国全土に導入される予定。

歴史と開発

天網プロジェクトは、2000年代初頭に中国公安部によって開始されました。当初は北京市や上海市などの主要都市で試験的に導入され、その後徐々に全国へと拡大されました。2017年には、中国政府は2020年までに中国全土に天網を導入することを目標として掲げました。

天網の開発には、中国政府系企業や大学、研究機関などが携わっています。特に、顔認証技術の開発には力を入れており、中国企業は世界トップレベルの技術を有するようになっています。

技術

天網は、様々な種類の監視技術を組み合わせて運用されています。主な技術は以下の通りです。

  • カメラ: 街頭や公共施設、交通機関などに設置されたカメラで、人々の行動を監視します。中国には推定2億台以上の監視カメラが設置されており、世界で最も監視カメラが普及している国の1つとなっています。

  • 顔認証: カメラで撮影された人物の顔をデータベースと照合し、身元を特定することができます。天網の顔認証システムは、高い精度で人物を識別することができるとされています。

  • 音声認識: 街頭や公共交通機関などで話されている会話を音声認識し、犯罪やテロの計画を察知することができます。

  • ナンバープレート自動認識: 自動車ナンバープレートを自動的に読み取り、盗難車や不審車両を追跡することができます。

  • 行動分析: 個人の行動パターンを分析し、犯罪やテロの予備的な兆候を発見することができます。

これらの技術に加え、人工知能(AI)も活用されています。AIは、カメラ映像から人物や車両を自動的に検出し、その動きを追跡することができます。また、AIは音声認識や行動分析の精度向上にも役立てられています。

運用

天網は、公安部や国家安全部などの治安維持機関によって運用されています。これらの機関は、天網を通じて収集された情報に基づいて、捜査やテロ対策などを実施しています。

また、天網は交通管理や都市管理にも活用されています。例えば、信号機や交通カメラの制御に天網を活用することで、交通渋滞を緩和したり、交通違反を取り締まったりすることができます。

影響

天網は、中国社会に大きな影響を与えています。犯罪抑止やテロ対策に一定の効果があるという評価もありますが、プライバシー侵害や人権侵害の懸念も指摘されています。

中国政府は、天網は国民の安全を守るために必要なシステムであると主張しています。しかし、天網がどのように運用されているのか、透明性が十分ではないという批判もあります。

今後

今後、天網はさらに高度化していくことが予想されます。AI技術の進歩により、顔認証や音声認識の精度がさらに向上したり、行動分析の機能が強化されたりする可能性があります。

天網の高度化は、犯罪抑止やテロ対策に更なる効果をもたらす可能性がありますが、同時にプライバシー侵害や人権侵害のリスクも高まります。天網の運用について、今後は国際社会からの監視が更に厳しくなっていくことが予想されます。

天網に関する議論

天網は、その強力な監視機能から、様々な議論を呼んでいます。以下は、天網に関する主な議論のポイントです。

  • プライバシー侵害: 天網は、国民のプライバシーを侵害しているという批判があります。政府は、国民の知らない間に監視されているという感覚を人々に与え、不自由な社会を作り出す可能性があります。

  • 人権侵害: 天網は、人権を侵害しているという批判もあります。政府は、天網を使って特定の個人やグループを監視し、弾圧する可能性があります。

  • 表現の自由の侵害: 天網は、人々の表現の自由を侵害しているという批判もあります。政府は、天網を使って、政府批判を行ったり、反体制活動に参加したりする人々を監視し、検挙する可能性があります。

  • 安全保障上の懸念: 天網は、中国の国家安全保障上の懸念を招いているという指摘もあります。天網の技術は、他の国によって盗まれたり、ハッキングされたりして、軍事目的で使用される可能性があります。

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