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広告費の分割・後払いサービス「AD YELL」を展開する株式会社バンカブルの髙瀬さんと対談 #2 AD YELLの強みとは?

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

全3回にわたって、私のPodcast株式会社バンカブルの代表取締役である髙瀬 大輔(たかせ・だいすけ)さんをゲストに迎え、同社の広告費分割・後払い(BNPL)サービス「AD YELL(アドエール)」や、会社設立の背景について聞いた内容をお伝えしています。

それぞれのテーマは次の通り。

  1. バンカブル設立の背景とAD YELLについて

  2. AD YELLの強みとは?

  3. AD YELL PROとバンカブルの今後の展望について

このnoteでは第2回目の「AD YELLの強みとは?」をお届けします。

このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt&Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

AD YELLでキャッシュフローを改善

若林:今回はどのような企業がAD YELLを利用しているのかお聞きしたいのですが、その前にサービス内容について詳しく教えてください。

髙瀬さん:はい。AD YELLは、広告宣伝費の分割・後払いサービスで、広告代理店や広告媒体を扱う企業に支払う費用を、弊社が立て替えることで、4分割での後払いが可能になります。

若林:通常であれば一括払いしている広告費を後から分割で支払えるため、広告による投資がしやすくなりますね。

髙瀬さん:その通りです。例えば100万円の投資が120万円の売上になる見込みがあったとしても、広告を打ってすぐに売上が立つとは限らず、投資効果を得られるまでには一定の期間が必要になると思います。この場合、先に100万円の広告費を支払っているのでキャッシュフローを圧迫してしまいます。

若林:AD YELLを使うことで、この出金と入金のタイミングのズレを解消できるということですね。
細かい話になりますが、支払い名義はどのようになるのでしょうか。

髙瀬さん:広告主と代理店との契約は維持していただいた上で、弊社が代金を立て替え、Google 広告などに出稿する場合は、弊社が提供するパーチェシングカード(*1)を利用いただく仕組みになっています。

*1) 法人取引に使用されるカードレス(プラスチックカード不発行)型のクレジットカード

若林:なるほど。支払先にAD YELLを利用していることは伝わるものの、契約関係が変わらないのはいいですね。

培ってきたデータから広告費のリターン予測が可能に

若林:前回、AD YELLの立ち上げに繋がる髙瀬さんの経験について聞きましたが、なぜ数ある販管費の中から広告宣伝費を対象にしようと思ったのでしょうか。

髙瀬さん:1つは私のキャリアの中で広告宣伝費で悩んだ原体験があったことですが、バンカブルの立ち上げ前から所属しているデジタルホールディングスグループ全体が、長らく広告宣伝費に向き合ってきたことも大きく影響しています。長年培ってきたデータから、広告費のリターン予測モデルを作れるのではないか、と思ったんです。

若林:私の経営する株式会社INQでも日々スタートアップの融資をサポートしていますが、広告費を資金使途として融資を受けるのはなかなか難しいのが実情です。水物と呼ばれることもある広告費のリターン予測ができれば、ファイナンス事業も可能になると踏んだのですね。

髙瀬さん:はい。広告費の担保価値を見い出すロジックがあり、EC事業など販管費に占める広告費比率が高い業態の企業様は、過去の私と同じようなペインを持っているのではないか、という仮説が重なり、広告費を対象にしようと決めました。

若林:広告費は業種によっては投資金額に対するリターン予測ができる存在になりつつあったのですね。銀行などの金融機関では、広告費に担保価値を見い出すのは難しそうです。AD YELLの審査では、広告運用の実績が審査対象になるのでしょうか。

髙瀬さん:はい。金融機関の審査のように、企業自体の審査もしますが、広告実績がある場合はそのデータも対象として組み込んでいます。

AD YELLは融資ではないため、他の借入枠に影響しない

若林:次に、AD YELLのユースケースについて教えてください。どのような企業が、どのようなシチュエーションで利用していますか。

髙瀬さん:オンライン上で商品やサービスを販売している業態の方が非常に多いです。例えばパーソナライズされたヘアケア商品や、ミールキットが届くようなD2C(*2)事業を展開される企業様ですね。

*2) Direct to Consumerの略で、ECサイトなどを通して企業が消費者に直接販売する方式

大手上場企業というより、年商1億〜数十億円くらいのスタートアップをイメージしてもらえるといいかと思います。フェーズで言うと、シード(*3)からプレA(*4)くらいでしょうか。

*3) スタートアップの成長フェーズにおける会社設立前後の段階
*4) スタートアップの成長フェーズにおけるシリーズAの前で、すでに一定数の顧客がいる段階

若林:なるほど。シチュエーションでいうとどのような状況でしょうか。

髙瀬さん:例えば、販売が好調で在庫が無くなりそうなため、仕入れをしなければならない。かつ、広告費もかけなければ販売の機会を逃してしまいそうなシーンでしょうか。

または仕入費用がかからないにせよ、広告費をかければ業績を伸ばせそうなのに、現預金が少ないなどの理由から広告投資に踏み切れない、といった状況は共通していると思います。

若林:なるほど。先ほどお話ししたように広告費を資金使途とした資金調達は融資だけでなく、エクイティ・ファイナンス(株式発行による資金調達)も急には難しいため、AD YELLはちょうどそのニーズに合致していますね。

髙瀬さん:はい。ちなみに顧客から聞いて分かったことなのですが、AD YELLは融資には当てはまらないんですよ。支払いを立て替えているだけなので、利用企業側は融資を受けているという扱いにはなりません。

若林:つまり、決算書の長期借入金や短期借入金の欄に記載しなくていい、と。銀行などから融資を受ける際にも、AD YELLを利用した分は借入枠に影響しないことになりますね。

髙瀬さん:そうなんです。資金調達・確保の効用がありながら借入枠を削らずなくて済む、というのはAD YELLの大きな強みだと思います。

まとめ

株式会社バンカブルの髙瀬さんをゲストに迎え、AD YELLの強みや利用シーンについて聞きました。

資金調達のような効果がありながら、既存の借入枠を削らずに済むというのは、多様な資金調達方法を検討しているスタートアップにとって、大きなメリットになりそうです。

次回は「AD YELL PROとバンカブルの今後の展望について」というテーマで、広告代理店向けのサービスと、バンカブルの今後について聞いた内容をお届けします。

AD YELLの申し込みや相談は、髙瀬さんのTwitterAD YELLのサービスサイトから可能です。

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