創業融資の3つのポイント
スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
今回は、創業融資を成功に導くための3つのポイントについて解説したいと思います。
創業して間もない時期の融資審査においては、本来金融機関がよりどころとしている決算書などの評価材料が不足していたり、当てにならない場合があったりします。
それでは、創業融資の審査においてはどのような部分を重点的に見ているのでしょうか?
私の経験上、金融機関が重視しているのは次の3つのポイントです。
それぞれ、どのようなものが求められているのかを詳しく解説していきます。
① 起業する事業と関連のある代表者の経験
融資審査においては、代表者の経歴が重要視されます。
代表者の経歴から、事業を進めていくのに必要な知識や情報、能力、ネットワークなどをきちんと培ってきたかどうかを判断しています。
職歴と、これから起業する事業の関係の深さも重要です。
たとえば、弁護士として20年の経験があったとしても「フレンチレストランを起業したいです。包丁は握ったことがありません。」という人がフレンチレストランの起業に十分な経験を持っていると評価されるかは、非常に微妙なところです。
また、職歴と起業する事業の関係が深くても、期間が短い場合は十分な経験があるとは評価されません。
では、どのくらいの経験があればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫(以下、公庫)が必要十分と捉える経験の目安は、7年といわれています。
(たとえば、6年以上の同業種での経験があると自己資金のハードルが緩和されます。)
これから起業する事業と関連の深い経験が7年以上あれば、代表者の経験という部分はクリアしていると考えて問題ないでしょう。
② 自己資金は「代表者自身」が準備してきた資金であることが重要
創業融資では、自己資金も重要視されます。
公庫は準備の足りない、行き当たりばったりの起業に融資をしたくありません。
そのため代表者が起業のために、資金面でどのような準備をしてきたのか、その準備の度合いと覚悟を見極めるという意味で、自己資金の蓄積状況を重要視しています。
たとえば、ベンチャーキャピタル(以下、VC)から出資を受けて増資していること自体は、融資審査においてはポジティブに評価されます。
しかし、公庫が見るのはあくまでも代表者自身が準備してきた資金がどれくらいあるか、という部分なので注意が必要です。
自己資金の目安としては、借りたい金額の3分の1から2分の1程度あれば必要十分といえます。
③ 事業計画は成長性よりも「安定性」と「継続性」
創業融資では「安定性」と「継続性」のある事業計画が評価されます。
若手の起業家が犯しがちなミスの1つに、VCに提出した事業計画と同じものを金融機関に提出してしまうというのがあります。
なぜこれがミスになるのかは、VCと金融機関それぞれの収益源が何なのかを考えると分かってきます。
出資の出し手であるVCの収益源は、イグジット時のキャピタルゲイン(売却益)です。
売却益を得るには企業が成長する必要があるため、VCはできるだけ大きく成長する企業に出資したいと考えます。
一方、融資の出し手である金融機関の収益は、金利です。
金融機関は、できるだけ安定的に返済をしてくれて、継続的に金利を払ってくれる企業に融資をしたいと考えるのです。
このことから、創業融資で提出する事業計画書は「成長性」ではなく「安定性」と「継続性」に重きを置いたものにすべきだということが分かります。
まとめ
創業融資を成功に導くためのポイントとして、次の3点について解説しました。
代表者の経験では、これから起業する事業と職歴の関連性と経験年数から、事業を進めるのに必要な能力やノウハウなどを蓄積しているかどうかが見られます。
自己資金では、代表者自身が準備してきた自己資金がどれぐらいあるかが見られます。
事業計画では、安定性と継続性に重きを置いているかどうかが見られています。
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