見出し画像

融資に大事なのはPLだけ⁉️注意すべきBSの雑勘定

スタートアップの資金調達を支援するINQの若林 @wakaba_officeです。

スタートアップの場合、広い意味でのITを駆使したサービスやプロダクトを提供することが多く、創業初期に工場など物的な設備投資を要するケースは多くありません。
そうでなくても、多くの起業家が創業当初は特に、会社のBS(貸借対照表)よりもPL(損益計算書)に意識が行きがちです。スタートアップがウォッチしていくKPIもまた、PLに紐付くものが多いかと思われます。

ですが、融資の審査において、金融機関の担当者はBSも重要視しています。BSの内容が審査に大きく影響し、融資につまづくことも。
そこで、創業初期の融資審査においてネックになるBSの「雑勘定」について書いてみます。

この記事は融資による資金調達を考えている起業家に向けて書いています。
約2,200文字で、5分前後で読めます。

まずは結論から!

融資を受けるに当たっては、

- 決算書BSの雑勘定(預り金・仮受金・貸付金など)に要注意
- 特に貸付金はダメ

雑勘定とは?

貸付金、預り金、仮受金、仮払金、前受金、前払金、未収金などを、「雑勘定」といいます。雑勘定は暫定的な取引を記録するための勘定です。

なぜ雑勘定がアカンのか?

仮の勘定の割合が大きいということは?
たとえば、クラウドワークスのようなマッチングプラットフォームの場合、プラットフォーム側に入金されたお金は預り金等の仮勘定に計上され、取引が完了した後に売上に計上されるかと思います。
このようなビジネスモデルが問題、ということではまったくないのですが、資産全体に対して割合が大きい場合や、仮勘定の残高が増える一方で減らない場合には、金融機関から見ると不確定な仮取引が多い不安定なビジネスモデル、という印象になってしまう可能性があります。

本当に資産なのか?
BS上「資産」として位置づけられます。
しかし「これは本当に資産として捉えていいのか?」という点を金融機関の審査において注視しています。資産としてみなせないものは、差し引いて実態で評価されます。

たとえば、決算書上は債務超過でなかったとしても、資産とみなせない雑勘定が多く、それらを引いていくと実質債務超過という評価になることもあります。

良からぬ取引が雑勘定に隠されているケースもあったりするので、雑勘定は警戒されているという認識でいていただくとよいと思います。

特に貸付金はやばい

雑勘定の中でも特に「貸付金」は良くないです。
「貸付金」(または「仮払金」)は、会社から役員等に対しての貸付であることが多いですが、いずれにせよ、スタートアップは社外にお金を貸している場合ではありません。貸付金がある時点でマイナスです。
金融機関は会社の事業のために貸したお金が別の資金使途で使われる、別のところに流れてしまうことを嫌います。役員等にまた貸しする、迂回融資になることになるのを避けなければなりません。
社外にお金が流れる懸念がある先には貸せません。
貸付金はヤバイのです。

役員報酬の設定が役員への貸付金を生まないように
創業当初に役員報酬を低く設定するケースがあります。その結果、役員の生活費等が足りずに会社から貸付するようなことになると、役員報酬を払って会社が赤字の方がまだマシだった、ということにもなりかねません。
よく税理士さんと相談してください。

代表者の連帯保証を外したいとき

公庫の融資において、代表者保証を外したいときにも役員への貸付金が問題になります。
公庫には「経営者保証免除特例制度」という制度があります。一定の条件を満たせば、代表者の連帯保証を外せるというものです。
その条件のひとつに、

法人と代表者の方の一体性の解消が一定程度図られていることについて、公庫において確認ができること。

という要件があります。
「法人と代表者の一体性の解消」とは、代表者への貸付金や過度な仮払金など、法人を代表者が私物化したようなお金のやり取りがないことを意味しています。
役員への貸付金が一定以上あると、代表者保証を外して借入することができないため、結局代表者個人のリスクを高めることになってしまいます。

最後までお読み頂きありがとうございました❗

Twitterもやっております。

もしよかったらぜひフォローお願いします。

起業のご相談や資金調達の壁打ちも承っています。
Twitterからお気軽にDMください❗

頂いたサポートは、医療福祉または障害者スポーツの活動を行うNPO法人に寄付をします。