見出し画像

ソロキャンプ 2022.2.5-6②星を愛でて地獄で仏に遭遇、輪っか欲満たし編

7回目のソロキャンプ記録の続きです。


2/5土曜夕刻。まだ完全な日没前だというのに、早くも手元の温度計が氷点下を示したことが、私の精神世界(アストラル・サイド)に大いなる揺さぶりをかけていた。

静岡とはいえここは高原、氷点下の夜を過ごすことは当然覚悟の上で出かけてきている。でも夕方からってのはちょっと想定外だよ!今からこんな気温なら、夜更けや明日の明け方はどうなっちまうんだってばよ……燻製フラグの次はフリーズドライ加工フラグですか?


今までのソロキャンプ時ならば、もちろん迷わず焚き火を焚いて暖を取るところだ、っていうかいつもならとっくに燃やして呑んでニヤニヤしている時間帯だ。けれど今回は、目の前でボヤ騒ぎに遭遇してしまったため、なかなか焚き火に向けてのテンションが上がってこない。日中あれほどすさまじかった風はぴたりと止まり、今や「そよ」とも吹いてこないほど静かになっているけれど……どうしようかな。

メンタルを落ち着かせるためのホット梅酒をぐいぐいすすりつつ、徐々に雲の増えてきた空を仰いでしばし熟考。そうして、自分なりの今夜の過ごし方を決めた。


①雲がこれ以上増えないうちに、まず星撮り練をぱぱっと済ませる。
②自サイトに戻って焚き火を起こし、状況が許せば星シャー真にもトライ。
③22時頃にお風呂に入り(お風呂は23時まで)、その後は湯冷めしないよう、ただちにテントに引きこもる。


もちろん、今後風が強くなった場合は焚き火はナシだ。これで行こう。


さっそくテントに戻って震えながら(※武者震いです)防寒着に着替え、プラン①を遂行すべくカメラと三脚をかついで出陣した。……のはよかったのだけれど、前述のとおり雲がかなり出始めていたのと、長野や山梨に比べると光害がきついこともあり、なかなか思うような写真が撮れない。あと、手袋してても三脚が「つららかな?」ってくらいバッチクソに冷たい。これを抱いて寝たら二度と目覚められなくなりそう、そんくらいつべたい。そして地面がすべからく凍り付いていて、一歩進むごとに「シャリ!」という涼しげな音が響くほどだ。足元からギンギンに冷やされていくのが分かる。つらい。これなんの修行かナー?


画像18

そんな具合でプルプル奮闘のすえ、どうにか撮れた一枚。光害がきつく、富士山方面の星はほとんど拾うことができなかった。やはり星空撮影は難しい。

前回の山梨でなかなかいいショットが撮れたので、あらやだ、あたいったらひょっとしてちょっとスキルアップ?☆等と鼻の穴を膨らませていたのだけれど、なんてことはない、あれは立地と天候に助けられただけなんだな。


画像2


画像20

ただ、ありがたいことに私が唯一識別できる星座ことオリオン座のあたりは雲がかかっていなかったので、オリオン座がよく見えるあたりをうろちょろしつつ、何十枚か撮影を重ねることができた。毎度のことだけれど、ファインダーを覗いている時は寒さを忘れられる(一度にふたつのことに意識を払えない仕様)。でも我に返ると寒い。バチクソ寒い。

肉眼ではもっともっとたくさんの星が見えるのだけれど、見たままを切り取るのは本当に難しいな。その難しさが楽しさでもあるのだけれど。


しばらくはそんな風に、雲が少なくてなるべく星が多く見える場所を求めてうろうろ(&プルプル)していたのだけれど、うろついてる間にもくもく雲エリアがどんどん広がってきてしまったため、プラン②に移行するべく自サイトに戻った。もう全身がすべからく暖を求めているし、指先足先に至ってはストライキの様相を呈している。早く暖まらなくては。

相変わらず昼間のアレはなんだったんだってーくらいの無風ぶりだ。これなら焚き火もできるだろう。


富士山方面に向けてカメラをセットしつつ、焚き火台に火を起こす。前回同様、松ぼっくりを着火剤がわりに使ったらすぐに火が起こせた。もう必需品だな。


画像19

ああ。いい。

やはり焚き火はいい。寒さと、昼間の一件でこわばっていた心身が、少しずつ解きほぐされてゆくかのようだ。

薪のはぜるパチパチという音と、鼻腔をくすぐる香ばしい香り、一瞬たりとも静止することのないオレンジ色のうつくしい揺らめき。何度やっても、どれだけ見ていても飽きることがない。


梅酒の瓶は撮影前になぜか空になっていたので、今度は赤ワインをホットワインに加工した。赤ワインをクッカーでぐらぐらしない程度に温め、そこにちょっと多めの砂糖&シナモンパウダーを入れるだけ。でもこれが冗談抜きで五臓六腑に染みわたるおいしさ!ほくほくと湯気の立つワインをすすると、渋みの中にほんのりと甘さが加わったアルコールが喉を通り、体の内側からぐんぐんあたたまってゆく。これは最高だ……真冬の屋外で呑むのに、これ以上にふさわしいのみものはないのでは?!現地でのつぶやきに「ホットワインが似合いそう」とコメントしてくだすったなおさんとがっちり握手をさせていただきたい!

今回は砂糖とシナモンのみだったけれど、レモンとか、あとベリー系のジャムなんかを入れてみるのもおいしそうだ。色々研究してみたい。


ようやくいつもの調子で燃やし呑みにやつくこと小一時間後。


画像3

こんなん撮れておりました。やはり雲でモヤついてしまったけれど、富士山がビーム吹いてるみたいでなかなかいい感じかな?


その後アングルを切り替えて、もう一度カメラセッティングして待機。


画像21

再び燃やし呑みにやつきタイム。

焚き火は(私のスキルがへっぽこすぎるせいで)スマホで撮った方がなんかいい感じに写るな。でもいつか、焚き火の格好いいショットも撮ってみたいんですよね。火の粉が飛ぶ瞬間なんか捉えられたら、さぞかしエモい一枚になりそうな気がする。


画像4

ライヴコンポジットで70分かけて撮影した星シャー真。富士山がだいぶナナメに写ってしまっている……もうちょっとアングルを吟味すべきだったな。反省。

雲がだいぶ多くなってきたし、いい時間になったので今回の星撮り練はここで切り上げることにした。

焚き火台の薪を火消しツボに移し、サイトに出しておいた道具を整理してテント内に格納する。外に出したままだと、霜やら夜露やらで明日の朝大変なことになるのでね……。ちょっとめんどうくさいけれど、長野での教訓を生かして、片づけられるものは全てテントに押し込んだ。ちなみに、到着時からずっと私の体重を受け止めてくれていた椅子は、地面にめり込んだ脚が凍り付いていた。真冬の高原怖い。


消化が完了したのを確認してから、念願のお風呂タイム!着替えとバスタオルを持って宿泊棟に向かう。


画像6

宿泊棟の中はこんな感じ。お掃除が行き届いていて、とても清潔感がある。


画像7

こちらが今回特別に使用させていただけたお風呂。午後10時という時間帯のせいか、なんと貸し切りだった。

ああ……ゆるキャン△のクリスマスキャンプ回では、ここでリンちゃんとなでしこがキャッキャウフフの裸の付き合いをしたんだよね……(じーん)


ということで誰に気兼ねすることもなく、広々とした浴槽でたっぷりのお湯を堪能させていただいたのだけれど

まあなんていうか


地獄に仏ですね……



なにしろ日中はずっと強風に吹きさらされ、夕方からは氷点下に見舞われ、頭のてっぺんからつま先に至るまでバッッッッッッチクソに凍え切っているわけですよ。それをアチアチのお湯にとっぷりと浸した時の、あの感覚!あの感動!冗談抜きで涙が出ました。「仏さまじゃ~」ってリアルで声に出たもんな。めちゃくちゃ気持ちよろしかったです!(感涙)

もともとお風呂は大好きで、自宅でも真夏だろうと小一時間はお湯に浸かることにしているのだけれど、極寒の末に辿り着いた広いお風呂がうれしくてうれしくて、結局時間ぎりぎりまで長居をしてしまった。全身もれなく染みついていた煙臭も完全に洗い流し、もう完膚なきまでにととのいましたね。


お風呂上りは湯冷めしないよう、しっかり身体も髪も乾かしてからおいとまして、サイトに戻ったらすぐテントの中に入る。時刻は午後11時。こんなに早い時間からテントの中にいるのって、初めてじゃないかしら……。


とはいえまだ寝るのには早いので、コットの上に寝そべりながら燻製の残りをつまみ、新しく開けたワインをあたためながら晩酌タイム。テント内でバーナーを使うのは怖いので、テントを出たすぐ先で顔だけ出して加熱作業をした。ホットワインのおかげで、お風呂であたたまった身体がさらにポカポカしてくる。とても氷点下にいるとは思えないな。

せっかくなので、タブレット(毎回持ってくるもののほとんど使われた試しがない)で映画鑑賞も楽しんだ。


もう何十回も見てるんだけど毎回心底楽しんでしまう大好きな一作(つーかオーシャンズシリーズは全部大好き)。ケイト・ブランシェット様のイケメンぶりに惚れ惚れする。あたい来世はこういう人に生まれ変わりたい。


いつもは就寝ぎりぎりまでおんもで写真撮影&焚き火に夢中になっているので、テント=寝るためだけにしか使ってこなかったのだけれど……こうしてテントの中でおいしいものをたしなみつつ映画を楽しむような、ラクジュアリー・テント時間を過ごす夜も過ごしてみたいと思っていた。



新しく出かけてきた旅を、過去の旅の思い出を紐解く要素で彩る……もう本当、この方のこういうセンスに惚れ惚れします。私にもいつかこんなキャンプができるだろうか。30回目くらいになったらできるかな。

そんなすてきなソロキャンパーぶりなのに、こういう舞台裏を垣間見せてくださるところも大好きですのりまきさん!



映画が終盤に差し掛かる頃、2本目のワインも空になった。これで手持ちの酒をすべて呑み尽くしたことになる。これもまた、ソロキャンプ7回目にして初体験だ。

酒がなくなったらもう寝るしかない。いい具合に酔いも回って眠くなってきた。

就寝前のお手洗いを済ませ(心地よい酔い加減が瞬時に爆散するかと思うほど、外はギンギンに冷えていた)、「低温火傷したらそん時はそん時だ!」の覚悟で、背中に『貼るマグマ』をびっちりと貼りめぐらし、午前1時に寝袋に潜り込む。即落ち。


4時頃にふっと目が覚めたので、枕元の時計を確認したところ、氷点下7℃という数字が表示されていた。

見なかったことにして再び入眠。爆睡。



翌朝、午前6時45分頃に起床。ソロキャンプに来てこんなにゆっくり起きたのは初めてだ。今までで最高の冷え込みだったにも関わらず、今まででいちばんよく眠れた気がする。二日酔いもなく、低温火傷もしていない。よしよし。唇がマッチ擦れそうなくらい乾燥してるけど、まあよしよし。

寝起きのお手洗いに行きがてら、ちょっと外を散策。ちなみにテントはびっしりと霜で覆われていた。


画像8

昨夜の雲は嘘のように晴れ渡っている。ちぇっ、どうせなら昨夜こんな風に晴れてほしかったなー。でもテントの中でのんびり呑めたのも楽しかったし、まあいっか。

寝ぼけまなこを覚醒させてくれるかのように、富士山の裾野からゆっくりと朝日が昇ってくる。


画像11

水平線の向こうの雲は、薔薇色に染まっている。うつくしい。


画像9


画像10

星撮りではついつい邪魔者扱いしてしまうけれど、雲というのもこうして見ると実に魅力的だ。日の光を受けて、刻一刻と移り変わる表情がドラマティックだ。目が離せなくなる。


寝袋に縮こまっていた身体をほぐすべく、しばらくキャンプ場内をうろついてからサイトに戻った。


画像12

昨日のボヤ騒動跡地を富士山側から眺めてみる。こうして見るとマイテント、充分に射程距離内だったのね……本当に大事に至らなくてよかった。


日ごろ朝は全く食欲がなく、朝食を摂らない民である私は、いつもならばここからのんびり撤収作業に入るところだ。けれど今回は、朝食にぜひとも食べたいものがあった。こちらのキャンプ場はチェックアウト時間が12時ということもあり、朝ごはんを食べて、テントその他も乾かしてから帰宅しようと決めていたのだ。

ということで、食欲が多少沸いてくるまでテントの中を片づけたり、火消しツボの灰を捨てに行ったり、防炎シート(テント同様バッキバキに凍り付いていた)を干したりしつつ過ごす。

そうこうしているうちにお腹も空いてきたので、バーナーでお湯を沸かしつつ朝ごはんのテーブルをととのえる。


画像13

こちらが今回の朝ごはん。そう、ドーナツです!


今回のソロキャンプ出発前、とほさんのこの記事を読ませていただいた直後から、私の頭上には天使の輪ならぬドーナツの輪が出現していたのだ。


キャンプで、ブラックロッジっぽい空間を演出して、そこでドーナツ食べたり、コーヒー飲んで親指立てたり、ダイアンにトランシーバーで報告したりしよう、と思いたったわけです


とほさんはこのように、ご自身が大好きな作品の世界観に則ってサイトをととのえ、ドーナツを召し上がっていた。赤いテントの中に持参したシェブロン柄(という名前だと初めて知った、私はずっとサンダー柄って呼んでた)を敷きつめるという徹底ぶり。格好いい……。そんなすてきな記事を読ませていただいたにも関わらず、「世界観」とか「おしゃれにテント内を演出」等の重要キーワードそっちのけで、「ドーナツ」の4文字だけが鮮明に刻まれてしまった私の思考回路をどうぞお許しくださいとほさん。

要するに、ドーナツが食べたくて食べたくて震えていたんであります。


画像16

そんなわけで、すてきなソロキャンパーさんのすてきな記事を食い意地のみでつまみ食いするような不届きな振る舞いに至ったわけなのだけれど、

結果的にこれは最高でした……!いやもうめちゃくちゃおいしかった!

過去最高に爆睡できたとはいえ、やはりいつもと違いすぎる環境下で一夜を明かしているわけだから、身体にはそれなりの疲労が蓄積されている。その疲れた身体に、あまーいドーナツがまあ、染み入ること染み入ること!氷点下の夜を潜り抜けたせいで、ドーナツはちょいと硬くなってしまっていたけれど、このボソっと感が逆に野趣をそそるというか。昇ったばかりの太陽を浴びながら、目の前の富士山と共に頬張るのって、控えめに言って最高が過ぎる。パリパリっとしたキャラメル風味のチョコレートと、苦いコーヒーの相性は言わずもがなだ。ドーナツなんて普段は1個食べればもう要らない……ってなるのに、この朝は2個半をぺろりとたいらげてしまった。大満足!


朝からしっかりカロリーチャージをしたせいか、その後の撤収作業も大いに捗った。やはり朝食は大事ですな。キャンプの時だけでも、ちゃんと朝ごはん食べるようにしようかな。あと、私もそろそろキャンプ道具の中に、おしゃれな布の一枚も導入できるようにしたいものだ……。


午前11時過ぎにはテントもグランドシートも全て乾き、荷物の整理も完了した。


画像15

これら一式を車に積み込んでからチェックアウト。


画像16

最後に男前にご挨拶。


画像17

くうーっ、今日もなんて格好いいんだい。

思いがけないアクシデントに見舞われたけれど、総合的には今回もとても楽しくて充実した、すてきな時間を過ごさせていただいた。富士山、ずっと御姿を見せてくれていてありがとう!また逢いに来させてね!



ということで、7回目のソロキャンプも大・大・大満足で過ごすことができました!相も変わらず長ったらしい駄文(今我ながら長すぎてちょっとひいてますすみません)と稚拙な写真を大量に晒してしまいましたが、お付き合いくだすった方、ありがとうございました。

私のキャンプシーズンは春までと決めているので、あと1回……できれば2回、またどこかに出かけられたらイイナーと思っています。その節はよろしければまた、お付き合いください。

いただいたサポートは、外で暮らすねこさんたちの生活が少しでもよきものとなるよう、関係団体に送らせていただきます。