起業初期の資金調達方法(後編)融資と出資を比較した場合のメリット・デメリット
スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
前回のnoteでは、起業初期に使える資金調達方法の中でも特に汎用性の高い、融資と補助金のメリットとデメリットを解説しました。
今回は、スタートアップの資金調達方法の中でもメジャーな出資(株式発行による資金調達)と融資を比較した場合のメリットとデメリットをお伝えします。
融資と出資、それぞれの特徴
融資と出資のメリットとデメリットを解説する前に、まずはそれぞれの特徴を頭に入れておきましょう。
融資の出し手は金融機関であり、対価は利息です。一方、出資の出し手はベンチャーキャピタル(以下、VC)やエンジェル投資家であり、対価は株の売却益です。
金融機関が融資先の企業に望むのは、安定的・継続的に返済してくれること。一方、VCが投資先の企業に望んでいるのは、株価を上昇させることです。一般的にIPO(株式上場)によって株価が高騰したタイミングでの売却を望んでいるため、投資先企業はIPOを求められます。
以上のように、金融機関とVCが企業に求めることは異なるため、提出する事業計画書の書き方もそれぞれ変える必要があります。詳しい理由については「VCと銀行に同じ事業計画書を出してはいけない理由」で解説しています。
融資と出資を比較した場合のメリット・デメリット
ここからは、融資と出資の特徴を踏まえた上で、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
融資の場合、金融機関からお金を借りることになります。借りるだけなので、貸し手が株主になるわけではありません。そのため、会社の経営は代表者自身がコントロール可能です。
一方で出資の場合、お金を出してもらうことと引き換えに、会社の株式を渡すことになります。株式を渡すということは、会社の経営をコントロールできる権利を渡すということ。その結果、以下のような事態に陥ることがあります。
意思決定権を握られる
代表取締役を降ろされる
役員が派遣される
このような点を考慮すると、株式発行による資金調達は安易に行うべきものではないといえるでしょう。「事業を大きくするためには第三者からの出資が必要だ」と確信できる状態になってから初めて検討すべきだと思います。
その状態になるまでは融資を活用しながら、「小さく生んで大きく育てる」プロセスを経てもいいのではないでしょうか。
まとめ
今回は、スタートアップが使える資金調達方法である融資と出資を比較した上で、それぞれのメリットとデメリットをお伝えしました。
融資のメリットは、経営のコントロールを失わないことで、デメリットは返済が必要なことです。
一方出資のメリットは返済が不要なことで、デメリットは会社の経営をコントロールされる恐れがある点です。
資金調達方法に正解はありません。
会社のフェーズに合わせて最適な方法を選べるよう、さまざまな選択肢と特徴を理解しておきましょう。
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