見出し画像

【私募社債の購入・発行・管理が行えるwebプラットフォームを展開するSiiibo証券の小村さんと対談#02】私募社債とは?スタートアップのデットファイナンス

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

前回に引き続き、私のPodcastにSiiibo(シーボ)証券株式会社の代表取締役である小村 和輝(こむら・かずき)さんをゲストに迎え、私募社債やスタートアップのデットファイナンス(借入による資金調達)について話した内容をお届けします。

そもそも私募社債とは何なのか?という疑問から、私募社債と銀行融資、私募社債とエクイティ(株式発行による資金調達)を比較したときのメリットについても聞いています。資金調達手段を検討しているスタートアップ経営者はぜひ読んでみてください。

このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt&Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

公募と私募とは

若林:私募社債について聞く前にまずは、そもそも私募とは何なのか教えてください。

小村さん:私募とは有価証券の取得勧誘形態のことで、社債や株式などを発行する際に、募集対象を特定少数の投資家に限定することです。

これに対して公募は、不特定多数の投資家を募集対象にすること。発行には、有価証券報告書の提出義務など情報開示に厳しい規制があり、手続きも煩雑になります。

若林:先日、ツイッターに投稿されていた漫画に「50人以上の投資家に投資をお願いしたことがある」とコメントした起業家がいて、ちょっとした話題になりました。

小村さん:私募にはプロ私募と少人数私募があり、ツイッターで話題になったのは少人数私募の方ですね。少人数私募は、声かけも含めた勧誘先が50人未満でなければなりません。具体的な同一有価証券の条件を明示した上で50人以上に勧誘を行った場合にはこの要件を満たさなくなるので問題だとされていました。


Siiibo証券が扱う少人数私募社債とは

若林:ここからは、Siiibo証券が扱う少人数私募社債について教えてください。

小村さん:簡単にご説明すると「少人数私募」の形態で発行される「社債」を指します。具体的には、まず50人未満の投資家を勧誘し、社債を発行します。企業は資金を調達でき、投資家は定期的に利息収入を得られ、満期が来れば元本が返済されるという仕組みです。

若林:少人数私募社債を発行する際に「勧誘先を50人未満にすること」以外に、気をつけることはありますか。

小村さん:はい。厳密には、同一の社債を勧誘する人数の通算が、3カ月で50人未満である必要があります。

若林:なるほど。例えばシリーズAと同タイミングで社債を発行後、3ヶ月以上経過したのち、シリーズBの際にも社債を発行する分には、違う社債なので異なる投資家に勧誘しても問題ない、という理解で合っていますか。

小村さん:そうですね。基本的にシリーズAを調達してから3カ月以内にシリーズBで調達することは一般的ではないと思いますので。


私募社債とエクイティを比較した際のメリット

若林:社債というと、発行するスタートアップ側的には負債性のあるものなので、デットファイナンスに分類されるという理解ですが、エクイティファイナンスと比較した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

小村さん:そうですね。資本コストをエクイティよりも抑えられること、経営権への影響が小さいこと、希薄化を防げること、でしょうか。

若林さん:エクイティファイナンスの返済義務は、厳密にいうと買取条項がない限りは返済するたぐいではないですが、求められているリターンを考えると、デット・負債性のものより圧倒的に高いですよね。

小村:はい。実現したリターンが株主の方へのリターンとなりますが、債券の場合は利息がそのリターンにあたります。

若林さん:期待値をパーセンテージで考えると、エクイティの方が高くなるっていうことですね。

小村:特にIPO、M&Aをイグジットの機会とするVCさんからすると、10年で100倍程度の期待を持たれている方もいらっしゃり、特にシードに近いほど、そういった傾向にあると思います。
基本的にデットの方が資金調達に伴う資本コストは低いので、可能であればデットで調達した方がメリットがある場合が多いと思いますね。


私募社債と銀行融資を比較した際のメリット

若林:次に、同じデットファイナンスに分類される銀行融資と比較した際の、私募社債のメリットについて教えてください。

小村さん:間接金融である銀行融資と直接金融である社債では与信に対する考え方が異なると考えております。

銀行融資は、資金の出し手側の資本構成に銀行預金が含まれます。この保全の観点からも審査が厳しくなるケースがあります。例えば借り手企業が赤字の場合には利用できないこともあります。

若林:社債は少々リスクがある場合でも利用できるということですね。

小村さん:社債は個々の投資家が判断を行い直接投資を行うという方法でリスクマネーを供給しております。したがって銀行融資と判断が異なる、或いは追加で併用できる場合もあるため、是非選択肢の一つとして検討いただきたいと思っております。

私募社債は資本投下によって成長が見込めるときに活用しよう

若林:私募社債の具体的な活用シーンについて教えてください。

小村さん:まずは、資金使途で分けて考えます。

プロダクトローンチ前のケースや、売上がまだ予測できない新規事業を立ち上げたい場合等は、エクイティファイナンスを活用するのがいいと思います。

一方、PMFが一定検証できていたりユニットエコノミクスが見えてきて、資本投下によって再現性のある成長が見込める場合はデットファイナンスがいいですね。

デットを使う際は、まず公的な融資制度を利用するのが一般的で、次に銀行融資や私募社債を含むベンチャーデットの活用を検討していただくのが良いかと思っております。

ただしベンチャーデットの中には新株予約権付融資など、エクイティに近い商品もありますので、資本政策等に合っているかどうかしっかり確認する必要があります。

調達手段は1つに絞らず、相互補完的に使おう

若林:小村さんの話を聞いて、どれか1つの調達手段にこだわらず、複数の手段をシチュエーションに応じ、相互補完的に使い分けるのが大事だなと感じました。

小村さん:1つの手段に頼ると、それが難しくなったときに立ち行かなくなってしまいます。資金調達先を多角化することは事業リスクを下げることに繋がるんです。例えば銀行融資ひとつでも、バンクフォーメーションを意識して、複数の銀行から融資を受けている会社もありますよ。

若林:日本には信用保証協会が8000万円の無担保申し込みの枠を持っていて、銀行融資に対して保証してくれる制度があります。保証を付けられるうちに、複数の銀行と融資取引をしておきたいですね。

小村さん:弊社を含めた金融機関やVCとの取引で、一番工数がかかるのは初回の審査で、2回目以降は初回のような手間がかかりません。資金が必要になったときに複数の金融機関や投資家を頼れるよう、多少工数がかかっても取引先を開拓しておく事は本当に重要です。

まとめ

Siiibo証券株式会社の小村さんをゲストに迎え、「公募」と「私募」や、私募社債とエクイティ、銀行融資を比較した際のメリットについて聞きました。

私募社債はデットファイナンスに分類される金融商品で、資本投下による成長が見込める際の利用がおすすめということでした。

公的な融資制度や銀行融資を使った後で「もう少し広告宣伝費をかければ売上がアップするのに資金が足りない」といったシーンで活用できそうです。このような状況にいる経営者の方は、ぜひ下記のサービスページや小村さんのTwitterからDMで相談してみてください。

次回はSiiibo証券株式会社が扱う少人数私募社債「Siiibo」のサービス内容について話した内容をお届けします。

▼Siiibo証券のサービス詳細ページ

  • Siiiboでの資金調達を相談したい企業はこちら

  • Siiiboで社債を購入したい方はこちら

このnoteが少しでもお役に立ちましたら「スキ」とフォローをしてくださると嬉しいです。

以下はコーポレートサイトや、創業融資に関する情報を中心としたオウンドメディア、ポッドキャストへのリンクです。Twitterのフォローもお願いします。

最後までお読み頂きありがとうございました。

頂いたサポートは、医療福祉または障害者スポーツの活動を行うNPO法人に寄付をします。