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バレンタイン2022

本日はバレンタイン!

乙女たちが、大好きな大切なあの人を思い浮かべながら、その胸の内を形にしたかのような甘いお菓子をたずさえ、頬を染めて放課後の校舎裏とか終業後の社屋の屋上に想い人を呼び出すイヴェントでございますね。(発想が昭和)


日ごろ人格の五割を永遠の14歳少年、四割を妙齢のオッサンによって占拠されていることで有名なわたくしも、わずかに宿している乙女人格を荒ぶらさないわけにはいかない……それが2月14日と言う日。柄にもなく、毎年この日の近辺にはお菓子を作っている。というか、お菓子は年に一度この日にしか作らない。そもそもお菓子にはあまり萌えがないし(嫌いじゃないけどたくさん食べられない)、お菓子ってーのはどなたさまかが作ってくだすったもんをただ貪るのみという認識で生きている。

でもまあ、私も一応乙女の端くれであるという自負を持っておりますのでね(持つだけならタダ!)。昨日の連休最終日、慣れないお菓子づくりに奮闘した次第。


バレンタインにお菓子を作るようになったのは、ここ数年のこと。とにかく作り慣れていないし(何しろ年に一回きりだ)、お菓子作りのセンスが絶望的に欠落しているので、基本的には焼きっぱなしでいいもの―――ガトーショコラとか、ブラウニーとか、フロランタンとか、そういうものを作ってきた。でも今年は年明けから、「そこそこ長い付き合いになってきたし、今年こそ、恋人の好みに寄り添うものを作ろう!」とひそかに決意を固めていた。昨年恋人と「最後の晩餐で何を食べたいか?」というテーマで話していた際、彼の答えがあんこだったことに軽い衝撃を受けたのも影響している。


ということで今年のバレンタイン・スイーツは、「バレンタイン=チョコレート」という鉄の掟に真っ向から顔を背けるという、もはやバレンタインみの欠片も感じられない作品が爆誕することになった。


うちにあるいちばんデカいボウルにたまごを割りほぐし、ここに砂糖・みりん・はちみつ・牛乳・バニラエッセンスを入れてよく混ぜる。さらにホットケーキミックスをふるいながら加え、ダマがなくなるまでよくよくかき混ぜたら、ラップをして冷蔵庫にてしばしお休みいただく。

年に一度しかやらないお菓子作りなので、材料はちょっと張り込むわよ!ということで使用したホットケーキミックスはこちら。



天下のホテルニューオータニさまの御名を冠する商品。お値段もそれなりだけれど、それ相応の品質を秘めているに違いあるまい。絶対に崩れないとか、絶対に焦げないとか、そういう効能があるに決まってる。何しろホテルニューオータニさまだものな。


さてこの間に、初めてのあんこ作りに取り掛かる。

あんこといえば……くしくも先日、日本のパリにお住まいの長澤まさみ嬢が、初めてのあんこ作りに挑戦なすっておられましたな。



おじu……じゃなかった、まさみちゃんが参考になすっていたレシピをはじめ、「あんこ 初心者 簡単」「あんこ 初めて 失敗しない」「あんこ 市販品 おいしい」等で検索して出てきたレシピや動画にもひととおり目を通してから挑んだ。

水洗いしたあずきをたっぷりの水と共に鍋に入れ、火にかける。沸騰してアクが浮いてきたら火を止め、茹でジルを捨てる。再びたっぷりの水を張り、火にかけ、沸騰してアクが出てきたらザバー。水、加熱、沸騰、ザバー。……という作業を3回繰り返したのち、新しい水を張って再加熱。沸騰してきたら、今度はザバーしないで弱火に落とし、浮いてきたアクを丁寧にすくい取りながら、一時間程度煮る。このアクがですね……取っても取っても尽きることがなくてですね!アクの永久機関かなってくらいずっと出てきてくれてね!大変にたのしゅうございましたね!!

一時間後、あずきが指で潰せるくらいやわらかくなったところで、砂糖を三回に分けて投入。砂糖の分量は、あずき100gに対して140g。この比率、震えるわぁ……。砂糖を入れるごとに20分程度煮込むべし、とのことだったので、なんやかんやでまた小一時間煮るハメになった。ついでにちょっとはちみつも入れてみました。

全ての砂糖を入れ終わったところで、塩をほんのちょっぴりだけ入れて火を強める。くれぐれも焦がさないように注意しつつ煮詰め、鍋の中の水分が飛びきったら火を止める。冷ましたら、これであんこが完成。


あとは生地を焼くだけだ。フライパンに薄く油を敷き、冷蔵庫でお休みいただいていたホテルニューオータニ・ブレンドを、直径7cm程度の円形に焼いて……いく予定だったのだけれど、ここにきて大苦戦を強いられた。イメトレでは完璧な満月型をじゅうじゅうイわしていたのに、なぜかフライパンの上ではアメーバ状の物体が次々と錬成されていくのだ。なんでどして?天下のホテルニューオータニ・ブレンドですよ?!フライパンに流し込んだら自動的に真円形を形成するんじゃなかったのッッッ?!!!あと半面は全然焼き色つかないのに、もう半面は黒焦げになるってどういうことなの?新手の血鬼術ですか???


「ホットケーキすら満足に焼けないって訳かよ……みっともねえなあ、本当に、みっともねえなあ~」という声が脳内で響く。涙が溢れないように必死で天を仰ぎつつ奮闘したけれど、正直心が折れそうだった。長女だからなんとか耐えたけれど、次女だったらたぶん無理だった。

まあ、数枚焼くうちになんとか丸っぽいものができあがるようにはなりました。お菓子作りもお料理と同じですね……回数こなさないと駄目ってことなのね。


焼き上がった生地の粗熱が取れたら、先ほどできあがったあんこ、薄くスライスしたバターを挟んで、仕上げに表面を肉球印の焼きごてでジュッ!してできあがり。


これでジュッ!するの最高に楽しすぎた


はいそんな感じでー、

今年のバレンタインはどら焼きを作りました!




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驚きのおやき感に震えが止まらない。


どら焼きってこうじゃないよね……全面茶色いたべものだよね……



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肉球印の焼きごては、この日のために新たに導入した。ジュッ!するのが非常に楽しかったけれど、他の用途が思いつかない。


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今年も例年通り、中身の荒々しさをねこたちの愛らしさで誤魔化そうという魂胆。ラベルも毎年手作りしています。


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去年までは赤を基調にしたチェック柄にしていたけれど、今年はもうこれ一択よ。禰󠄀豆子柄です。


見た目的には非常にアレなブツが仕上がってしまったけれど、味の方はというと、これがなかなかおいしく仕上がった。あんこはつやつやのネットリにできたし、甘ーいあんこにバターの塩気もいいバランスだったと思う。ホテルニューオータニ・ブレンドの生地も、形状記憶装置が作動しないという惨劇に見舞われたものの、バニラの香りが効いていてもちもち!初挑戦、そして製菓(これを製菓と呼んでもいいのか分かりませんが……)センスが絶望的に欠落している身としては、充分及第点ではないかしらん。


恋人も大層喜んでくれて、「あと1ダース食いたい」というコメントを賜った。うれしい。せっかく焼きごても買ったことだし、近いうちにまた作ろうかな。

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